3.神様パワーと固有スキル
「まぁまぁ落ちついてぇ」
突然降臨した、転生するときに出会った神様にひたすら驚く。
「え、え、でも、だってこんな風に出て来ちゃいけないんじゃ…!?」
あ、あれ?普通に声が出る。
違和感を覚えて周りを見回すと、猫獣人達はまるで時が止まっているかのように誰一人として動いていない。
「どういうこと…?神様パワー?」
「神様パワーですよぉ、すごいでしょ〜?」
神様はあの狭間で見せたように口元を綻ばせてにっこりと笑う。
ウワー!イケメンすぎてなんかドキドキする。
顔が良すぎる。
結構身体はガッチリしてるのに、髪の毛ふわふわでニコニコしてるし、何より喋り方がのほほんとしているからすごくお茶目に見える。
これがギャップか!?
「今日は伝えきれなかったこと伝えに来たんですよ〜、ほらぁ、僕祭壇の前とかじゃないと神託下ろせないんですよお。」
そういうと神様はおもむろに私に手を伸ばして抱きかかえた。
アーー!!顔が近い顔が近い顔が近い!
「いや〜とっても可愛くなりましたねえ、猫ちゃんは良いですねえ、三毛猫ちゃんはこの村にいなかったから目の保養ですよぉ〜」
アッこの人猫バカだ。
私と同類で猫吸っちゃうタイプの人でしょ!?
グッドスメルとか言っちゃう人でしょ!?
「う〜ん、グッドスメル!」
ギャアア!ドンピシャ!私を嗅ぐな!女子なんだぞ!
「あのっ伝えきれなかったことってなんですか…っ」
私は肉球で神様の顔を押し返す。
「あぁあ〜、ええとですねえ、オマケでつけた固有スキルの話ですよぉ」
肉球で押し返されてウットリとした声で神様は言う。
「ステータス開いてみてください〜、ステータス見たい〜!って思えば見えますのでぇ」
「なるほど…?」
ステータスとかあるんだ…うーん、ファンタジー。
とりあえず言われた通りやってみよう、私も気になるし。
うーん、見たい見たい、ステータス見たーい!
ヴン
オワー!出た!ええと、なになに…
【名前】 ハル
【種族】 猫獣人・子猫
【年齢】 0歳
【 Lv 】 1
【 HP 】 10
【 MP 】 10
【固有スキル】
レシピ本 動物図鑑 目利
【スキル】
なし
よっわ。脆弱〜!
まあそりゃ0歳だし、子猫だし、仕方ないね。
それで気になるのは固有スキル、レシピ本、動物図鑑、目利…?
「それは転生する前の貴女を基にしてオマケでつけた固有スキルですよぉ。レシピ本と動物図鑑は名前の通りのスキルですから、開いて見てくださぁい。」
見られるのか。
じゃあレシピ本からかな。
うーん、見たい見たい、レシピ本〜〜!
ヴン
おおー、まんまレシピ本だな。
目の前に出て来たのは大体20cmくらいの分厚さの大判のレシピ本だ。
表紙にレシピ本て書いてあるし、異様に分厚いのが気になるけど…。
どうやってめくるんだろ。
「これはねえ、こうするんですよぉ〜」
神様が私の手を取ってレシピ本に触れて、そのままスライドさせる。
パッと画面が切り替わり、見慣れたレシピ達が表示される。
あーこれ!愛用してたレシピ達が一冊になってるやんけ!
なるほど分厚いのもわかる。
転生する前の私、野本遥の唯一の趣味。それが料理だった。
食べるのは私だけだけど、素材にこだわったり、ちょっといいものお取り寄せして調理したり…。
料理してる時は楽しかったんだよね。
「次動物図鑑開いて見ましょうよぉ〜スンスンはぁ〜」
人が思い出に浸ってる時に嗅ぐな!
思ったけどこの神様どうしようもないんじゃ…?
まぁいいや、うーん動物図鑑動物図鑑…せいっ
ヴン
これまた分厚い。
でもこれは、私が持ってたのと同じように見えるけど、なんとなく違う…?
そう思ってめくってみる。
「おお…!?」
そこにはこの異世界の動物と思われるものがイラスト付きで説明されていた。
私達、猫獣人のことも載っている。
なになに…
【猫獣人】
【体重】約8〜25kg(成体)
【体長】約70〜120cm(成体、尾は含まない)
優れた平衡感覚と柔軟性、瞬発力に長けた身体の構造をしている。
特に足の音が小さい事、体臭が少ない事から狩の際には、集団で狩をする犬獣人とは対照的に、足音を消して忍び寄ったり、待ち伏せしたりして狩を行う。獲物は主食である魚や小動物。
このため、武器などは用いず自身の鋭い鉤爪、牙を用いる。
鉤爪は自由に出し入れが可能。
はい一部抜粋。
あんまり元の世界と特徴は変わらない。
二足歩行で歩いたりしてるけどね!
私は動物全般が大好きで、図鑑も複数持ってたからスキルになったんだろうな。
人間なんかより動物よ動物!
動物園や水族館がこの歳になっても楽しくって仕方がなかった。
周りの人達は笑ってましたけどね。
「うんうん、いい感じですねえ〜。あとこの目利というスキルは自動的に発動しますよぉ。
それからスキルの方は経験によって取得することができますから、頑張ってくださいねえ」
「普通のスキルは色んなこと経験すれば良いってことですね?
あとその目利きってスキル、大体想像つきますけど、効果は…?」
「食材の鮮度とかが分かります!」
でしょうね!
「固有スキルについては以上ですねえ〜、どう使うかは貴女次第ですから、獣人生を存分に謳歌してくださいねえ。
私は祭壇にお祈りしてもらえればいつでも相談に乗りますから、遠慮なさらず構ってくださいね!」
イケメンスマイルで神様の顔が輝いてる。
構ってくださいって、もしかして神様って暇なの…?
「オホン、じゃ、今日は貴女が目を開けた記念日ですからねえ〜この私、獣神の加護を授けましょうねぇ。」
神様が私に手をかざす。
その瞬間、私はふわふわ浮くような感覚と暖かい光に包まれ身体が眩く輝く。
「…この獣神の加護は、貴女を災いから守るでしょう。
簡単に言うと攻撃力・防御力・身体能力の向上、一番のご利益は毛並・毛艶の向上ですよぉ!」
いい子いい子と頭を撫でるように撫でられる。
毛並・毛艶の向上て…しかしこれわ、わ、悪くないなこれ…イケメンにいい子いい子されるの…えへ
「それじゃあ、貴女の第2の人生です。たっくさん楽しむんですよぉ!いつも見守っていますからねぇ〜」
スッと村長の腕に戻され、神様がバイバイと手を振る。
そうか…そうか、私の第2の人生なんだ。
こりゃあもう楽しむしかないな!
幸い私は私のままでここにいるんだ、固有スキルもスキルも全部全部利用して…!
思う存分料理するぞー!!
レベル書くの忘れていたので訂正しました!