酒は飲んでも飲まれるな
ユサユサ
「蒼さん、起きてください」
「ふわぅあう~?」
「朝ですよー」
「ふにゅう」
パサ
「おはようございます」
「…………………(中略)…………………おはようございます」
おれがこの村で目覚めてから三日たつ。
あのとき、妖怪を切ったあと死者の弔いやらやって宴会が始まった。都ほど旨いというわけでもないがまずくわない。ま、材料が違うからな。……そういえば宴会なんてやったことなかったな。
まあ、楽しかったよ。みんなでどんちゃん騒ぎするのは。この時お互いに自己紹介をした。村長、恢菜と言うらしい。……いや、別に村長は名前がない訳じゃないんだ。ただ皆村長なんだ。一人だけ名前を呼ぶのも……なんかな。
それで、おれはこの村にいることになった。
いきなりだろう?というわけでその経緯を教えよう。
「今日はありがとうございました」
「いやいや。おれがすきでやったことです。それに今日食事も頂いてそれに止めてもらえるこちらが礼を言う立場ですよ」
「いえ、それでも救っていただいたことに変わりはないです」
「「いやいや……」」
「なにをやってるんですか。村長さんに蒼さん。今日は飲みますよ!!」
「ふむ、それもそうじゃ。では飲みますか」
「はいはい……。ぶっっっっ!」
「ど、どうしましたか」
「これは……酒ですか」
「はい。……まさか飲んだことないとか」
「いや、あるとーーーーーーーー
バタッ
スピー
「……もう酔ったんですか」
「いやはやこれは」
太陽が見えてきた
「蒼さーん。あ さ で す よー」
「むうぅぅぅ」
「……起きませんね。蒼さーん」
ユサユサ
ガシッ!
「すぅ……」
「もう……。しょうがないですね」
このあと二人を呼びにきた村長が見たのは幸せそうに眠る二人だった。
もちろん起こしてませんよ。
なんでも宴会のときに酒に酔って寝てしまったらしい。それで
「村長さん!この子は引き取ります!」
「……いやぁ。そのじゃな。蒼殿に了解を」
「(とおぉってもやさあぁしく)蒼さん。ここにいてくれますよね」
「ふゅむ?いぃんにゃにゃい…………(むにゃむにゃ……)」
朝にここにいませんか?と聞かれて、おれはいいですよと答えたらしい。別にここにいるのは構わないんだがね。う~ん。記憶にないなぁ。う~ん。
「ここまでだな」
「はあっはあっはあっ……!!」
ところ変わって村が見えるの位置のの森の中の広くなっているところ。
おれは恢菜を鍛えてやっている。
いやしかし偶然見つかったんだよな、こんないい場所。いやほんとに。くくく。
おれはひまつぶげふんげふん…………もしものためにいじ……じゃなくて稽古をつけてやっている。主に体と体力。霊力に関しては知らん。とにかくおれが追いかけまわす。攻撃しまくる。
これにより恢菜は劇的な変化を遂げたのだ!…………となる予定です、はい。まだ二日しかたってないし。
「き……きつすぎます」
「いやぁ~楽んっっっっ!。……こんぐらいやらないと強くなれんぞ」
「…………はい(寝ぼけてるときと起きてるときの差がすごいです)」
彼女の今までの戦い方は『霊力を放ち操る程度の能力』を使いそれである程度ごり押ししてきたらしい。それでよく今まで生きていけたと思う。いや、おれみたいな大妖怪がここら一帯に居ないか。それを聞いたおれは彼女に避けを教えた。
あと何週間か鍛えていけば様にはなるだろう。
……とういうかそこまで長くいるつもりは無い。おれが妖怪だと他の皆に教えていないし、何より人間は自分と違う者を嫌うというか避ける。
A~Yが岩を殴っても砕けないがZが殴ると砕ける。それによりZは皆に化物といわれ避けられる。
これに似たようなもんだ。まわりの身長は変わるのに、老けていくのに、おれは変わらない。都のときは永琳の一声でなんとかなっていたが、この村の医療技術見る限り、身長の伸びない病気なんていっても無駄だろうな。それが納得されてもやはり違和感はぬぐえない。
だから……そうだな、長くて1年か。
ところかわり、只今入水中。汗をかいたからな。べたべたでしょうがないんだろう。おれも入ってます。
いや、これがまた、体が不便なのよ。
温度を感じない
なんか洗ってる気がしない。なんか流れてる。なんか流れてるけど……なんだ!?ていう。水かマグマか。見ればわかるけどね。
