列車と海
5ーー!!今回も楽しく書けました!
ぜひご覧ください〜!
50万人殺した後、俺は遠くへ姿をくらませた
とにかく遠くへ...誰にも見つからないような場所へ
姿を消し、誰にも見えないようにした
そしてじっと、時が過ぎ行くのを、待った
禁忌の呪いをかけたのは それからだ
列車と海
ヨハルは2階への階段を上っていた。そこまで長くは無い。40段〜50段程だろう。
「天井が高い...ますますおかしいな。何が起こっているんだ?」
怪しがりつつも、やはりその異様な状況に高揚しているのか、少し笑みを含みながら彼はそう言った。
2階への階段を上りきり、ふと横を見やる。天井付近まで続いているであろうガラス張りの窓の外は、やはり死んだ街だった。
「上に来ても特に変化無しか。いきなり外がガラッと変わってるとかだったら面白かったな。」
少し残念そうにそう言った彼の耳に、何かの音が聞こえた。外からだ。
「?何の音だ?」
少しずつ、だんだんと近づいているようで、音は次第に大きくなっていった。
「ここに来るか?」
動揺してもおかしくない状況で、彼は至って落ち着いて、冷静に考えを巡らせていた。
「(さっきの音....なんか警笛に似てたな、列車かなんかの。 そして現在近づいて来ている音....、
ここは駅....まさか。)」
そのまさかであった。この建物にぶつかるのではないかと思う程音が極限まで近づいてきたその時、ガダンッ と車体が腰を線路へ落とすような音が聞こえた。その後すぐ、下のホームからギギギギーッ と、列車の停まる音が耳に鋭く響いた。
1階へ向かうと、そこには確かに列車が停車していた。そしていつのまにか、ホーム全体が恐ろしい程に変化していたのだ!
植物や蝶は消え失せ、一階の天井は高くなっていて、厚いガラスが張ってある。崩れた箇所なんてどこを探しても見つからないほど、白く神秘的な雰囲気を残したまま、完璧なまでに整備されていて、振り返ると、2階への階段は、もうすっかり消えていた。
「この駅はここまで姿を変えるのか!残念と思ってしまって申し訳ない!面白いなぁここは!」
興奮を隠し切れず、ついヨハルははしゃいでしまっていた。
「これに乗ることはできるのか?」
列車に近づきウロウロしていると、
「お客様!どうぞお乗りください!」
車掌がひょっこりと顔を出し、朗々とした声をかけてきた。
「ありがとう!ぜひ乗せてもらいたいんだが、あいにく手持ちが」
「お金!!?ハッハッハッ!!そんなのいりませんよ!!さぁ!お早く!」
ヨハルの言葉を遮るように、車掌は明るくそう答え、搭乗を促した。
「悪ぃな!それじゃあありがたく!」
そう言ってヨハルはオリエンタルな列車に乗り込んだ。
「座席は勝手でいいんだよな?....この雰囲気いいなぁ。 座席にテーブルがついてる!豪華で綺麗....ん?人か?」
目を向けた先には、確かに自分以外の搭乗車がいた。見たところ、1人や2人ではなさそうだ。
「この世界にもちゃんと生きてる人はいるのか。...いや、どうだろうな。」
ヨハルは少しニヤニヤしていた。力を全く使っていないため、全てのことにワクワクしてしまう。意味不明というのはこれだから面白い。と、彼は満足そうにうなづいた。
「列車が出発いたします、ーーーーーー。」
さっきの車掌の声だ。
ゆっくりと列車は動き出し、ホームを出た。
窓から外を見た時、 思わず唖然とした。
外は夜だったのだ。空には満点の星空が広がり、死んだ街は、
海になっていた。
ご閲覧ありがとうございました!
書いてて本当に楽しかったです!ファンタジーっていいですねぇ〜。
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