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星の見守り人 過去の章  作者: 井伊 澄洲
徳川家康 編
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第01話 序章

まずは徳川家康編の始まりです・・・

謎の国ジパング。

天下統一を目の前にした徳川一行はそこを偵察しに行って驚きます。

理解不能なほど発達した文化、一騎当千の「戦乙女」と名乗る美少女たち

食べたこともない食べ物、そして信じがたい超兵器の数々・・・

このような国にどうすれば勝てるのか?徳川一行は悩みます

そしてその結果は・・・?



 それは室町時代末期、世の人の言う戦国時代・・・その時に堪えて生きて数十年、ついに家康は天下人にあと一歩、いや、半歩となるまでになっていた。


 先の将軍で、徳川幕府の開祖、徳川家康は息子秀忠に将軍職を譲り、大御所となった今、その長い人生の中でも、もっとも悩んでいた。

日本中に「敵」がいなくなった今、最後の大問題が持ち上がったのだった。

その問題で、部下たちの突き上げは、もはや絶頂に達していた。


「大御所様、もはや猶予はなりませんぞ!」

「一刻も早くあやつらの討伐を!」

「さよう、事は幕府の沽券にかかわりまする!」


その日、徳川幕府の内部では大事となった事態に政事が乱れ、紛糾していた。

それは、いわゆる後世で「ジパングの役」もしくは「ジパングの陣」と言われる戦いの始まりだった・・・


この日の本の国、すなわち日本は「応仁の乱」以降、長らく戦乱の世の中だった。

そんな戦乱の世に織田信長公が現れ、天下統一の一歩直前までいったが、本能寺で露となって消えた。

その後に台頭してきたのが豊臣秀吉と徳川家康だった。

結果として豊臣秀吉が信長公の後を継いだ形となり、家康は涙を飲んだが、何はともあれ、ついに日本は豊臣秀吉によって統一された。


しかし、その豊臣秀吉が亡くなり、後継者の石田三成と関ヶ原の合戦で徳川が勝利を収めて、事実上の天下を勝ち取った。

その後、徳川家康は征夷大将軍となり、待望の徳川幕府を江戸に開いた。

そしてもっとも頭を悩ませていた、秀吉の遺児、秀頼とその一党である豊臣氏も先ごろの大阪冬の陣、夏の陣によって滅亡した。

これで天下は完全に徳川の物となるはずだった。

しかし意表をついて一つの国がその妨げとなったのである。

東の小国、「ジパング(慈潘具)」である。


武蔵の国と下総の国の境にある、わずか五里四方ほどの小さな国、それが「ジパング」だった。

将軍の御膝下と言っても良い、江戸から東へわずか二里ほどにあるこの国は、小さいにもかかわらず、不思議な国だった。

話によれば、千年以上も昔からそこにあるが、その間、決して他を侵略せず、侵略もされず、そして特に領地も広げず、朝廷には一応の礼儀を保ってはいたが、あくまで基本的には独立を保ってきた国であった。

その間、周辺の豪族はもとより、朝廷や鎌倉幕府、そして関東の雄、北条氏、先ごろは、かの太閤秀吉殿下の軍でさえ退けて、徹底した自主独立を図っていたのだった。


ところが不思議な事に、この小さな国は徳川氏には好意的だった。

より正確に言えば、家康個人に対して好意的だった。

いや、好意的というなどというものではなかった。

それはまるで家康を慈しみ、保護するかのようだった。

しかもそれは近年になっての事ではない。

家康がまだ幼名の竹千代で、織田や今川の人質である頃からである。

つまりは戦国の世においては、どう考えても何の価値もない、肩入れする理由などない時から、ジパングは家康の味方として存在していた。

そしてその後も家康が頭角を現して行く間に常に盟友として助けていた。

直接の援軍こそ、ほとんどしていないが、食料の補給、金銭の援助、逃亡の手助け、家康個人の護衛など、その助力は枚挙に暇がないほどだった。


しかし、関ヶ原の合戦が終わり、豊臣も滅びた今、ここにきて、その盟友が仇となった。

徳川の天下となった今「盟友」などは必要ないのである。

徳川が欲しいのは「天下」であって、そのためにはジパングは「配下」にしなければならず、「盟友」であってはならないのだった。

そのため、ジパング以外の敵が全ていなくなった今、残るジパングには「配下」となってもらわなくてはならないのだった。

それがわかっていても家康にはそれがためらわれた。

自分が幼き時より、たった一人の味方だったと言っても良い、ジパング国主の明月院あいら。

その人は初めて会った時から何故か全く年を取らず、しかも家康が独立してからは、信じがたい事に国主であるにもかかわらず、家康の護衛として、常にそばに仕えていた。

そんなあいらを家康は親とも友とも、そして師とも思っていた。

そのような人物と、その故郷を攻めるのは家康としては何とも気が進まなかった。

それに家康はあいらと幼少の頃からある「約束」をしていたのだ。

今、家康はまさにその日の事を思い出していた。

そう、まだ自分が竹千代で、織田や今川の人質だった頃の事を・・・



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