海底の街
ひっさしぶりの更新です!なんだか懐かしい...!
とても短いですが、ぜひご覧ください!
夢を見た。
何も無い、真っ暗な空間に、一人で佇む夢。
壁も屋根も無いというのに、
まるで牢屋のようだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
深い深い海の底、光が当たらない深海で、ヨハルを乗せた列車は絶えず走り続けていた。
しかし、暫くして、
「ん.........。」
ヨハルが目を覚ました、ちょうどその時、
[ ゴーーーン ]
と、遠くで鐘の音が響いた。
「!? 鐘?海の中だろ...... !」
ヨハルが驚いて窓のカーテンを開けると、
「! なんだここ....!?」
....青白い石造りの建物と路、高い碧色の木々、行き交う人々、空中を漂う鮮やかな魚達。
「.......空がある.....。」
灰色の空が広がっている。しかし、間違いなくここは海の中なのだ。
「どうなってんだよ.......。」
口では動揺していながらも、ヨハルの胸は静かに高鳴っていた。
ーーーーーーーーー
[ お降りになる方はどうか、お忘れ物の無きようお願いいたします ーーーー。]
ヨハルは降りることを決めた。
他の乗客達の中にもここで降りる者はいるようで、あちらこちらから、荷物を持つ音、服の擦れる音、足音などが聞こえる。
「ご乗車ありがとうございました〜。」
従業員が優しく乗客を送り出している。
ヨハルも他の乗客達に続いて、列車を後にした。
「ん〜......。」
一つ大きく伸びをする。続いて彼は辺りを見渡した。
「(.....空気が普通にある。本当にどうなってんだよこの世界は...。)」
ふと、彼の頭上を魚が横切った。ひらひらとそのヒレを羽衣のように踊らせ、当たり前のように空中を泳いでいる。
それからヨハルは、行き交う街の人々を、ゆっくり歩きながら浅く観察した。
「(意外とまともな風貌の奴らばっかりだな。)」
否、まともでは無い。しかし、異形のものを既に見てきた彼にとってはそう思えたのだ。
「(ん?あれ図書館か?)」
大きくて立派な木製の建物が見える。恐らく図書館らしいそこの出入り口からは、時々沢山の本を持った者が出てくる。
「(行ってみるか。)」
静かな高鳴りを感じながら、ヨハルはその図書館へと、その足を向けた。
〜海底の街〜
ご閲覧ありがとうございました!
よろしければ、感想や評価のほうもよろしくお願いいたします!