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Story 5.河原でデスマッチ メインは弟虐め



この話しは「Story 3.男になりました・裏!」のリベンジ戦に繋がる話しと弟を姉が精神的にも肉体的にも虐める話しです。




 これから話すのは、私が未だ有紀雄になる前の事だ。

 時期的には、高校に入った頃の話しだ。

 当時、私はかなり荒れていた。

 夜の町を徘徊しては誰かれ構わず一方的に暴力を振るう。そんな毎日だった。



 ある日の夜。

 無性に腹が立っていた私は、ストレスを発散しようと、町を徘徊していた。

「おい!」

 偶々土手を通り掛かった私は河原で数人の男が一人の男に対して暴行を加えているのを見掛けた。

 私は近くまで駆け寄って言ってやった。

「てめえら、一人に対して大勢で掛かるとは卑怯じゃねえか。男なら一対一でやれ。それとも、大勢で掛からないと勝てないのか?雑魚だな」

「何だ、てめえは?」

「女か。女に用は無えんだ。あっち行ってな」

 一人がシッシッと虫を払う様な動作をした。

 それにムカついた私は、その男の懐に駆けて鳩尾に拳を埋ずめていた。

「うっ!」

 男は呻き声を上げ気絶して倒れた。

「てめえ、よくもやりやがったな」

「ボーッと突っ立っていたからな」

「クソッ、舐めやがって!おい、殺っちまっ」「あー、待った」

 一人が言い掛けた所で私は手の平を前に出した。

「その前に救急車呼んで良いか?」

「ああ、そうした方が良いだろうな」

 私は携帯を出すと、119番をした。

 台数は倒れてる奴を含めて・・・10台だ。

「10台だとぉ!?巫座戯やがってぇ!」

 完全に舐めきられてると思い込んだ敵の一人が「打っ殺してやる!」と斬られ役の様なセリフを吐いて突っ込んできた。

 私は相手の力量を測る為、態と攻撃を受ける。

ガスン!

 男の渾身の力を込めた一撃が私の頬に決まる。

 私は攻撃を受け流す為、態と倒れた。

「けっ、口だけかよ」

 男は私がもう起き上がらないと思って背中を見せた。

 私は咄嗟に立ち上がって男の背中に蹴りをくれてやる。

バキッ!

 背骨が折れる音がした。

 男はその場に倒れて悶えた。

「こんなものか。まとめて掛かって来いよ」

 言って私は残りの八人を挑発した。

 八人は見事挑発に乗り、襲い掛かってきた。

 私は目にも留まらぬ速さで迫り来る軍勢を一人、二人、三人と次々に倒していき、残り一人まで来た。

「てめえで最後だ!」

 言って私は拳を相手に当て・・・ようとしたが、既の所で留められ、天と地が引っくり返った。

 一瞬、何が起こったのか分からなかった。

 気が付くと、私は倒れていた。

 今のは・・・背負い投げ?

「悪いな。俺、柔道やってんだ。下手な真似すると怪我どころじゃ済まないぜ」

「そうか。次からは気を付けよう」

 私はこの体勢から空中に跳ね上がって立った。

「何だ、未だやるのか。辞めといた方が良いんじゃないの?」

「それは私のプライドが許さないからな。悪いがお前は意地でも潰させて貰う」

「そうか。だったら俺も容赦しねえ」

 言って男は構えながらステップを始めた。

「一応正当防衛にしたい。掛かってきてくれ」

「そんな事言って後悔しても知らねえからな!」

 私はそう言って男に近付いた。

 男が手を伸ばしてくる。

 私はそれを擦り抜けて男の懐に辿り着いた。

「ふんっ」

 私は男の鳩尾を殴って怯ませ、顎に膝蹴りを食らわせた。

 しかし男は倒れず、蹌踉めくだけだった。

 私はその隙に男を蹴って後方に跳んで離れ、後方宙返りして着地した。

「ふっ、今のは一寸痛かったぞ」

 言って男は不気味に微笑んだ。

 何なんだ此奴・・・強い。

「どうした、来ないのか?ならこっちから行くぞ」

 男はそう言うと駆けて私を殴り飛ばした。

「うわっ!」

 私の体は宙を舞った。

 目の前に男が現れる。

「あの世に逝っちまいな!」

 男は私を斜めに叩き落とした。

「うっ!」

 背中を地面に打ち付けられた私の体はバウンドして腹這いになって止まった。

「くっ・・・!」

 私は立ち上がろうとしたが、体に力が入らずに崩れてしまった。

「お前よ、俺の女にならないか?お前、容姿もそれなりにイケてるしな」

「それは有り難う。でもあんたの女になるのだけは勘弁だ」

「そうか、残念だな。俺の女になってくれれば助けてやったのによ」

「貴様の女になって助けて貰うぐらいなら死んだ方がマシだ」

 私がそう言うと、男が顔面を蹴り付けてきた。

「おぶっ!」

 鼻血が垂れてくる。

「本当に殺すぜ、お前?」

 何とかしなくては。

 私は残された力を使って立ち上がる。

「何だ、立てるのか」

 男はそう言うと、後退して助走スペースを作って駆け手前で回転。遠心力を上乗せした強力なキックを私の腹に叩き込んだ。

「がはっ!」

 私は吐血し、地面を数メートル転がるも、何とか立ち上がる。

「立つのが精一杯か?」

 と顔面を殴り付けてくる男。

ガスン!

