鬼さんこちら、手の鳴るほうに
「おお、起きたか」
…………ここはどこ?
△▽
話は数日前までさかのぼる……かもしれない。
おれはかの逃走劇をやったあと、川を見つけたのでそのままダイブ。
ごつんっ!という音を最後に意識がなくなる。
次に目覚めればずぶ濡れの状態で、周りには“身長”のおっきなお兄さんが。
……ちっ。
どうやら無意識に妖力を抑えてたみたいで、おれのことを霊力が無いに等しい子供と見たのだろう。
知っての通り妖怪は人を食う。
だが、残念だったな。おれは妖怪だ!!
ということで、微弱の妖力開放。皆驚いているようだ。
いつもなら喧嘩に突入して斬ってたと思うが、今はずぶ濡れ。いくら温度を感じないといっても何かついてるんだ。水だが。それに、服も重い。
妖力を出したおれになにを思ったか攻撃してきた。
知っての通りこの時代に娯楽らしい娯楽がない。喧嘩と酒(私は酒が飲めません。前世では飲んだことなかったのですが、こっちでは、一口でダウンしてしまいます。なんで?)ぐらいだ。
要するに、弱いもの苛めですね。
酷いもんだ。こんなか弱い子を集団で……。はて?脇から見れば危ない図では?
おれは再び川に身を投じる。めんどくさい。今はやる気でない。
川の中までは追ってはこなかったみたいだ。
それを確認したおれは、また寝る。
睡眠大事ー。
そして起きれば
「おお、やっと起きたか」
↑いまここ。
△▽
さて、目の前にいるはいろいろとおっきな外見お姉さん。髪はロングで、紅い。だが、見た感じの妖力はすごい。おれと同じくらいかもしれない。まさか歳が同じくらいか?
と、いろいろ観察してみたが、大きな特徴があった。
角だ。
…………鬼か!?
おれの想像の域をでないが、鬼と言えば殆どの話では悪として取り上げられており、主に人を困らせる。
……困らせないと悪にならんか。
その中の一つに拐うというのがあった気がする。
おれは拐われたか。なんかデジャウ。
しかし、鬼はさらって何したんだ。食ってた?食うならおれ抵抗するよ?この大自然で寝れるって素晴らしいことなんだからな。死ぬ気はない。
「ほれ、子供よ」
「なんでしょうか」
「何故川に浮いていた」
とりあえず永琳受け売りの丁寧な言葉で返す。ほんとにこんなことしなくていいのに。
何故この口調かというと、なんとなくだ。
さて、なんで川に浮かんでたか……。
ぶっちゃけ妖怪に襲われそうになったからだな。
そういえば服は?なんか体が軽いんだよ。
そう思い、周りを見渡すと人が他にもいた。
服は着ている。
こういうときは自分を見るのがてっとり早いので見て後悔した。
裸じゃねえか。どんな恥辱プレイだよ。
でも見た感じみんなガタガタいってる。妖怪に拐われた恐怖か。助かった。おれをまともに見ていない。
「ほう、肝がすわっておる。わしが分からぬか」
ええ、あなたの事なんて知りませんよ。
とは言わないで知りませんとだけいっておく。
というか服。男女関係無く人前での裸は抵抗あるんだから。
「わしは妖怪でな、鬼じゃ。お前を食おうと思ってな、さらってきた」
恥ずかしいので服を造る。恐らく着ていたのは濡れてたから脱がしてくれたんだろう。
妖怪は妖力をつかい、服を作成できる。ただし、自分が長年着てきたものだけだが。それにより、服が体の一部となる。ただし、妖力を結構持っていかれる。やるやつはあまりいないと思う。
「おぬし、妖怪じゃたか!」
さて、残光さんはどこだ。
“見る”
奥の方にあるね。
いまいくぞ。
「まてい」
鬼に呼び止められた。
「わしと戦ってけ」
いうが如し拳が目の前にあった。
はやっ!!
