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第16話「一日目の終わり」

 グレイディアをあしらう事に成功した俺は、入り口でギ・グウと合流した。


「オウ、登録は終わったカ」

「ああ、おかげ様で」

「次は僧侶に会うカ」

「それはいいんじゃないか? 登録は出来たし」

「オメサン呪われてたらどうすんダ」

「それはないって」


 俺の場合はステータスで状態確認出来るしな。

 しかしギ・グウがあんまり真摯になってくれるので、一応僧侶に会う事にした。

 どうやらギルドの一角に店を構えているとの事で、ギ・グウに続いて歩き、その姿は隅の暗がりに確認出来た。


 薄っすらと水色の髪に青い瞳、少し眠たげな少女だった。

 服装は全身タイツに前掛け……という事は無く、ダボッとした魔女っ娘のような服装だ。

 傍らには先端に魔石の付いた棒が立て掛けてあるが、俺の僧侶像はことごとく破壊された。



エティア 人族 Lv.15

クラス 僧侶

HP 300/300

MP 300/300

SP 15

筋力 75

体力 150

魔力 300

精神 300

敏捷 75

幸運 300

スキル 光魔法 神聖魔法



 神聖魔法というのが状態異常回復系の魔法だろうか。


「……何か、用?」

「オウ、実はこの黒い兄ちゃんが呪われてネェカ見てやって欲しいんだがヨ」

「……確認で銀貨十枚、解呪で銀貨五十枚」

「たけえナ」


 相場がわからないが、高いらしい。

 ギルドへの登録が銀貨一枚だったのだから、それなりの値段なのだろう。

 さすがにギ・グウに払わせるのは忍びない。


「やっぱりいいよギ・グウ、俺は大丈夫だって」

「いんヤ、ダメダ!」

「何でそんな意地になってんだよ」

「恩があるからダ!」


 そう言ってギ・グウは銀貨十枚を少女僧侶、エティアに払った。

 SPに関しては俺の方が美味しい思いをしていたのだが、律儀な奴だなあと思いつつ、感謝の念は深まった。

 ギ・グウに会わなかったら、ここまで簡単に冒険者登録にこぎつけられなかっただろうし、見た目はゴブリンだが気の良い奴だ。


「……呪いは、無い」

「ほらな」

「それに越したこたぁねエ」

「全く、ありがとうよ。ギ・グウ」


 しかしエティアは年齢分のレベルしか保有していないようなのだが、もしかすればこうして解呪やらしているだけで日銭は稼げるのかもしれない。

 うかつに戦闘に出れない俺としては、少し気になるな。


「ところで僧侶さんはモンスターを倒したりではなくて、解呪で生計を立てているのか?」

「……そうね、でも解呪はメインじゃない」

「そうなのか。俺はまだ冒険者になり立てで知識が無いもんだから、出来れば教えて欲しいんだが」

「……パーティの編成で代金を貰っている、銀貨一枚」


 なるほど、それならば編成の度に必要となるし、銀貨の価値はそれなりとくれば、稼ぎとしては申し分ないという訳か。


「それはギルドの許可を取ってやっているのか?」

「……いいえ。こういった事に、許可は要らない」


 隙間産業的に上手い事やっているもんだ、俺なんかとは逞しさが違うよな。


「なるほど、ありがとう僧侶さん」


 知りたい事を知れて、ギルドを出た。

 それからギ・グウに案内されて街を半周した。

 街の中央には塔があるのだが、そこまでがとても遠い。


 塔周辺の広場は頑強な壁に囲まれており、入口周辺ではバザーのように商店が開かれていた。

 ギ・グウいわくここらは殺気立った連中が居たり、万が一モンスターが現れると危険なので、まともな商店は店を構えないという。

 そして物臭な連中が使うボッタクリ特価らしい。

 確かに塔周辺からわざわざ店に向かうのは大変だし、価格を吊り上げてもそれなりに売れるのだろう。




 それからギ・グウにオススメされた宿に案内されて、一日分だけ宿代を払ってもらった。

 銀貨三枚、結構いい値段になるんじゃないだろうか。

 そして驚いた事に、ギ・グウは家庭を持っていた。

 一緒の宿かと思ったら「オラ、ヨメさんに魔法が使えるようになったって報告するダ」みたいな事を言い始めて帰って行き、言い知れぬ敗北感を味わった。




 さて、今日一日、一通り商店や各施設の価格設定から、金銭価値を大雑把に日本円に換算してみる。


銅貨 …十円

銀貨 …千円

金貨 …十万円


 およそこんなところじゃないかと思う。

 結構ギ・グウに使わせてしまったが、ギ・グウいわく魔法練習の受講に掛かる金に比べればよっぽど安いらしい。

 よほど光魔法が欲しかったのだろう。




 今の時刻は十九時、といっても太陽も月もなく、街灯は常に灯っているのだが。

 どっと疲れて、着の身着のままの地下生活一日目が終わる。

 ギ・グウから離れ、しばらくは金稼ぎに翻弄する事になるだろう本格的な地下生活は、明日から始まるのだ。

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