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第8話 『新しい家は大豪邸①』

 

 何とか自分がストーカーではないことを説明し、同居人であると発言した旺太郎。そのおかげで、漸くリビングに入れてもらうことが出来た。


 赤髪の彼女はどうやら水着にバスタオルを巻いていたようで、一度着替えてから再びやって来た。そんな彼ら五人は、ダイニングテーブルを囲んで座っている。


(気まずい……)


 第一印象が悪くなってしまった旺太郎は、居心地の悪さを感じ話し出すことが出来ない。


「黒音、本当にこいつがルームメイトなの?」


 テーブルに肘をつきながら心底嫌そうな表情を見せる赤髪。


「え、えぇ。先程、父と会った際に言われました。一緒に暮らす方が男の人だと聞いて、紫乃に急いで電話したのですが……。まさかこのデリカシーの欠片も無い人だったなんて……」


「変態さんは犯罪者みたいですが、悪いのは連絡不足なパパたちなんですね」


「だれが犯罪者だ」


 先程から何度も犯罪者扱いしてくる白い髪の彼女に、旺太郎も訂正を入れずにはいられない。


「あの人たちは何を考えてんのよ……。ていうかあんたも無言で家に入るとか信じらんない!普通デカい声で挨拶するでしょ」


「わ、悪かった。緊張してたんだよ」


 旺太郎もその件については全面的に謝罪する他ない。バスタオルの下が裸じゃなくて良かったが、それでも赤髪の彼女からしたら、突然家に入って来た見知らぬ男性に裸同然の姿を見られたのだ。怒って当然だろう。


「まぁまぁ、三人とも落ち着いて。とりあえずさ、自己紹介しない?陰キャ君も困ってるし」


「そうですね。変態さんですが仕方ないですね。私も仲良くしてあげるんです」


 みんなを落ち着けて、場を整える茶髪の彼女。自己紹介を提案すると、白い髪の彼女もそれに同意。


「イヤ。こいつとはもう関わるつもりも無いし、個人情報を教えるなんて絶対ムリ」


「私も同感です。こんな人と一緒に暮らすなんて、絶対に嫌です」


 そんな説得も虚しく、赤髪と黒髪の二人は断固拒否する意思を表明。


「悪かったって。一緒に暮らすんだからちょっとくらい仲良くしようぜ」


 旺太郎も元々仲良くするつもりなど無かったが、場を収めるために、雀の涙ほどのコミュ力をフル活用。


「あんたが言うな!」


「そっちが意地悪してきたくせに、ふざけないでください」


(クソ、こいつら話が通じねえ)


 そんな旺太郎の必死の言葉も通じず、八方塞がり。元はと言えば、自分から嫌味を言ったり反感を買うような事をしたのだから、身から出たさびであることは旺太郎も承知だ。


「私はもう部屋に戻ります。決まったことなので仕方ありませんが、私はあなたと暮らすなんて絶対に認めません」


「私も行くわ。美栗、白奈、くれぐれも気をつけるのよ」


「何もしねーって……」


 旺太郎に反対していた二人は、それだけ言い残すと、階段を上がって部屋に戻ってしまった。

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