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第12話「クラスチェンジ」

 ギ・グウがリバースダウンから復活するまでの間、早速クラスチェンジを試してみる事にする。

 詳細表示スキルのおかげか説明が表示されるようになり、いちいち名称から予想する必要が無くなったのは大きい。

 現在クラスチェンジ出来るものを一通り見てみる。



村人ヴィレッジャー

得意 無し

苦手 MP

特殊効果 不屈(致命傷を負っても死ににくい)

習得条件 出生


剣士ソードマン

得意 敏捷 幸運

苦手 体力

特殊効果 必殺(クリティカル率UP)

習得条件 出生・剣を修める者


騎士ナイト

得意 HP 筋力 体力

苦手 MP 魔力

特殊効果 挑発(狙われやすくなる)

習得条件 出生・守護する者・高位の者に仕える


用心棒バウンサー

得意 HP 筋力 体力 敏捷

苦手 MP 魔力 精神 幸運

特殊効果 排除(接近するほどダメージが増す)

習得条件 仲間を狙う強敵を排除する


龍撃ドラゴンバスター

得意 HP 筋力 敏捷 幸運

苦手 無し

特殊効果 死線(HP0で死亡) 悪運(幸運低下)

習得条件 龍を撃滅する者



 特定の行動というか、功績のようなものでクラスチェンジが可能になるようだ。

 前半の三つはまぁ普通だ。

 村人はいわずもがな、剣士は戦闘訓練で、騎士はナナティンに仕えた事でものになったのだろう。

 用心棒は九蘇を助けた時に条件を満たしたのだと思われるが、強敵というのは恐らく“レベル差”の事ではないだろうか。

 龍撃はドラゴンにトドメを刺したからだろう。


 さて、この中で最も得意能力が優秀そうなのは用心棒なのだが、同時に苦手能力も多い。

 完全な近接特化というのは望む所ではあるのだが、MPはまだしも精神が低いというのは頂けない。

 精神は魔法防御力、つまり命に直結する能力だ、これは良くない。


 消去法で苦手能力の無い龍撃が一番だと思うのだが、一度HP0を経験した身としては特殊効果の死線が怖過ぎる。

 戦闘不能を経由せずに直接死亡するという事なのだろう。

 特殊効果自体が隠し効果っぽいので、詳細表示を取得していなかったらと思うとぞっとする。

 というかこのクラス特殊効果がふたつもあるのに、どちらもマイナスだ。

 悪運というのも逆鱗状態のドラゴンに付与されていたデバフだし、呪われているんじゃないだろうかと思ってしまう。


 気になって幸運パラメータの詳細を見てみるとクリティカルやデバフ率に対する効果と出たので割と見過ごせない気もするが、ひとまずクラスチェンジしてみよう。



霧咲未来 人族 Lv.1

クラス 龍撃

HP 120/120

MP 8/8

SP 0

筋力 60

体力 8

魔力 8

精神 8

敏捷 40

幸運 20(-50%)

スキル スキル?



 凄く偏っている。

 しかし能力値自体は頭ひとつどころかふたつくらい抜けている。


 龍を撃滅する者とか書いてあるくらいだし、火力重視なのだろう。

 比率的に見れば得意以外は苦手と表記されていてもいいレベルなのだが、ぶっ飛んだHP量で相殺という事だろうか。

 HP得意の騎士でさえその値は40だ、実に三倍。

 防御力で耐える騎士と、HPで耐える龍撃といった構図になっている。


 俺はタンクの場合、数値が凄い事になるHP特化が好きだ。

 ごっそりHPバーが削れたり盛り返したりを見るのは楽しいものだ。

 ほぼほぼ防御特化には負けるし、大量に回復が必要でヒーラーに負担をかけるしだが、そんなHP特化にも強みがある。


 すなわち自動回復効果とのシナジーだ。

 そして龍撃は敏捷も高く回避もしやすいと来ている。


 といっても龍撃はHPを保険としたアタッカーなのだろう。

 能力が偏りまくっている龍撃だが、実は能力値だけを見れば剣士に対しては完全に上位互換だ。

 哀れ剣士。

 それと幸運は実数値から半減する形なのだろう。

 強制0になる訳でないのはドラゴンさんからのせめてもの情けか。




 というか、本来一階層から六十階層まで到達して……つまり、最低でもレベル60になってから取得するクラスなのではないだろうか。

 だから数値が他のクラスと比較にならない。

 いわゆる上級職のようなものなのかもしれない。


 実際これは反則的に魅力的な数値なのだ。

 死線は怖いが、戦闘に巻き込まれないように気を付ければいいだろう。

 それにもし、他のクラスにしていて突発的にレベルが上がったら、絶対に後々後悔する。

 HPは一番戦況を把握しやすいパラメータでもあるし、龍撃で決定しておこう。




 クラスチェンジを龍撃ドラゴンバスターで決定すると、ギュイーンと音が鳴ってステータスが書き換わった。

 タップ音くらいしかなかったので少し驚いたが、なかなか気持ちの良いSEだ。




 そういえば塔での“レベル差”で考えた事がある。


 塔は五階層毎にボスが存在するという。

 地上入口が五十九階層で、その上がドラゴンがボスの六十階層だったのだとすれば、なるほど階層数に応じて平均レベルが決まっているという事になる。

 地下入口の場合はどうだろう、恐らくだがレベル1から始まるものと思われる。


 ここで俺のゲーム知識による仮説なのだが、もしかして俺がレベルアップしなかったのは、単純にレベル差が開き過ぎていたからではないだろうかと。

 思えばあれだけ高レベルのモンスターを倒しても、正常に経験値が入っているはずの勇者達がレベル44までしか上がっていなかったのである。

 これはよくあるレベル差による経験値減衰が働いているのではないだろうか。


 あの頃、敵は平均レベル60、勇者は平均レベル16、俺はレベル1。

 減衰により経験値が0になるのはレベル50以上の差が開いた時であると仮定するならば、意外と説得力があるような気がする。

 つまり俺は地下で戦う事で恐らくレベルが上がる。上がってしまう。

 そうなると良成長の恩恵を受ける機会が減っていくのだ。

 ともすれば、今後は戦闘イコールレベルが上がるという認識で行動する必要がある。


 念のためギ・グウとのパーティを解除しておいた。

 解除し忘れて経験値入ってました何てなっては目も当てられない。




 そういえば隷属状態を解除する方法も探していかなければならないだろう。

 しかし勇者達には悪いが、これは急務ではない。


 何故なら俺は今無一文で、日銭を稼がなければならない身だからだ。

 ゴリ押しで塔を登って餓死しましたとか、笑えない。

 塔を六十階層まで登って城で下剋上を叩き付けるのはいつになるともしれないが、しかしとにかく今は衣食住の安定化が最優先である。

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