友は月に行くらしい
蒼が都に来て数年たった。今ではツクヨミと永琳の作った、妖力が漏れないように目を改造して(一旦とってゴニョゴニョしてつけ直した。永琳のあり得ない技術とツクヨミの能力に蒼の異常な回復力があってこそできる芸当だね!)着けていて、一般人と混ざって訓練をしている。というかそれぐらいしかすることがない。
今ではあんな幼かった姿も……という訳ではなく、特に外見は変わっていなかった。
蒼のここ数年でしたことは
永琳に女性の言葉つかいを覚えさせられ、永琳の薬の材料をとりに行かされ、ツクヨミの書類仕事の手伝いをさせられ、ツクヨミの運動相手をさせられ…………と色々やらされた。
他の皆には、成長が早々と止まる病気と説明された。永琳が言うと説得力もあるものである。
蒼のたち位置は、永琳の助手的位置になっていた。ただしこれは、あながち間違いではない(現に手伝いをしている)。
とりあえずこんな日常も終わりを告げようとしていた。
「蒼……我々は月に移住しようと思っている」
蒼が起きてすぐに、ツクヨミがやって来て告げた。それを聞いて蒼は
「ふ~ん、そう」
とたいして気にした様子もなく返事をした。蒼は前にツクヨミが寿命のことで悩んでいると前にこぼしたのを聞いちゃったので、そのうち月に行くと言うことは分かっていた。地上には戯れが溢れており、それにより寿命があるということも昔を見て知った。巧みに会話を見たいと思ったら漫画みたいにフキダシがでて蒼は笑いこけた。ただしその後、妖力の使いすぎで気分が悪くなり(主に目)、笑うどころではなくなったが。
「驚かんのだな」
「人間は寿命が短いからもっともっと生きようとする。おおかた幹部が……いや、みんなか。が戯れのない月という所に行って寿命のないところで暮らそうとかいうところだろ。ちなみにおれはいかん」
「蒼が戯れを知っていたことが驚きだが……なぜいかない」
「見たところつまらなそうだったから」
蒼は能力を使い月の未来を見た。うつったのはたった数年だが、たいした変化もなく、だらだら過ごしている人達だったのだ。それを見て蒼はつまらないと思ったのだった。ちなみに前世でだらだらと過ごしていた人(?)の言葉です。
「そうか、残念だ」
「おれもな」
その後、少し会話をして解散した。
「…………」
蒼は今、人が一握りしか居ない町並みを歩いている。今日でお別れになるからである。蒼は皆が月にいったあと、ここを去るつもりなのだ。
しばらく歩いているとお世話になった店を見つけた。
「……いないか」
ここは武器屋である。蒼の刀を作ってくれたところなのだ。蒼の数少ない変化のひとつは、腰に刀があることである。ここの鍛冶師は蒼が妖怪であることを見抜いたのだが、人間に手を出したことがないのも同時に見抜いたので「変わった妖怪もいるものですね」で終わった。蒼と付き添いのツクヨミはヒヤッとしたが。本人は他言しないと言ったので特に何もなかった。この時蒼は
……職人さんすげぇ
「結局あなたはいかないのね、蒼」
「まあな」
「あなたは妖怪だから長生きできるけど……」
「心配すんな。ツクヨミクラスの妖怪がいっぱいででくるわけじゃあるまいし。むしろあんなのがいっぱいいたら地球滅ぶけどな」
「……じゃあね蒼。死なないでね」
そう言って永琳はロケットに入る。そしてカチャッと入口がロックされる。
もう聞こえないだろうが「妖怪は長命でーす」
ところ変わって今は最後のロケットが発射するとき。ここに残るのは蒼とロケットが襲われないように守護する兵士達。
実は妖怪が集団でロケット発射を阻止するために集まっているとの情報があったので上が、頭の堅い兵士を捨てゴマにするために配置したのだった。もちろんツクヨミや永琳はこの事を知らない。兵士は通信機を持たされており、一通り終わったら回収されると言われていた。蒼も貰っていたが最期のロケットが月にいったあと切って捨てた。
「……きた」
