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求不得苦


「人数多い方が安全で確実にボスを倒せると思うぞ」


『うむ。確かに(肉)盾は多い方が良い』


私の反応がいまいちなのを察したおもちゃさんが説得の言葉を重ねる。


バロンもその意見に賛成のようだ。しかし、気のせいかバロンの言葉に何か含みがあったような気がする。



「そのボスってハンスよりましなのかな?」


「え?」



悪夢の蚊三連星を見て思ったのだけれども、これから向かうボスがハンスに輪をかけたヤバいのである可能性も無きにしも非ず。


冷静に考えてみれば、ハンスを避けたらハンスよりもぶっ飛んだボスが待ち構えている可能性だってあるのだ。


だって、道中の敵があれなんだよ?その先にいるボスがまともな訳ないじゃないか。ハンスなら知っている分、覚悟も決めやすい。


もしかして、戻った方が心のダメージも少ないのではないかと思い始めている。



「・・・・・次のボスの場所は特定できてるけど、戦ってはないから姿は知らんだわ。でも、ハンスよりひどいのはそうそう思いつかんから大丈夫だと思うぞ?」


おもちゃさんの言うことも尤もだ。おっさんのゆるふわロリータなミニスカがエクソシスト決めてくるよりもひどい光景なんて思い浮かばない。


でも私、ハンスに出会うまでは、おっさんのゆるふわロリータなミニスカがエクソシストなんて考えたこともなければ、概念の存在すら認識してなかったよ?



「それにワンチャン東に日本があるんじゃないかって騒がれてるし・・・」


「日本?」



疑念を晴らすことができなかったおもちゃさんが別の説得材料を持ってきた。


猫に悪戦苦闘中の日本探索組は消去法で北にいると思ったのだけれども、東に日本とはどういうことだろうか。日本探索組が東にいると言うことではないと思うけれども。



「そう。他の方角に日本がなかったから、残る東こそって・・・・・・・そしたら、米が食えるかもしれないぞ?」


お米かぁ。正直そこまで執着はない。米がなければパスタを食べれば良いじゃない?


いや、パスタじゃなくても、パンでも他の麺類でも良いんだけど。


他のゲームでもお米を探して三千里した人の話を聞いたことがあるけれど、そこまで食べたいものなのかな。現実で食べられるのに。


そもそも、私からすると、異世界転生ものでよく見るお米のためなら何でもする過激派も不思議な存在に感じられる。お米のためにそこまで必死になる人の心が良く分からない。



「お米じゃないけど、赤飯なら持ってるし・・・・・」


趣味嗜好は人それぞれ。何に執着するのかもその人次第だし、あえて言及をするつもりはない。だから、別の言葉を返した。



お米に執着する人からしたらお米ともち米、ご飯と赤飯では雲泥の差があるのかもしれないけれど、


かなり最初期に赤飯が手に入るのだからそんなに必死でお米のために日本を探さなくても良いんじゃないかな。


そうのんびりと思った私と違い、おもちゃさんは急に緊迫した雰囲気を醸し出す。



「赤飯だって!?それどこで手に入ったんだ!?」


「え?普通に・・東の草原で・・・・・・?」



おもちゃさんの慌てぶりに驚きながらもポーチから赤飯を取り出す。


?なんだか、思ったよりも赤飯の所持数が少ないような。東に進む前、食料などの必需品を買う前に東の草原でバロンが散歩?した時にはもっとたくさん「草原狐の赤飯」がドロップしていた気がする。


その時の戦利品はパンを手に入れるために手放してしまったが、その後、東に出発する直前にも同程度の時間草原で遊んでいた。


あの時のバロンは狐よりもわんこに夢中で狐はあまり相手にしていなかったけれど、代わりにアイギスが執拗に狐を攻撃していた。


総合的にみれば、倒した数はそんなに変わらないはずだけれど。



「草原狐の赤飯・・・・あの狐、赤飯なんて落とすのかっ・・・・・!?」


私から件の赤飯を受け取ったおもちゃさんが驚きを隠せない様子で赤飯を天に捧げている。


なんで?天に捧げるほど赤飯が好きなの?東の草原で幾らでも手に入るだろうに大げさだなぁ。


いや、それよりも、おもちゃさんの口から出た例の言葉のせいでアイギスが豹変してしまった。



「キ・・・き・キキキキキ・・・キツネェ・・・・・・・」


邪悪なオーラが噴出している。やはりまだ狐への怒りを昇華できてないんだ。



アイギスの前で狐は禁句。アイギスを近くの花壇の上に置き、そっとおもちゃさんに耳打ちする。




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