2020年の俳句
星新し青く見ゆるや時計塔
初明り酒一杯にまどろめり
かぼそさは茎二寸なり根白草
嬉しさや軒かげに梅二輪ほど
不二山の未だ白かりき光悦忌
寝がての腕の筋や涅槃吹
しづけさや桜しべふる夕間暮れ
硝子戸にもたれて四月馬鹿の日や
乳色の皿買ひ得たり宗悦忌
青梅や傘のひとつも持たずして
あぢさゐや傘さして居る石の径
裏窓の石榴の花や雨一日
波あとの海色清ませ沖縄忌
鉄塔や澄江堂忌の空に入る
雨細き夜はしづけし金魚の尾
冬ざれや列車の窓に皆去にき
木枯らしや飛行機雲はすじなしぬ
訪ふ家も庭掃き居るや冬日差
吹きつのる風さわがしや冬帽子
枯れあざみ流るる風に吹き折れぬ
山茶花や煙は風に吹きすぐる
風おりおり吹くばかりなり寒燈下
艶にしてすく濡れ髪や枯木星
水桶に呉須絵揺れたる蕪かな
星屑の果てはいづくぞ雪の街
凍星や青いインクの壜の欠片
遠の灯の少なからずや雪催ひ
早梅や朝日さす坂行きしかば