これね……触るとなんかあるってのはわかる。でも温かいのか冷たいのかが分からない。温度が感じられない。
体は凍る。火傷する。溶ける。でも温度を感じない。火傷したとき「あつっ!」といって手を引っ込める何てことはなかった。凍っても冷たくなかった。超高熱で手が溶けても熱くなかった。もっとも熱くないだけで痛かったが。ちなみにこれらは検査と言う名の実験で試しました。永琳が怖かった。
そいでいま、川で洗っている。う~ん……スタイルいいですね。羨ましいな……身長。おれはな……ちっさいんだよ。なんなの!?一体何の恨みがあるんだ!!神様!!
……ま、いっか。別にどおでもいいな。困るものでもないだろ。いうならリーチだな。そこは持ち前の速さと自分よりは長い残光でいく。
はい!!ここで突然ですが新しいワードが出ました!!
「残光」
はい、これはですね。今から約10XX年前……というわけではなく、刀の名前です。なぜこんなあれ臭い名前かと言うとツクヨミに銘を聞いたところ
「光が残るから残光でいいだろう」
とほざきましてね、永琳には
「別にいいんじゃない」
といわれ、特に思いつかないので刀の銘が残光になりました。え?いってなかった?だから今説明してるんでしょ!ちくしょーーー!!
……………………さて。次いくか。
恢菜と一緒に山を降りる。
村につくと
「蒼ちゃ~ん!」
と子供が元気に出迎えてくれた。このあとの流れは一緒に遊ぼ!!というのが普通なのだが……そこは昔。娯楽なぞない。どこの子供も家の手伝いをする。
これはいけない。子供は遊ぶことで云々と理由付けて、鬼ごっこを教えてみた。その結果流行り出すのだが……。すると帰るたびに誘われることに。
断る訳にもいかないのでおれはその申し出を受けている。しかし、こちらは、体は子供でも精神年齢(寝てる間は抜いて)30ぐらいのなにかなので、ちょっと……。
しかしおれは、ターゲットを捕まえるためにかりだされることに。
こんなことするぐらいなら寝てたいんだが……遊び終わった後の子供達を見てたらま、いっかってね。
△▽
おれが来てから1年たつ。…………何も言うなよ。
とりあえず適応はしたんだと思う。
恢菜はかなり強くなった。これなら大妖怪と戦っても負けるだろう。中妖怪なら善戦のすえ勝てる感じか。
…………しょうがないだろう。おれはこれといって教えることはない。全て我流だ。実戦訓練ぐらいだ、できることは。
おれはというと寝てばっかりいた。なんかデジャウ。
いや、ちゃんと働いてたぞ。………………少し。
だって畑仕事は子供のすることではない。とかいわれてはぶかれるんだぜ。おれは妖怪だ!……とも言えんからしょうがないことなんだがね。おれはすごい小さい。確か100cmだっけ。永琳がいってた。
小学生でも小さいほうだろ。少女というか幼女な気がする。いや、そういうのはどうでもいい。
寝て起きて修業して水をくみに行ったり遊んだり……。
それでも楽しかったな。
あと……数日したら出ていこう。
話が進まない。
そして今日も誘われる。
当たり前だが鬼ごっこはちゃんと手を抜いてやってる。人と妖怪は違う。
「まて~」
少年は夕日に向かって走っている……訳ではなくおれを追いかけて来ている。つかず離れずを保ちながらちょっとずつちょっとずつ距離を縮めていく。そしてタッチされ、鬼が変わる。
「こんどは蒼が鬼だ~」
といって、走ってきた道を逆走していく少年。
そういえばこの世界は鬼はいるのだろうか。妖怪に乏しいおれでも知っていた鬼。妖怪が存在する世界ならいても不思議じゃない。今いるかはわからないが。
とりあえず意識を元に戻す。今はおれが鬼だ。
この村は広い。学校と比べると。とりあえず探すのがめんどくさい。隠れてる奴もいるからだ。別に卑怯とはいわない。おれ自身、前世では隠れて寝てた。
そして妖怪のおれに隠れるなど笑止!能力を使い、心の目で熱を見る。
ふっふっふ……!!これでどこにいるかわかるぜ。手短に木の後ろにいる子に近づいていく。あと数メートルというところで逃げ出した。
が、未来も見ていたおれはそれを知っているので、既に(手加減した状態で)トップスピードに乗っている。
……捕まえた。
そして早々と戦線離脱。
ちょこざいわぁ!!
