長生きしてるのにサバイバル知識がない
書こうと思ってベッドでよこになったら寝る。
うわ書いてねえといいつつもまた、夜に書こうと思って寝る。
………疲れてるのかなぁ。
「くっついてるな」
蒼の起床しての第一声がこれだった。
「ふむ、簡単じゃよ。斬られたところを意識していればいいんじゃ」
「へえ~」
蒼は興味無さそうに返事をした。
実は砕鬼の言っていることは、蒼もやっているので今更聞く気はなかった。というか妖怪なら砕鬼の言っていることはやっている。
最初に呟いていたのは……寝起きだからだ。
ここは砕鬼の住んでいる洞窟。言い替えるなら、蒼が連れて来られた洞窟。
あの喧嘩(?)をやった後の蒼と砕鬼は互いを認め合い、親友になったのだった。
「……はて、なんか足らないな」
「ん?なにがじゃ」
「なんかいた気がする」
蒼の視線は洞窟の外辺りに向けられていた。一番最初に蒼と砕鬼が会話をしたところだ。
砕鬼は蒼の視線をたどるか、やはりわからないらしく、首をかしげていた。
「ま、いっか」
蒼はそういうのを気にしない女性だ。
蒼は砕鬼の体を見る。
確かに腕、足はくっついているが、動かすのは難しそうだった。表面に斬り傷があったが、それ気にしなかった。
対する蒼は血などがついているだけで、傷をあまりおっているように見えない。なら中はというと、特になかった。蒼の回復速度が異常なのだ。ただし、寝てるときに限ってだが。起きてるときは周りより早いぐらいだ。……これも異常だった。
「なんか食い物取ってきてやるよ」
見る限り動きにくそうな砕鬼を心配してなのか、蒼が提案する。
しかし、蒼はサバイバル技術の食に関しては、知識に経験などが抜けている。なぜなら、蒼は食事をとる必要が無いため、野生の植物、動物に手を出していない。
つまりは蒼にそんなものが用意出来るかが謎である。
妖怪なら人間という食料があるが、蒼はそんなものを取ってくる気はない。
蒼も自分の知識でまともな食材をとってこれるか、提案したあとに気づいた。
「よろしく頼む」
「あー………。生肉でいいか?」
「いいぞ」
この時の蒼は言葉たらずだったということだろう。寝起きだからということにしたい。
△▽
いねえな……。
蒼は現在森を探索していた。食料を探すために。----それも生肉。
勿論、木の実などあるが、それでは腹もふくれることはないだろうし、なにより蒼はくえるか知らない。
「お肉さ~ん」
もはやどれだけ探しただろう。
十分もたっていないが蒼は何時間も探したような気になる。
退屈したのか、能力全開で探すことにする。
「………くくく。見ぃつっけた」
さも妖しく笑う。
獲物を獲るために蒼は走る。
―――――――――途中で白い蛇を見た。
今回の獲物。猪さんは○○年生まれの○ス。その立派な角は鉄板も貫きそうだ。いきもいい。ご飯、君に決めた!
とりあえず先手必勝にのっとって、猪の顔を横に殴る。浮かんで吹っ飛んでいった。
今回蒼が、刀『残光』を使わないかというと、ひび割れているからだ。先日、砕鬼と凄まじい戦闘(能力)で壊れかけたのだった。ひとえにこいつが壊れなかったのは刀のできがよかったからだ。(昨日、話してて分かったことだが)砕鬼の能力は、月連中の置き土産である爆弾の、爆風その他もろもろをまとめてぶっ壊す程の凄まじいものであるから、残光のすごさがわかる。ちなみに昔、これにより爆風が軽減されて、蒼は助かったともいえる。この事は闇に葬られるが。
砕鬼の能力『あらゆるものを砕く程度の能力』を使っていたのに完全に砕けなかったのはそいつだけ、だそうだ。
とにかく、猪を引きずって持っていく。帰る場所は能力を使って把握。蒼は同じ失敗(迷う)をしないのだ。
小さい少女が、それよりも大きい猪を引きずっていく姿はなかなかシュールだ。
「こいつどうすっかなぁ~」
蒼の視線の先にあるのはいつも腰に差してある『残光』。柄だけ見れば一見何もないようだが、実際は、中にひびが入っている。
別に砕鬼を責めているわけではない。むしろ戦えてよかったと思っている。もちろん今は我慢して未来の刀鍛冶屋に直してもらうというのもありだが……。
今に生きる鍛冶屋といえば、今の時間帯で見れないが月にいる。もちろん、特殊な移動系の能力を持たない者は普通は宇宙を突破できない。だが、ご存知のとおり蒼は普通ではない。まず呼吸はしなくてもいいので、酸素がないといわれている宇宙を突破できる。ただ、距離がどれだけあるか。一年はかかるかもしれない。
――――――――一年。
365日。8760時間。525600分。31536000秒。
妖怪からしたら一年がどうしたというだろうが、あいにく蒼は人間だった。今は人間をやめているところもあるが、人間だった。なにもすることがないまま月を目指して飛べというのか。無理だ。退屈過ぎて死ねる。
…………と、ここまで考えてま、いっかと蒼は呟く。結局はそのうちなんとかなるさー、だ。ここで未来を見る手もあるが、未来は変わるもの。なら、放っておくことにする蒼。
「もってきたぞー」
そうこう考えているうちに蒼は砕鬼のところについた。
よかった。迷わなかった。
「おお~、ついたか」
砕鬼は何かを飲んでいた。
……鬼が好きな飲みものは何か。
酒だ。
砕鬼は酒を飲んでいた。
流石は鬼の酒というもの。ここら一帯は酒の匂いが凄かった。
それに対し少し顔をしかめる蒼。
今更ながら蒼は酒が飲めない。というか、とっっっっても弱い。一口でダウンするぐらい弱い。前世でも飲んだことはないが、自分がこんなに弱いとも思っていなかったのだ。まあ、どうしようもないことなのだが。
「でかいのをしとめてきたのぅ……」
「そんなことより酒臭いぞ」
「まあ、そういうな。飲め」
「は?」
「飲め」
ぐいぐいと砕鬼が蒼に自分の瓢箪を押し付けてくる。正直蒼は、これだけで酔いそうだ。
「断る。さっさとこれをくえ。焼き加減はそっちの好みでいいから」
「なんだと!?わしの酒が飲めんというのか!!」
「うぜー…………」
こいつ酔ってんな?
