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第73話「土の迷宮、属性特効」

 宿は二部屋借りているが、食事時は俺の部屋に集まり皆で摂る事にした。

 これは単純に仲間としての交流目的でもあるが、何よりヴァリスタの栄養状態の改善を計るためでもある。

 ヴァリスタは肉好きで野菜嫌いなので、俺が見ていないと野菜を残すかもしれないからだ。


 俺の元に来るまでは満足に食事も摂れていなかったのだろう、肉付きの良い方ではないから俺の分もいくらか分け与えている。

 そのおかげかようやく骨が見える状態ではなくなってきている。




 そしてもっと重要なのは、奴隷のヴァリスタとオルガにシュウが馴染めるかどうかだ。

 ヴァリスタはオルガをメス臭いといっているが、何だかんだ言ってオルガと仲は悪くない。

 オルガは変態だが距離感を計るのが上手いようで、いつかのレイゼイのようにヴァリスタに嫌われている様子はない。


 シュウは平静を保っているが地上での教育の賜物か、やはり地下の者に少なからず恐怖を抱いており、特に亜人の象徴としてわかりやすい獣耳を持つヴァリスタを怖がっているようだ。

 こんなに小さくて可愛いのに。

 ともあれシュウも仲違いするつもりはないようで、会話こそ乏しいが何とかなっている。


 共闘している事もあり、ヴァリスタとオルガも特別シュウを嫌っている様子はない。

 タンクについての重要性は理解しているはずだから、俺がシュウを戦線維持の要として教育している事にも気付いているだろう。




 翌日、土の迷宮に再突入した。


 既に手慣れた動きを見せるシュウを最前線に、一層のゴブリン地帯を軽く抜けて二層に到着する。

 赤点がふたつ、やはりゴーレムは復活していた。

 昨日と同様左の道を行き中央の部屋を見てみると、開けたはずの宝箱が閉じており、どうやらやはり罠として配置されているようだった。


 少し待っていると左右に直立していたゴーレムが動き出したのですぐに離れる。

 やはり昨日と同様に外周左右に分かれて移動を始めたので、戦闘を開始する。

 シュウは既にタンクとしての動きを覚えているので、このゴーレムに用はない。


「試したい事があるから、皆は離れていてくれ」




 右手にロングソード、左手にカイトシールド。

 単独で突っ込み、斬り下ろしの一撃を入れる。

 緑色のうねりを纏った剣の一閃は弾かれ――なかった。


 浅く削っただけだが、しかし確実にダメージが入った。

 そのまま二撃目を叩き込むとゴーレムはその巨大な拳を振りおろし反撃してきた。

 カイトシールドで受け止めて、一撃、二撃と再度攻撃を加える。


 ゴーレムが二度目の反撃を受け止めて俺が再三の二連打を行い盾受け、もう二撃刺し込むとゴーレムは崩れ落ちた。

 盾持ちのせいで若干動きは緩慢になってしまったが、バックステップで距離を取ってゴーレムが迷宮に消えるのを見送った。




「ライ、強いね」

「本当に一人で倒しちゃうなんて」

「あんなに苦戦したのは何だったんでしょう……」


 ヴァリスタは目を輝かせ、オルガとシュウは呆然とする。

 俺の筋力が高く体力の上から殴れるのもあるが、何より今回活躍するのは――


「この武器のおかげだな」


 ――俺の使用したこの風属性の付与されたロングソードだ。

 予想通りゴーレムは土属性のモンスターのようで、属性相性が良いとダメージが上がるだけでなく攻撃時にある程度有利に働くようだ。

 深く斬り込む事は出来ないが、弾かれないから一気に攻められる。


 一撃で656ダメージが通っていた事から、八発で撃破出来た。

 ダメージは1.5倍という所だろうか、非常に強力だ。

 昨日購入した素材で製作したのは、そんな優秀な二振りのロングソードだ。



嵐のロングソード 剣

追加効果 風属性



 これはヴァリスタにも一本持たせてあるから、既にゴーレムは敵ではない。

 俺とヴァリスタで二体目の背後から強襲すると、その巨体故に狭い通路では振り返る事も一苦労なようで、ゴーレムの雑な裏拳を盾受けし、そのまま一気に倒す事が出来た。

 残念ながらヴァリスタの攻撃は1ダメージばかりだったが、その攻撃が弾かれる事は無かった。


「もはやゴーレムはカモだな」

「カモ?」

「楽勝って事だ」


 魔石を拾いつつヴァリスタのステータスを見ると、レベル5に到達していた。



ヴァリスタ 獣人 Lv.5

クラス 餓狼

HP 150/150

MP 0/0

SP 5

筋力 450

体力 75

魔力 0

精神 75

敏捷 450

幸運 450

スキル 良成長

状態 隷属



 一応中央へと引き返し宝箱を開けると、やはり回復薬だった。

 せっかくなので回収し、収納しておく。


 これで二階層でやる事もない、遂に三階層へと踏み入る。

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