体を捻って辛うじて避ける。やばい。ツクヨミ並かもしんね。下手したら死ぬ。
「ほう、今のをよけるか!!」
嬉々として鬼が攻撃してくる。
不味い不味いって。攻撃予測線と心に未来を見ている。
攻撃予測線とは、未来に想定される攻撃の起動を赤い線として見ることをさす。攻撃の基準は物質が傷つくかどうか。
心は相手の考えてることを見、どんな攻撃をするか見るためのものである。
未来とはそのままだ。ただ、未来というのはそれを見れるものがあらわれたとき、無限に広がっていくものと考えている。つまり、おれがどう動くかで、全てがぶれていくのだ。なら、何に使っているか。それはシュミレーションだ。
これをくらったらどうなるのかというもの。ただし自分視点。
最初は自分の未来は見れなかったが、今は数分先までなら辛うじて見れる。
しかし、今は能力で助かっているが、反撃できない。しようものなら倍以上のダメージを貰う。しかも攻撃力がすごい。全ビジョンのおれが大変なことになっている。
このままではじり貧だが、解決策はある。少しずつだが、残光に近寄っている。生憎後ろも見えるので、問題ない。これで戦況は変わるはず。
一番いいのは鬼さんに終了させていただくことだが、おれが避けてるからか、すごいのうとかいって諦めてくれそうにない。
というわけで残光の真上にきた。鬼はそれに気づいたようだが、特に気にとめなかったようだ。そして、横なぎを屈んでかわし、残光を取る。そして、いあいぎり!!
危機を感知したのか数歩下がりやがった。だが、胸には一筋の赤い線がある。何こいつ。めちゃくちゃ硬いんですけど。
「ほう……。わしに傷をつけるか。ふふ、楽しくなってきたな。思わぬ収穫じゃい」
うおー。やる気アップだと!?
どうするか。逃げるか。それはない。殺るか。残光が手元にある。勝機有り。
さっきの逃げ腰の考えが嘘みたいに消え去る。ここまで強そうなのはツクヨミ以来だ。なら、楽しむもんじゃないか?
いかにも妖怪らしくニヤァと笑う。それを見た鬼が笑い返す。
「わしの名は緋色砕鬼!!」
「わたしは……いや、おれは蒼だ」
一気に距離を詰め、斬る。砕鬼は残光の腹を殴って軌道をかえ、自らも横にずれる。
これを脅威と見たか!!
思わずニヤリとする。通用するみたいだ。
だが、次の瞬間あり得ないことが起きた。いや、あり得なくないが、起きてほしくなかった。
残光にヒビが入った。
「どんだけ強いんだよ!!」
鬼だからか!?
だが、全壊というわけではない。うまく受け流せば大丈夫だ。これ壊れたら泣く。
「わしの能力じゃ」
ありとあらゆるものを砕く程度の能力
心にはそうでていた。
死ね!!
今度は向こうが先に仕掛けてきた。
当然のごとく避ける。ツクヨミも大概だったがこいつもだ。
生憎此方は避けのエキスパート。直撃しない。ただ、向こうも似たようなもんだな。
避ける
斬る
避ける
避ける
斬る!!
ズガアアァン!!