蒼がぼそりと呟くとそれを聞き取った兵士が驚く。蒼は彼らの間では見た目は子供だが中身は都屈指の実力者。そんな彼女が来たと言うなら来たのだろう。もうちょっと遅く来てくれればいいのに。
その瞬間壁が壊れた。少人数ではあるが妖怪が入り込んできたのだ。
「迎えうてぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!」
「人間を逃がすなぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
……後に人妖大戦と呼ばれるものである。
さて、我等が主人公蒼は、何をしていたかと言うと、ロケットの前で寝転がっていました。
「…………」
ロケットの中の永琳が睨んでいるが蒼はあくびをしてかえした。蒼の頭の中では、「もしもの保険の為にここに陣とっていた」という言い訳文ができていた。いま、蒼は眠いのである。勿論、こんな状態でもすぐに、起き上がり戦うことは出来るのでさして問題はないのであった。……人を見殺しにしているのを除けばであるが。とまあ、こんなことを書いているうちに妖怪がこっちに来るのが見えたのでめんどくさそうに立ち上がる。そして刀を抜いて三匹ばかりの妖怪を一閃。それだけで先程抜けてきた妖怪は真っ二つになり絶命する。ツクヨミと戦い過ぎて何これチート?になっていたのだ。そして、蒼は
「やっとか……」
と呟く。ロケットが出発するのだ。それを見た妖怪達は焦り出すがそれを無視してロケットは月にいったのだった。それを見送った妖怪達は狂ったかのように暴れだす。
妖怪は人のおもいから出来る。人がいなくなれば妖怪も消える。妖怪は人の肉が、畏れが主食だというのに。それを蒼は、体で理解している。蒼も妖怪だからだ。暴れ狂う妖怪は大方もう死ぬ(消える)んだからどうにでもなれーとか思っているのだろう。蒼は今なお戦っているだろう人間達を無視し能力を使って生命反応の少ないところを見、眠いというのは何処にいったのやら、全速力で走る。
少し前に見回ってるとき、いや~な念が見えたので調べると爆弾が仕掛けられていたからだ。未来を見た結果自分の手におえそうに無かった。つまり、逃げるが勝ち。蒼は結局は立つことになっていたのだ。ツクヨミは既に月に行っていて、永琳に言ったところで意味はないので爆弾の事は誰にも言っていない。何より生物があまりいない安全な世界で寝たいという夢があった。
道中妖怪も少なからずいるが能力で位置を特定し、走りながらバッサバサと邪魔になるのを切っていく。そのかいあって都を抜けるがまだ止まらない。どんどん遠くに行く。
どれだけ遠くに来ただろうか。もはや都は見えない。蒼は疲れきってその場に倒れる。蒼は能力で爆弾を仕掛けた奴を見て怒る。
「はあ、はあ、はあ…………。……あの野郎どもおれ達を捨てゴマにしやがったな。邪魔な奴と妖怪を消すってか。そのおかげで最近出来た夢のひとつは達成させられると思うんだが……」
蒼の『見る程度の能力』は自分の妖力を除いて自分を見ることができない。自分の未来などは見れないのだ。なのでこの先自分がどうなるかは予想がつかない。勿論他にも見れないのはあるがここでは省く。
「これをツクヨミが知ったらどうすっかなー」
その瞬間視界が白くなった。そして吹き飛ばされる。遂に爆発したのだ。遠くにいたおかげかたいしたダメージは無いが耳鳴りがとてもひどい。目は改造されているので突然眩しくなっても反射でめを瞑るということはない。そして視界が徐々に戻ってきたあと、今度は爆風で吹き飛ばされる。
ひどいなこのやろう
と思いながらも素直に転がる。妖力で体を覆っているため、たいしてダメージは無い。
一通り転がった後、立ち上がり都を中心に妖力を見る。蒼の能力に距離というのはたいして関係無い。見た結果、誰も残っていなかった。今度は霊力を見るが結果は同じだった。ならばと映像に切り替える。全神経をこれに集中させればどんなところも見れるのだ。そして、都があったところには何もなく、さら地だった。