※何だかんだ言っておきながらも真剣にやってるようです。
………………………カァーカァー
「じゃあねー」
みんな手を振りながら帰っていく。
……あれ?
「そろそろ旅に出たいと思います」
おれは家に帰って早々、村長に言った。そこには恢菜もいる。
「……え?」
「そうか」
恢菜はえ?っていう顔をしているが、逆に村長は落ち着いている。流石は長というところか。
「ちょ、蒼さん!いっちゃうなんて……」
恢菜の言いたいことも分かる。
……確かにいやだ。慣れ親しんだ場所を離れていくのは。でも、妖怪は変わらない。ばれたときになにいわれるか……怖い。
…………何だかんだ言って妖怪だってのは意識してるんだな、おれ。
「悪い……。でもおれはさ、妖怪だから」
「…………」
それを聞いて恢菜は口を結ぶ。さも残念そうに、悔しそうに。
「蒼どの。貴方のおかげで出来て間もない村が守られました。これは感謝してもしきれないくらいです」
今、村長がいったとおりこの村は出来て(恐らく。日というのがない)数年しかたっていない。だからあの妖怪に襲われたのだろうか。
「だから……わしは呼び止めたりはしません。だから恢菜。笑って蒼殿を見送るのじゃ」
それを聞いてうなずく恢菜。
……村長かっけぇぇぇ!
「……ありがとうございます。では、あと三回太陽がのぼったら出発しようと思います」
この時代、正確な時間が分からない。別に、月の時計を見ればいいだけなんだが、それを言ってもこの人達に分かるまい。
おれは村長に感謝して、今日の残りの時間を過ごす。明日からは挨拶まわりだ。
恢菜がずっと悲しそうだった。すごい罪悪感だった。
だがおれは表情に出していない。
△▽
一人の妖怪が森の中で、俗に言う悪い笑みというのを石に座りながら浮かべていた。周りには虚空を見つめている妖怪が複数立っている。
ボーー………
「蒼がぁ、いなくなったのは残念だけどぉ、まぁいいかぁ」
石に座っている妖怪が言った。
その妖怪が立って前に進むと他の妖怪一団も誘われる様によろよろと進む。
その一人の妖怪を先頭に。
これが妖怪のあるべき姿なのだろうか。まさに夜行。
「あ、だめだ。見えない。とまれぇ~」
それを聞いた妖怪達は止まる。
今は夜である。街灯もないこの世界では、夜は真っ暗闇だ。
リーダーと思われる妖怪は皆を止めた後に寝かした。
大小様々な妖怪がぐでーとして寝ている。個人的にシュールだ。
……これが妖怪のあるべき姿なのだろうか。
ただし、良からぬことを考えているのはまちがいないであろう。新聞に載りそうだ。
まだ起きていた先頭の妖怪は、ニタァと笑みを浮かべていた。




