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小学五年生
ぼくの名前は小日向伊織。
小学五年生。
ぼくが暮らすこの町は、都会じゃないけれどド田舎ってわけでもない。
おしゃれなお店とかはないんだろうけれど、別に生活するうえで困ったことはない。
みんな、『田舎の都会』なんて呼んでいたりする。
ぼくは小学生だから、当然毎日学校に通って授業を受ける。
休み時間には友達と遊んで、家に帰ったら宿題だってちゃんとやってる。
そんなぼくを見てお母さんはよく、「いいわねー、子どもは。お母さんも小学生に戻りたいわー」なんて言うのだ。
きっとお母さんから見たぼくは何も考えずに毎日学校に行って遊びまくって、夕方になったら家に帰って、夜が来たらぐーすか寝て朝が来たら起きる。そんなふうに映っているのだろう。
まったく、失礼な話だ。
大人から見たらたいしたことはないのかもしれないけれど、ぼくにとっては毎日が大事件の連続だっていうのに。