序章
私、これからどうすればいいんだろ・・・。
空から降り注ぐ雨は、激しくて冷たくて、まるで私を罰して喜んでるみたい。
錆びたトタン屋根はミシミシと音を立てて崩れていく。
あぁ、もう駄目だな。何もかも全部。
制服にしみ込んだ「赤」は心にまで侵略してきそうだ。
「ごめんね・・・。だけどさ、仕方ないよ・・・・・こうなったらさ」
足元でしおれてしまった花は水を浴びせても、もうどうにもならない。
ぼう、と見つめていればパシャパシャと水をはねて、誰かが駆けつける足音が聞こえてきた。
誰だ、なんて脳内で探る間にも足音は近づいて、私のすぐ後ろで足音が止まる。
あぁ、忘れてた。最後のギゼンシャ。
現世界、今超パニック状態。
周りは海が取り囲み、山が多い田舎があれば、東京のような大都市もある日本はまだその原型をとどめてはいる。
しかし、ある世界環境の変化により、世界の一部が壊れた。
世界の一部といっても、ただ一つだけ。
「ゲイド」と呼ばれる殺人鬼が現れたのだ。
人を殺すことで優越感におぼれ、「人を殺したい」という欲望のために人を殺し、罪を犯し、理性が吹っ飛ぶまで殺しまくる、元人間。
なんでそんな奴らが現れてしまったのかはよく分からない。
けど、そんな悪者もいれば、それに怯える人間を守らなければいけないヒーローも必要な訳で。
世界の掟か何だかわからないけれど、そのヒーローはすでに見つかっている。
人間と人間の間に生まれる特異能力者。
ゲイド発生とともに現れたそれは幼いころから容姿が美しく、強い。
人間離れの視力、戦闘能力、思考。
まさにゲイドを殺すためだけに生まれた、人間。
政府はそれを利用してゲイド対策本部「アクイラ」を作った。
アクイラの活躍度は警察以上。故に、恐れられてしまう。
あぁ、また今日もゲイド狩りがはじまる・・・。