と呟きながら砕鬼を引き剥がす。
生憎、砕鬼は鬼といえど怪我は完治してないので、“辛うじて”引き剥がすことが出来た。
「おい、これどうするんだ」
蒼は後ろの食事(今現在、生)を指差しながら言う。
このまま砕鬼が酔いつぶれてもいいが、せっかく仕留めてきたのだから食べてもらいたい。…………生だが。
調理方法はお好みということなのだろう。
「うむ、喰おう。酒のつまみにはなる」
そういって、火をだす。
…………る!?
「……………妖術か」
「そうじゃ」
「生で喰わないのか」
「焼いた方が旨い」
妖怪は人の恐怖、想いでうまれる。
人が、鬼というのは火が使えると想い、うまれたので、目の前の砕鬼のように、火が使えるのだ。通称妖術といわれる。
ここまで考え、蒼は自分が何妖怪なのだろうと思った。
砕鬼は鬼。
自分は何か。
あの神(今思い出した)は妖怪だといっていたが、種族はいっていなかった。
「なあ……。おれってなんて妖怪だろ」
砕鬼は首をかしげる。
「ほら、砕鬼は『鬼』っていう種族だろ。おれはなんなのかなって」
そういわれ、砕鬼は酔った頭で考えた。
酔ってて考えられるのかというものもいるだろうが、鬼は酒に強い。これだけでは充分には酔えない。充分に酔ってないから、考えられる。
そして考えに考えた結果、答えは
「『蒼』という妖怪じゃないのかのう」
「…………。そっか」
答えになっているのかわからない。だが、蒼はそれに納得したか、気づかされたか、満足したか。いずれにせよ心の中で完結に至った。
「そんなことより飲め飲め」
今度は蒼も素直に飲んだ。
……………倒れた。
「弱すぎるじゃろう」
いかにも残念という表情で溜め息をはく。
しかし、悲しき(?)かな、蒼には聞こえなかった。
「……しかし、生肉なんていうから、人間の肉だとおもっていたんじゃが……」
蒼ぐらい強い奴なら村を一個襲ったって生き残れる。
慢心してるわけでもないが、それは確信に近かった。それ故に不思議だった。が、答えはわりと簡単だった。
「こやつは人と過ごしたといっていたな」
まぁ、そういうやつもおるか。
といって、酒を飲みはじめる。一人で少々寂しいが、蒼を膝の上に置いて、紛らわす。
気づけば肉はなくなっていて、骨だけが残っていた。
「う~む……。寝るか」
酒を飲むのもわるくないが、これもいい。と呟いて、砕鬼は蒼を抱き枕にして、寝た。
相変わらず酒臭かった。
△▽
…………ここは?
蒼が起きたのは全く知らない場所だった。
「…………ふわぁあ~」
大きなあくびをした。
それで目が覚めたようで、再びここが何処か見る。
どうやら、洞窟のようだ。そしてすごく見覚えがある。知らない場所ではなかった。
隣をみると砕鬼の姿があった。蒼に抱きついている。とても酒臭かった。どうやらあのあと、一人で飲んでいたようだ。
「はあ……」
溜め息をはきながらも、砕鬼を起こさないように腕から這い出る。否、でようとする。
ここで突然だが、砕鬼の種族を再確認しよう。
鬼
お忘れながら、鬼というやつは強い。総じて力がある。抱きつかれている蒼の耐久力には舌を巻くが、力は鬼には及ばない。
そして、砕鬼の怪我は治っている。流石に二日もあれば完治するのだろう。
つまり、でれない。
「はあ……」
そんなに溜め息をはくと運に逃げられるぜ。と、この場にだれかいたらそうツッコむだろう。
本日二回目の溜め息だが、
「まあ、いいか…………」
といってまた眠る。
まあ、おれが先に寝ちゃたんだし。しょうがないか。
と結論付けて。
再び洞窟には寝息しか聞こえなくなった。