煙が巻き上がり、両者が止まる。
おれの、砕鬼の腹を狙った水平の残光を、砕鬼は右腕に食い込ませて止めていた。その腕に込められた妖力はとても多い。これで腕の強度を上げていたのだろう。つまりは、先程の攻撃は砕鬼の硬さをもってもとおるということだ。だが、残光が引けなかった。いや、引いてしまった。気づいたときにはもう遅かった。
腹にすごい威力の蹴りをくらった。
「う¨ごあ¨!」
景色が変わり……止まった。壁に当たったんだろう。でもそれどころじゃねえ。あ¨あ¨痛い。中がやられちまってやがる。しばらく動けそうにない。
「今のは正直危なかったとおもうのぅ……」
知るか。こっちは本当にやばいんだって。
………………………………………。
おれは立ち上がった。
血を吐くがそれがどうした。こっちは呼吸しなくてもいいんだ。詰まったって問題ない。怪我がどうした。妖怪だからいずれ治る。
あー…………死ぬ。
砕鬼を吹っ飛ばした。
「ほう!!いいのう!!」
ああ、痛い。畜生。たいして効いてねえ。ツクヨミのときは訓練だったけど、こいつはまずい。こんな状況は初めて。とりあえず刀かえせ。
砕鬼が突っ込んできた。
ふらって避けて刀の、残光の柄をつかんで、右腕を落とす。そしてぶっ飛ばす。やっぱり硬い。
「ぬうう!!」
ほら、逃げんなー。あ、吹っ飛ばしたのおれか。
歩いて近づく。その足取りはふらふらだ。だが、“見えている”。
「恐ろしいの……」
ああ、おまえが次にどうするかはもう見たよ。
左手で殴ってくる。
今現在。
おれは……突く。
ちょうど腹に刺さる。
「ぐはぁ」
砕鬼が吐いたが気にしない。おれにかかったが気にしない。
そのまま刀を右に引いて斬る。腹からも血がでる。
ーーーー左から蹴り。
ステップで避ける。
痛みが引いてきている。
「ーーーーらぁ!!」
支えになってる右足を斬り落とす。そして、残光を落として顔を殴る。
………。
………。
立ち上がってこない。
おれは地面に倒れる。
ああ……。強かった。
△▽
わしは今戦いに飢えていた。だから、人を拐って、それを助けに来るかと思っておったのじゃが……だめじゃた。
だが、今は川からあげた子供がいる。綺麗な服を来ていた。だから脱がした。女じゃ。
しばらくして起きた。
わしが声をかけると
「知りません」
食うといったら、そいつの服ができていた。
妖怪じゃったようだ。
そのまま奥に行こうとするので、わしはかなり早く殴りにかかった。
そいつは避けた。
次々攻撃してもそいつは全て避けた。
…………期待できるぞ。
武器で斬りかかってきた。
体に傷が入っていた。
思わず名乗り出た。
こいつは蒼というらしい。
蒼は強い。
こちらの攻撃を全ていなすか、かわしている。
そして、わしでもヒヤリと、死を感じた攻撃をしてきた。わしは右腕でそれを受ける。妖力で更に固める。それでも半分斬れた。
そして、蹴り飛ばした蒼が攻撃してきた。見えなかった。
はやい!
だが、たいしたダメージはない。
蒼を殴る。
だが、避けられ、右腕を落とされた。そして、吹き飛ばされる。
ふふ、楽しくなってきた
だが、それも長く続かなかった。
腹を斬られ、左足を切断される。更には顔を地面に殴っておもいっきり叩きつけられた。
すぐに起き上がれなかった。
負けか。
そう悟った。
蒼がよこに倒れた。
あっぱれのよう……
本当に、いい拾い物をした。
△▽
「ほれ、起きんか」
…………ここはどこだ。
……………………(中略)……………………あ、洞窟か。
「蒼」
「ん?」
「先程の勝負、お主の勝ちじゃ。首を持ってけい」
「いやだ。めんどい。だるい。寝てたい」
「…………」
首なんか持ち歩いたって邪魔なだけだろ。
なんか足りない。……残光だ。
おれは立ち上がる。怪我は治ってるみたいだ。おれは残光を鞘に納める。というか打ち直してもらいたい。でも月にいるんだよなあ。宇宙大丈夫かなあ。
「ほれい」
おれは砕鬼の手足を投げてよこす。
ん……夜か。
「その武器は……月の奴等のじゃろう」
!?
な……に……!?
「あの爆発で生きてたのか」
「能力で砕いたんじゃ」
…………ワーオ。
おれなんかガムシャラに遠くに逃げたんだよ?
しかし、あの時代の生き残りがいたとは。
「あの爆発のときどこにいたんだ?」
「山ん中じゃ」
へえ……。
「その後数百年かのお……。また爆発が起きて太陽が隠れたんじゃ」
氷河期きたんか!?
はははは。おれそんとき寝てたわ。
「おれはそんとき寝てたな」
「そうか……。わしもそうすればよかったの。あのときは、食料が全然確保できなかったんじゃ」
その後も、砕鬼と話し込んだ。




