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死旗建築


「おもちゃさん、それは禁句ですっ・・・・アイギスの前でその言葉はだめ・・・・!」


「お、おう。でもなんて」


「やつのことは虎さんもしくはお虎ちゃんで」



禁句についておもちゃさんと認識を共有し、声の聞こえない位置に待機してもらっていたアイギスを迎えに行く。


アイギスはもう狐とは鳴いていなかった。代わりにまるでこの世の終わりと言うような悲壮な声で鳴いていた。え、アイギスどうしたの?



「キュ————ッ!!」


見れば、街灯に飾られた花々の中からアイギスが必死に手を伸ばして助けを求めている。その隣には無言でアイギスを見つめるバロンがいた。



無意識にお花に埋もれる二匹が見たいと言う願望の元、バロンの隣へアイギスを添えてしまっていたようだ。


急いでアイギスを頭上に避難させて、謝る。お花に埋もれる二匹の愛らしい姿は、目の保養にはなったがアイギスの心労が大きすぎるので駄目だ。


そのうちアイギスが倒れてしまう。私の欲望よ、自重しろ。



「・・・・・虎さんか・・・・あいつ、この先には出ないんだよな・・・・・」


おもちゃさんが赤飯を掲げたまま何かぶつぶつ言ってる。かろうじて聞き取れた言葉によると、先に進めば例の虎さん狐は出ないらしい。それは朗報だ。



「なぁ、赤飯ドロップした時に何か特別な行動しなかったか?」


「特別?」



おもちゃさんが戦った時には赤飯をドロップしなかったらしい。


そのため、赤飯をドロップするためには何か条件があるのではないかと言う結論に達した。


赤飯を手に入れた時に行った特別なこと。まったく、心当たりがない。


しいて言うならバロンというラスボスが倒したくらいだろうか。アイギスが倒してまわっていた時にはドロップ率が下がったみたいだし。



「神話生物が倒すことがトリガー・・・・・?いや、でも・・・・・・・」


手に入った赤飯の数に影響した、一回目と二回目で異なる条件とは何だろうか。


バロンのみが暴れていたこと?アイギスは執拗に攻撃を加えていた点?


そう言えば、バロンが暴れまわっていた一回目では狐がバロンから逃亡する様子も見受けられたな。つまり、



「狐に与えた恐怖心の差!・・・・なんじゃないかな?」


蜘蛛の子散らすように必死に逃げていた狐たち。怪獣バロンに追いかけまわされた彼らが覚えた恐怖は相当のものだろう。


当たれば死ぬ、即死攻撃を放ってくる敵が自分たちよりもはるかに早い速度でもって迫ってくる。


しかも、追いつきそうなところでわざと速度を落とし、恐怖心を煽って遊んでいた。疑いようもなく、怖い。



「う、う~む。一理あるか・・・?」


おもちゃさんは横目でちらちらとバロンを確認しながら言う。



うちの可愛い子ちゃん、もっと見ても良いのよ。


時々、猫の本能が解放されて、フィールドを縦横無尽にモンスターを追いかけまわして怖がらせてしまうけれど、普段は何だかんだで話の分かる魅惑のもふもふなのよ。


そんな目を合わせたら危険だ、みたいに直視を避けなくても噛みついたりしないよ。たぶん。



虎さん狐が赤飯を落とす条件は機会があったら、私たちも検証に参加すると言うことで合意した。


今は東へ向かっている最中だし、私は東から帰った南への強行軍が待っている予感がするので、当分検証できそうにない。


検証班もお米に関することなら食いつきも良いだろうと掲示板に情報を流して、検証を頼むらしい。


検証班が行き詰まり、私の予定も開いていたら協力の要請が来るかもしれないとのこと。


おもちゃさんの期待通りに日本が東に存在していたら、赤飯は放置される可能性が高いそうなので、そんなに声がかかる可能性も高くないだろうと予想している。



おもちゃさんと情報交換兼雑談をしているうちにおもちゃさんの仲間の人たちも村へ帰ってきた。


おもちゃさんを含めて計7人。猫科獣人が二人、犬獣人一人、人間二人?(フードを被っていてよく分からない)、ドワーフ一人と筋肉が一人の他種族混成パーティだ。



「よお!おかえり!どうだった?」


「フラグ通り、死に戻ったよ・・・・返ってくる気はないらしい」



おもちゃさんのパーティはハンス攻略時にはパーティを組める最大人数である10人で組んでいたらしい。


しかし、攻略後、次のボスを目指すうちになんやかんやあって、一人が「付き合ってられるか!俺は先に帰らせてもらう!」と言って飛び出していき、


それに続いてずっとイチャイチャしていたカップルがイチャイチャしながら「私たちも~」と便乗して去っていったらしい。


見事な死亡フラグだ。そしてすでに回収されてしまったらしい。何故人は死ぬと分かっていて、フラグを立ててしまうのか。フラグ建築士たちの今後に幸あれ。アーメン。




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