時空の扉をこじ開ければ
2部分目です!どうぞよろしくお願いします!異世界ファンタジー書くの楽しー!!
この世には、4つの異世界があるといわれている。
といっても、ただの逸話としてだが。そのため、本気で信じている者は少なく、ましてや、
実在するのだと知るものはいない。
ただ1人、 彼を除いて。
時空の扉をこじ開ければ
日がまだ昇らない時間、ヨハルは野原を抜け、山の麓に到着していた。当然だが、辺りに人は皆無。静かな静かな空間だ。
彼が今から行わんとしているのは 「時空渡り」。
「仮に他の異世界があったとしても、時空の扉は開けられない。まず、出現させるほどの力を持つ者などいない。」
この手の話を振れば、必ずこう答える者がいる。常識的に考えれば それでいい。その通りである。
しかし、彼を常識に当てはめんとするのは、余りにもナンセンスだ。
杖を取り出し、目の前を指す。「力」を込めれば音がした。 そうまるで、 施錠が外れたような。
指した先から風が吹き出る。それは辺りの木々を揺らし、彼のローブをバタバタと忙しなく翻し、ごうごうと唸りを上げた。それでも彼は瞬きを一切せずに、ただ前を見据え、満足そうに微笑んだ。
徐々におさまっていく風の中、「ソレ」が形を現した。重苦しく、威厳を讃えるその扉の施錠は、
確かに 外れていた。
こうしていとも簡単に扉をこじ開けたヨハルは、まるで当たり前のように、その扉の中へ歩みを進めた。ずっと先に白く小さな光が見えるが、そこまではずっと、まるでトンネルのような暗い一本道が続いている。歩きながら、ヨハルは色々なことを思い浮かべた。というより、勝手に脳味噌が話題を持ってきて、想起せざるを得なくなったという表現が正しいだろう。
「(こう1人になると要らないことばかり思い出す... いっそ忘れちまえれば楽なのに。)」
自分の無駄に良い記憶力を呪いながら、ヨハルは頭の中に浮かんできた風景を、ただじっと見ていた。じぃっと、ただ静かに 見ていた。
光がだんだんと大きくなる。随分暗い道を歩いてきたヨハルは、倍に増して感じられた光の強さに少し目を細めながら、それでも歩く速度を緩めずに、光の中へと消えた。
ほとんど閉じていた目をはっきり開ければ、もう知らない世界だった。歩いてきたはずの道は消え失せ、当然扉も消えていた。
「(ここは....山道か。 道に車輪の跡がある。馬車かなにかが通っているんだな。ということはさほど深くない森か。 ....しかし変な森だ。葉は全て薄紫、幹はまだら模様で所々色が違う。アホなガキが描いた落書きのような色合いだ、目にちっとも優しくない。)」
そんなことを考えながら、ヨハルはこれからどうするかを悩み始めた。
「(さてどうするか...ここでこの車輪の正体が通りかかるのを待つのも良いが、時間がかかるだろうな。かといって歩くにしても、この薄暗い森を抜けるのはいつになるか...。)」
旅の移動に極力魔法は使わないをモットーとしているヨハルは、車輪の正体が訪れるまで、試しに待ってみることにした。
「(急ぎの旅じゃない、むしろ呑気過ぎて良いくらいの旅だ。どうせ死人も同然な俺様の、この上ないスローライフだしな〜。)」
しかし30分後、ヨハルは歩き出していた。死人も同然のくせに短気である。
「(歩いてれば偶然バッタリ!みたいなこともあるかも知れねぇし、どうせなら自分の足で見て歩きてぇし、ってことで歩くけど、まぁ〜色合い以外何の変哲もねぇ道だな〜。ああ、でも、)
生き物がいねぇな。」
遠くで車輪の音がする。
ご閲覧ありがとうございます!
次もどうぞよろしくお願いします!
ツイッターもやっています!どうぞそちらものぞいてみてください^^