意識を戻した蒼はその結果にどんな爆弾だったんだよ……と思いながらも、近くに手頃な洞穴でもないかと探す。長い間寝るつもりなので洞穴などにこもり入口を塞ごうと思っているのだ。永琳の実験の結果、食事不要。体の温度は常に最適に保たれ、呼吸は不要。体の中に入れた物は消化され妖力になり、体調も悪化することが無い。傷は早く塞がる。という体になっているのだ。勿論神がいろいろやった結果である。
森の中に入り数分。遂に蒼は洞穴を見つけた。いやっほうといいながら中に入る。そして、中を確認する。奥の暗いところは灯りをつけて見る。能力を使えば見えないこともないが。灯りのもとは何処にあったかというと四次元ポケット~ではなく、服の中にはいっていたのだ。とても小さく軽い。どんな技術力を持っているんだろうか。これは妖力の充電式である。特に何も無かったので入口を岩で積み上げてその後、上の土を斬る。土砂崩れがおき、それにより入口は土と岩で頑固に固められた。それに満足した蒼は灯りのを消してしまい、横になって長い眠りについた。決して永眠ではないのであしからず。
……というか結局こもるんだから妖怪がいようがいまいか関係ないのでは?
勿論寝てるときに襲われないためだが……。あいにく本人にも何年寝るかわからないのだ。あんなところで寝ていると妖怪に限らず他の生き物に襲わられてしまうかも知れない。用心するするにこしたことはないということだ。
蒼が寝て数年後、氷河期に入る。
ある山の中に土砂崩れが起きている場所がある。それはたいした事ではないが、その中から異常な密度の妖力が感じられる。漏れている訳ではない。感じるのだ。
いわく、巨大な力を持つ妖怪が封印されていると。
それに興味を示す者もいれば、さわらぬ神に祟りなしという者もいた。
そんな噂が広まり、いつしかここは、妖怪のたまり場になっていた。単純に妖力にあてられたか、興味あるものか。
ただ、彼等は決して掘り起こそうとしなかった。それは正しい選択だ。中の妖怪を止められる者が、この場に居ないなら、ここら一帯は血の海になっていたことだろう。
……そして今その妖怪が目覚める。
「うわ……。妖怪がいっぱいいる……。目立たない様に出たかったんだけどなあ。しょうがないか」
その呟きは本人にしか聞き取れなかった。
……轟音が鳴る。
まわりの妖怪は驚いた。しかし、それと同時に嬉しくなった。轟音の発生源は封印の噂のところ。中に何がいるかわかるのだから。
煙が晴れた中に居たのは……少女だった。しかし、その服は、この時代では再現出来ない見事な装飾が施されているものであった。よって、存在感があった。
少女が一歩踏み出すーーーーーと思いきや、此処等一帯でも上位に入る妖怪が声をかけた。
「ここは通さないぜ」
「なんででしょうか」
「お前を喰えば……もっと強くなれそうだ!!」
言うが早くその妖怪は殴りにいく……が腕は消えていた。目の前の少女は、いまはないであろう刀を抜刀していた。そして遠くに腕が、誰のとは言わないが落ちる。
ーーーーーポトリ
そして、止まっていた時が動くのごとく妖怪から血が噴き出す。
「う、うわああぁぁぁぁぁあっっっっっ!!」
妖怪は、肩を押さえうずくまる。少女は刀を抜いたまま、風のごとく静かに横をすり抜ける。その顔はさもつまらなそうだった。少女の歩く先には、他の妖怪がいたが、モーゼの滝のように別れていく。そして少女が遠くに行き、小さくなったあと、うずくまっていた妖怪の首が静かに落ちた。
「…………」
場は死んだのごとく静かだった。
後にこの場にいた妖怪はいう。
「恐らくあそこにいた奴全員で掛かっても勝てない。というか、動けなかった」
圧倒的威圧感だったと。
ちなみに彼女を神聖視するものが少なからずとも、でた。
何故か主人公が外道になりかけてる気がする。