 鈍い音と共に私は蹌踉めき、体勢を整えるのに失敗して倒れた。

 勝算は無かった。それでも私は立ち上がり、チャンスを待つ。

「いい加減にしたらどうだ」

 男が駆けてきた。

 私はしゃがんで攻撃を避けた。

「何!?」

 伸ばした男の拳が空を切る。

「ふんっ」

 私は両手を地面に着けて両足で相手を蹴り上げた。

 バランスを崩した男の体が仰向けに倒れた。

 私は直ぐ様立ち上がり、M字開脚で男の上に跨った。

「どうやら私の勝ちのようだ」

 そう言って私は男の顔面を一発殴り付けようとしたが、既の所で止めた。

 男が何か言おうとしている。

 私はそれに耳を傾けた。

「お前、パンツ見えてる」

「だから?」

ガスン!

 殴っていた。

「全然効いてねえからな」

 言って男は無理矢理起き上がろうとした。

 フェアじゃないが、私は男の息子を殴り付けた。

「うぉっ!」

 男は激痛に悶えた。

 頻りに息子を押さえる男。

「お前、卑怯だぞ」

「そんなの知るかぁ!」

ガスン!

 私が男の顔面を思いっ切り殴り付けてやると、同時に男は白眼を剥いて気絶した。

「はぁ」

 全てが終わり、安堵の溜め息を吐くと、私は連絡先をこっそり男の懐に忍ばせる。

『リベンジしたければ何時でも相手してやる。好きな時に掛けてこい。番号は○○−○○○○だ』

「姉貴か?」

 突然の声に私は驚いて顔を向けた。

 顔を痣だらけにした弟の有紀雄が視界に映る。

「やっぱ姉貴か」

 絡まれてたのは此奴だったのか。

「べ、別に助けたくて助けた訳じゃないからな。勘違いするんじゃねえぞ」

 そう言って立ち上がり、去ろうとすると、私の体はフラフラと倒れてしまった。

「無理すんな。負ぶってやるよ」

 有紀雄が私の体を背中に乗せた。

「礼なんか言わねえからな」

「素直じゃないな、全く」

 その言葉に私は「五月蠅うっせえな」と言いながら微笑んだ。

 その後、私たちはその場を離れ、自宅へと帰って行った。



 自宅に着き、リビングで弟の手当を受けていた私は、弟にこう訊ねた。

「お前さ、何で絡まれてたんだ?」

 弟はそれにこう答える。

「電車ん中で煙草タバコ吸ってる奴が居たんだ。皆迷惑してたけど怖くて注意出来ないでいた。だから俺、そいつの顔面を蹴り付けてやったんだ。そしたら顔覚えられてあの河原で絡まれたって訳」

「お前はバカか?電車ん中で平気な顔して煙草吸ってる奴は裏にヤバイ連中が付いてるんだ。喧嘩にも勝てねえ奴がそんな事すんじゃねえよ」

「ああ。だから今度からは姉貴にちゃんと言うな」

「・・・私を面倒に巻き込むな」

 だが弟は聴かぬ振りをして手当を続ける。

「っ!」

 弟が塗った消毒液が頬の傷に染みる。

「悪い、染みたか?」

 弟が心配そうな顔で訊ねた。

「心配してくれて有り難うな。大丈夫だ」

「姉貴、痛きゃ我慢しないで痛いって言ってくれて構わないぞ」

「我慢なんか・・・してねえよ」

「あ、そ」

 その時、ぐぅ〜と二人の腹の虫が鳴る。

 そう言えば、晩飯を食っていなかった。当然それは、有紀雄も同じだ。

「何か作るか」

「俺、炒飯食いてえ。姉貴の作る炒飯って美味えからさ」

「そうか。そう言ってくれると嬉しい。お礼に褒美をくれてやろう」

 言って私は弟の唇を奪った。その時間はほんの僅か。

「ちょっ、姉貴?」

「どうした?」

「いや、あのさ、キスってのは、好きな相手とやるもんなんじゃないのか?」

「私はお前が好きだぞ」

「姉貴・・・」

「弟としてな」

 途端、ズザーっと引っくり返って滑る弟、有紀雄。

「どうした、有紀雄。女の子にキスして貰えたのがそんなに嬉しかったのか?」

 私は立ち上がって有紀雄に近付いてしゃがんだ。

「なんなら大サービスだ。もう一度キスしてやろう」

 私は再び自分の唇を有紀雄のそれに近付けて重ねた。

「んー!」

 口を塞がれた弟は鼻で必死に何かを訴える。

 私は一旦、唇を離してこう言う。

「そうか、ディープキスをして欲しいのか。ならしてやろう」

 私は三度みたび唇を弟のそれに近付けて重ね、舌を口の中に挿入した。

ガブッ!

