女神との出会い
目を開くと真っ白な部屋に寝転がっていた。そして目の前には小さい女の子が居る。どういうことか頭の中を整理していると、圭吾が起きたことに気付いた少女が話しかけてくる。
「おっ、意外と早く起きたのう」
喋り方と見た目が一致しない少女に圭吾はますます困惑する。夢だと信じて頬を思いっきりつねる。しかし何も変わらない。それを見た少女は呆れた様子で話しかけてくる。
「夢じゃないぞ、現実じゃ」
(なんで何も言ってないのに自分が思ってたことが分かるんだろう)
「そんなの心を読んだからに決まっておろう」
「簡単に人の心を読まないでくれ…」
そう言って溜息をつくと少女は
「気を付けるようにするのじゃ…」
と言って落ちこんだ。
「ごめん、そんなに気にしてないからあんまり落ち込まないで」
と言って頭を撫でてあげる。
(それにしてもこの人は誰なんだろう?)
と思っていると
「妾は女神で霞というのじゃ、とにかく妾は凄いのだ」
撫でられたことで元気を取り戻し、圭吾の心を読んで自慢げに言う。圭吾はそんな様子を見て引っ越す前の家の近所に居たよく遊んであげていた子どもを思い出し、ついまた頭を撫でてしまう。
「くすぐったいのじゃ」
と言って身をよじる。
「ところで聞きたいことがあるんだけど」
「なんじゃ?」
「ここはどこなの?」
「妾や神達が住む天界じゃ。何も無くてつまんないのじゃ」
そう言って溜息をつく。
「じゃあなんで俺はここに呼ばれたの?」
「妾の管理している世界に住んでもらって、悪い奴を倒してもらってその後で、お主の生活が落ち着いたら一緒に住みたいと思ったからなのだ」
「一緒に住むというのは保留にして置いて、悪い奴とはどうやって戦うの?俺には何の力も無いよ」
自信なさげに言うと、霞は満面の笑みで
「それなら心配しなくても大丈夫なのじゃ。ここに来る前に妾の部下からペンとノートを貰ったじゃろ、そこにお主の得意な絵で望むことを描けばそれが現実になるのじゃ。それに身体能力なども強化しておくからよっぽどの事がない限り大丈夫なはずじゃ」
よく分からないがとにかくこれがいわゆるチートだという事は分かった。
「とにかくいろいろしてくれてありがとう。霞」
「こんなのお安い御用なのじゃ!」
それから二人で自分の日常などを話し合う。そんな感じでしばらく話し合った後で
「そろそろ覚悟はできたかの?」
「もう大丈夫、じゃあ行ってくるよ」
「頑張っての、妾もそのうち行くからの」
そう言われると再び視界が真っ白に染まった。