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変態百出


「それでも気になるって言うなら、なんか情報を提供してくれ」


「情報?」


「そう。なんか面白いこと知らない?」



目がきらっきらに輝いています。おやつを前にした猫の目です。あれ?なんかおかしいような・・・。良い人、だよね?


いや、そんなことよりも今は青年に喜んでもらえる情報を思い出さないと。ご迷惑をおかけしたせめてものお詫びだ。



「その前に、いい加減場所を移さないか?モンスターに囲まれたら危ないし」


周囲を警戒するように見渡した青年が告げる。



言われてみれば確かに、先程からちらちらとバロンの突撃によって消えていくわんこが視界の端に映っており、気にはなっていた。


ボスを倒したことでボスフィールドが解除され、同時に通常のフィールドに出現するモンスターが現れるようになったのだろう。


ボスを倒したばかりでモンスターの出現が少ない今のところバロンが見敵必殺してくれているので囲まれてはいないけれど、敵の数が増えたらバロンの壁を越えて私たちも襲われるかもしれない。


早めに安全地帯に避難した方がよさそうだ。



「俺はレーゲンヴルム。近くに村があるからそっちに・・・・」


「え?」


「レーゲンヴルム」


「・・・え?」



レーゲンブルム・・・さん?えっとレーゲンヴルムってあれでしょ。意味は分からないけど格好いい言葉事典で読んだよ。


確か意味は蚯蚓(ミミズ)だったような・・・。え、つまり、蚯蚓さん?蚯蚓さんって呼べってこと?



「まぁ、覚えにくいって評判だから、おもちゃで良いよ」


「・・・・・・・え?」


フゥー イズ ディス?ヒー イズ トイ。彼はおもちゃです。


どういうことなの?



蚯蚓さんって呼びにくいなと思っていたらもっと呼びにくい愛称が出てきたんだけど、どういうことなの?


どうしたら良いの、これ?え、これ、蚯蚓さんって呼ぶべき?おもちゃさんって呼ぶべき?何がどうしてそんなあだ名がついたの?


どうしてこの人はこんな誇らしげな顔で玩具って名乗っているの?そこでサムズアップするのやめてもらえますか。



「いや~、にゃ…ナビさんにさぁ、触手のすばらしさを語ったら気に入られちゃったみたいで・・・・・」


変態なの?通りすがりの優しいお兄さんではない?やっとハンスから解放されたと思ったのに、もしかして次なる変態が現れてしまったのだろうか。


防犯ブザー持ってたっけ?アイギスのもふもふガードは変態にも有効だろうか。



「まぁ、もともとにゃ…《ナビさんのお気に入り称号》が欲しくてやったんだけどさ~、お気に入り通り越しておもちゃはウケるよね~」


あ、違う、変な人だ。この人は変態ではなく、変な人なんだ。


触手について熱弁するとか危ない人なのかと疑ったけれど、ナビさんに気に入られるために行った犯行だと言う。


ナビさんに気に入られるために触手について熱く語るとか発想がぶっ飛んでいる。変態とかそういうのではなく、ただただ変な人なのだろう。



「変なおじs——」


高速で不埒なアイギスの口をふさぐ。たとえ事実、変な人だとしても本人に向かって言ってはいけないし、アイギス(推定年齢:子兎)から見たらおじさんだとしてもその呼び方はまずい。



「ん?」


「な、なんでもないですっ!あっと、この子は仲間のアイギスですっ」



幸い男性にはアイギスの言葉がよく聞こえなかったようだ。追及をごまかすために口をふさいだままのアイギスを男性の前につき出す。


アイギス、魅了だ。もっふもふな毛並みで男性を魅了して先程の発言をなかったことにするのだ。



「お、おう。・・・・え、アイギスって・・・・・・」


男性はアイギスの名前に聞き覚えがあるようだ。めっちゃ堅い盾として有名だもんね。


元ネタを知らなくてもゲームで出てくることもあるだろうし、男性が知っていても不思議ではない。


対するアイギスは男性に興味がない様子で頭を下げることも、耳を動かすこともなく、無反応だ。


アイギスも人見知りなのかもしれない。知らない人に撫でられた時にも凄く嫌そうにしていたし。


仕方がないので定位置に装着して自己紹介を続ける。



「あっちでワンコとモグラ叩きしてるのがバロンです」


「お、おう。いや、モグラ叩きってか・・・・・」



男性は戸惑った様子でわんこが出現する度に猛スピードで駆けつけて熱烈なハグ(衝撃で相手は吹っ飛ぶ)をするバロンを見ている。


バロンはこちらを気にした様子もなく、時々ハイタッチも交えてわんこに挨拶をしている。


バロンが早すぎてわんこなのかウサギなのか正直、白かった気がするなとしか認識できていない。




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