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第10話 『新しい家は大豪邸③』

 

「案内するから、着いてくるといいです」


「おう」


「1階はリビングダイニングとキッチンです。トイレはキッチンの横にあるんです」


「それにしても広いよな……」


「この人数で暮らすんだから当然なんです」


(当然……?)


 一般的な家庭の数倍はあろうかという広さ。そんな家の広さが当然なはずがないのだが、白奈はそれを当然と言ってのける。


「ちなみに、ソファの向こうのあそこ、南側のカーテンを開けると、前面ガラスの扉になってるんです。向こう側にはプールも付いてるので、夏場は開けっ放しとかも多いんです」


「す、すげーな」


(なるほど、それでさっきあいつは水着だったのか)


 と、先ほど何故かリビングで水着だった紫乃のことを思い出し納得。


「次は二階に行くんです。二階にはみんなの部屋があるんですよ」


 そう言いながら歩き出す白奈について行き、旺太郎は螺旋状の階段を登る。階段を登ってすぐ、白奈は左側のドアを指差す。


「ここは収納スペースで、その横はトイレです」


「なるほど、ここから下の階が見えるのか」


 トイレを通り過ぎ、真っ直ぐ進むと、そこは吹き抜けになっており、下の階のソファやテレビ、そして玄関が見える。


「吹き抜けになっているので、声をかけやすくて便利ですよ。部屋は全員北側になってるんです。手前から、黒音、美栗、紫乃、私、そしてお前の部屋です」


「俺は一番奥だな、了解」


「分かったら三階に行くんですよ」


 再び螺旋状の階段を登り、三階へと上がっていく。


「三階は浴室と洗面所があるんです。洗濯機もここにあるんですよ」


「ん?それだけか?」


「?そうですよ」


(二階は部屋が5つもあったのに、三階は狭いのか。……待てよ、もしかして、いやこの家ならありえる……)


 ぼーっと考える旺太郎だが、はっと何かに気づく。次の瞬間、キリッとしたキメ顔で白奈の方を向き、尋ねる。


「隠し部屋……あるんだろ……?」


「頭沸いてるんですか」


「……」


「ついでに声と顔がキモいです」


「……」


(それは言わなくていいだろ……)


 食い気味に狂人扱いされ、厨二病的恥ずかしさや居た堪れなさを感じる。最早、旺太郎は黙るほか無い。


 隠し部屋、忍者と言えば男の子的ロマンが詰め込まれているのだ。こんな豪邸なんだからもしかしたら、と思ってしまうのが男の子だ。


「あとは屋上だけですね。洗濯物を干したりするんです。案内する場所もこの位なので、変態さんも後はご飯までご自由にするんですよ」


「お、おう、ありがとな」


 旺太郎がこれから暮らす家。高級住宅街にある、プール、噴水付きの一軒家。家具の一つ一つが洗練されている高級品であることにこそ気付かなかった旺太郎だが、それでも、新しい家は大豪邸だと言うことだけは理解できた。

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