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第4話 『彼女たちは同居人④』

 

「梅干しを嫌いな日本人なんていないだろ」


 いいものが見つかって良かった、と満足げな旺太郎。祖母がよく作っていた為、旺太郎の好物であるのだ。


「切符は……180円か」


(思ったよりもかかるな……)


 ここまで来るのに約600円だったから、合計800円ほど。梅干しは予算より安く買えたため、合計すれば今日の出費は概ね予定通りだ。


 券売機で切符を買い、改札へ向かう。


「ちょっと、袋忘れてるわよ」


 旺太郎は足を止め、後ろから聞こえた声の主に振り返る。そこにはワインレッドの色の髪をした、所謂ツインテールの髪型の女が立っていた。その結び目のところにある薔薇の髪飾りにどこか既視感を覚える旺太郎。


(何か見覚えがあるような……。まぁいい、それよりも梅干しだ)


「あぁ、悪い。助かった」


 彼女から梅干しの入った袋を受け取る。


「……」


 受け渡しの瞬間、その女は無言で旺太郎のことを見つめる。しかしすぐに彼女は眉間にシワを寄せると、


「あんた、財布ボロボロじゃない。きったないわね。大切にしなさいよ」


「いきなり失礼だなおい」


 財布を持ったままの手で袋を受け取った為か、彼の財布を見て女がボロボロだと評価する。ボロボなのは分かっているが、大切にしなさいとは心外だ。どれだけ大切にしていても、ずっと使っていればこうなるのは自然だ。


「パパが言ってたわ。財布を大切にしない男は女性も大切にしないって。それじゃあモテないわよ」


「あぁ、モテたいなんて思ってないからな」


(ん?こいつの財布……)


 そして彼の目は捉えてしまった。彼女の手に握られている財布を。その財布に刻印された超高級ブランドの文字を。


(なるほど、こいつはお嬢様って訳か)


 和菓子の彼女といい、どうしてこうも金持ちとは嫌味ばかりを言ってくるのか、とイヤな気分になる旺太郎。


「そういやばあちゃんが言ってたな。趣味の悪いブランドの財布を持ってる女はモテないって」


(嘘だけど)


 たった今旺太郎が作っただけの虚言だが、旺太郎も何か言わずにはいられなかったのだ。


「……何か言った?」


 なぜか急に笑顔になる彼女。そして一体どこから出ているんだと思うような、冷たく凍える声。


 少しだけ恐怖を抱いた旺太郎は、「はは」とかわいた笑いでごまかす。しかしそれが逆効果だった様で、彼女の表情が一気に怒りに染まり、


「キモい顔してんじゃねーよ。ウザいからさっさと失せろ」


 中指を立てて睨みつける彼女の視界から一刻も早く外れようと、旺太郎はそそくさと改札機を通り逃げて行った。


「そんなにキモいか……」


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