 弟が私の舌を思いっ切り噛んだ。

ガスン!

 私は弟の頬を殴って怯ませた隙に顔を離した。

「何すんだてめえ!?」

 胸倉を掴んで睨んでやる。

「私はてめえがして欲しいって言うからしてやったんだぞ!?」

「否、言ってねえから。と言うかそもそも姉貴が勘違いしたんじゃねえか。俺はな・・・っ!」

 有紀雄が言い掛けた所で、私は立ち上がって彼の腹に膝蹴りをお見舞いした。

「うっ!」

 呻き声を上げる有紀雄。

「御託なんか訊いてねえんだよ。お前、舌噛んだから飯抜きな」

「え、それだけは!」

「五月蝿い!」

 私は有紀雄の体を前方に放り投げた。

ドガッ!

 弟は壁にぶつかってズルズルと落ちて床に横になった。

「死ぬわ!」

 弟が立ち上がって身の毛がよだつ程悍おぞましい顔で言った。

「その顔怖いからな、お前」

「誰の所為だよ!?」

「お前の自業自得」

「マジで言ってるんすか、それ?」

 と今度は引き攣り笑いの有紀雄。

「お前は自分が悪いとは思っていないのか?言っとくが舌を噛んだのは100パーお前が悪いぞ」

「否、俺は全然悪くないよ!姉貴がキスしてきたのがいけないんだよ!」

「何だ。キスして欲しかったんじゃないのか」

「あのな、俺は姉弟していでキスなんかしようとは思わないし、実姉じっしにキスされたって嬉しくも何ともない」

「そうか・・・それはショックだ・・・。だから飯は抜きだ」

「何でだよ!?」

ガスン!

 五月蝿いから殴ってやった。

「俺何もしてないッスよね!?」

「知るか」

 私は足払いで弟の体を倒し、腹をグイグイ足で踏み付けた。

「姉貴、痛いからやめてくれ」

「男なら我慢な」

「そう言う問題じゃないでしょ!」

どぐしっ!

 五月蝿いから脇腹を思いっ切り蹴った。

「うっ!」

 弟は呻き声を上げて静かになった。

 私は救急箱を片付けてキッチンに移動し、二人分の炒飯を作って一つはサランラップをしてテーブルに置き、もう一つは自分の胃袋に詰め込んだ。

 飯抜き宣言をしておきながら結局二人分作っている私。言ってる事とやってる事が矛盾していた。

「有紀雄、何時まで寝てんだ?」

 私が声を掛けると、有紀雄が目を覚まして起き上がった。

「あ、炒飯出来たの?」

 有紀雄が私を見ながら訊ねる。

「ああ。お前の為に愛情をたっぷり込めて作ったから美味びみだぞ」

「姉弟愛って奴?」

 弟が椅子に座ってスプーンを取る。

「あのさ、何でラップしてあるの?」

「埃被らない様に」

「あ、そ」

 弟はラップを外して「頂きます」と食べ始めた。

「どうだ、美味いか?」

「うん、最高に美味い」

「そうか、それは良かった。何と言っても最高級の毒を盛ったからな。美味い筈だ」

「ぶぶーーーーーーっ!」

 有紀雄が驚いて吹き出した炒飯の米粒が私の顔に掛かる。

「汚いぞ」

「毒って何だよ、毒って!?しかも最高級の毒!?一体どんな毒なんだよ!?つーか死ぬから!」

 私は一人で騒ぐ弟を可哀想な者を見る目で見詰めてこう言った。

「お前は冗談も通じないのか?」

 そう言いながら私は顔に付着した米粒を掻き集めて口に詰めて飲み込んだ。

 弟の唾液ごと飲み込んでしまった。

「姉貴の冗談はマジに聞こえるんだよ!」

「・・・・・・」

 返す言葉が見付からなかった。

「つーか、俺が吹き出した物食べるなよ」

「捨てるの勿体ないから食べたんだが、駄目なのか?」

「姉貴は俺の唾液平気なのか?」

「それぐらいどうって事無いが」

「俺は嫌だな、他人の唾液が付いた物は」

「私の唾液入りな、それ」

 言って私は改めて食べ始めた有紀雄の炒飯を指差した。

「ぶぶーーーーーーっ!」

 有紀雄がまた炒飯を吹き出し、米粒が私の顔に掛かった。

「汚いからな、有紀雄」

「人の飯に唾液入れんなよ、汚えだろう!?」

 私は再び有紀雄を可哀想な者を見る目で見詰めた。

「お前は冗談も通じないのか?」

 そう言いながら私は顔に付着した米粒を掻き集めて口に詰めて飲み込んだ。

 弟の唾液ごと飲み込んでしまった。

「また冗談かよ!?てか姉貴の冗談はマジに聞こえるんだよ!」

「・・・・・・」

 返す言葉が見付からない。

「やめた。アホらし」

 そう言いながら私は立ち上がり、弟の「あんた俺を虐めてたのか?」と言う問いを黙殺して自室に移動し、寝間着に着替えてベッドに横になった。


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