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星の見守り人 過去の章  作者: 井伊 澄洲
ジパング修学旅行 編
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第10話 歩く!

 落ち着いてきた所で、よしのがまだぎこちない武士姿の彦一に質問をする。


「ところで、そっちはどうなのさ?

 ええ?御武家様?」


丁髷こそはしてないが和服に草履、二本差しと完全に武士の成りきっている彦一たちに

ちゃちゃを入れながら質問するよしの。


「はは、まあ、格好が良いのはいいんだが、どうもまだ慣れなくてな・・・

木刀や竹刀なら何度も差して歩いた事もあるんだが、こうして本物の日本刀を二本も差して歩くのは初めてでな。

流石に重いし、歩くたびにガチャガチャとして、どうにも歩きづらい。

まあ、そのうちになれるだろう」

「武士も辛い訳やね~」

「はは、まあそう言う訳だ」

「で、そう言えば、草鞋の方はどうなったの?」


よしのの問いに彦一が答える。


「ああ、結局三人でいくつか買って、明日から試してみる事にした」

「一人5足ほどね」


小太郎が補足すると、えりかが驚いて聞く。


「5足?そんなに買ったの?」


そのえりかの問いに、雅楽衛門が説明をする。


「ええ、聞いた話によると、草鞋は2・3日で履き潰してしまうそうなので、それなら安い江戸で、多めに買っておこうという話になったんです。

 正直、我々もあまり草鞋は履いた事がないのでね、聞いてみたんです。

三人で15足買うと言ったら、さらに安くしてもらえましたしね。

まあ、多少嵩張りますが、これだけあれば、とりあえず箱根越え位までは持つでしょう」


雅楽衛門の説明に彦一と小太郎がうなずいて話す。


「まあ、その後買うかどうかは、それまでの歩き心地次第だな」

「そうだな。あんまり疲れるようならやめておこう」


草鞋は亀戸川と荒川の間にあるジパング市場でなら売っているが、ジパング内ではまず売っていない。

ジパング人は大抵草鞋は履かないからだ。

仮に売っていたとしても江戸よりも高い値段で売っている。

江戸へ来る途中、市場は馬車で通り過ぎてしまったので、江戸から出る前に安い値段で草鞋を買っておこうと、男子たちは考えたのだった。

雅楽衛門の説明に、えりかたちも納得する。


「なるほどね」


そのままえりかたちは6人でゆっくりと川崎まで歩いて行くと、そこにあったジパングの宿に泊まった。

明日からはいよいよ本格的な行進だった。


翌日、川崎の宿を発つと、いよいよ本格的な旅の始まりだった。

一里は三十六丁で、一丁は約109mである。つまり一里は約3.924kmで、ほぼ4kmとなる。

歩く!歩く!ただひたすら歩き続ける!

一応、ジパングにいる時に歩く訓練はしているが、江戸・ジパング間で慣れた場所なので、初めての場所を歩くのは、それなりに気疲れもする。

神奈川、保土ヶ谷、戸塚と通り過ぎ、2日目は藤沢に泊まる。


「いや~!つっかれたわ~!」


よしのがえりかやみゆきと風呂に入りながら叫ぶ。


「あはっ、ジパングから江戸にかけての道は全部、混凝土こんぎょうどで舗装されているけど、品川から先はそうでもないもんね」


混凝土すなわちコンクリートの道ならば、ジパングでも歩きなれている。

みゆきも疲れた様子で話すとえりかもうなずく。


「うん、普段、土の道ってあまり歩かないから慣れないとやっぱり辛いね」


ジパングの中は舗装率百%の混凝土、つまりコンクリートで、江戸の主要な道路もジパングが技術提携しているせいもあって、舗装されている場所が多かった。

しかし流石に一歩江戸を出れば、まだほとんどが砂利と土の道であり、長い道を歩くには苦労した。

学校では日ごろ江戸・ジパング間を歩く訓練をしており、それなりに歩く習慣はつけていたが、さすがに初めての道を30km以上歩くのは厳しい。


「明日は小田原泊まりで、あさってはいよいよ箱根かぁ~」

「そうだね」

「まあ、今日はゆっくり寝ようよ」

「うん」


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