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場の空気をなごます程度の能力?

 はてさて。いつのまにかこんなギスギスした空間になってしまったわけなのだが……。

 いやしかし、この二人の神力は“見る”限り目を見張るものがある。それなりに強いということか。ただおれの敵ではないな。多分。

 というかこいつら(飯)食いながら殺気飛ばしてるよ?なんなのさ。第一印象悪すぎたんですね分かります。

 しょーじきここに来たのって、ただ見に来ただけでありましてですね、喧嘩しようって気はないのですよ。…………どれだけ強いか気にならないと言ったら嘘になるけど。やばいなこの思考。砕鬼とバトりすぎた。

 さて、今考えている間も時というのは進むのだが、


 き、きまずいぃぃぃぃぃぃ!!


 神奈子と諏訪子の食事は終了し、癒衣が食器をさげていく。


「………………」

「………………」

「………………」


 おれら人外三人は、何故か沈黙を守っている。


「皆さん自己紹介しましょう」


 いつの間にか癒衣が戻ってきていていた。

 なるほど、盲点だった。なにかと人と会わなかったせいか、そんなことも忘れていた。ナイスだ。


「あー………、八坂神奈子だ」

「守矢諏訪子だよ」

「おれは蒼だ」


 これにより、この場の空気は明るいものとなった。やはり挨拶というのはすごいのだな。まあ、それだけではないのだがこの場では割合とあうことで。







「……………………ハッ!」


 く、おれはどんだけ寝ていた。

 おれがまわりを見渡せば、二柱と一人が横になっている。


「酒臭いな」


 とするならここで飲んでいたということなのだろう。が、おれはあいにく記憶にない。

 だか、諦めるな。思い出せ、思い出すんだ。たしか、たしか…………。


「ああっっ!!」


 そうだ、思い出した。

 自己紹介して少ししたあと、癒衣が何処からともなく酒を持ってきて飲まされたんだ。

 だがしかし、おれは何故か酒に弱い。匂いで酔うことはないが、飲むと酔って寝てしまうのだ。

 よおぉく見てみると酒樽がそこら辺に転がっている。ん?おいおい、御神酒じゃねえか。こんなの飲ませんな。

 外を見れば真っ暗だった。これは自分の睡眠時間が少ないことを表している。なら寝るかといわれれば、不思議と目が冴えてしまっているため寝れない。珍しいこともあるもんだ。

 しかしながら、よくよく考えたら、なんでおれここにいるんだろう。

 神様のところにくる妖怪なんて……馬鹿なの?よく殺されなかった。寝てても殺意があれば流石に起きれるがな。酒の場合は知らんが。

 この場合は……こいつらが“いいやつ”っていうのだからかね…………。いやぁ助かった。

 おれは夜の散歩に出ることにした。足音を極力たてないように、忍び足で。


「さぁて……。うざばらし、もとい暇潰しに付き合ってくれるのはどいつかなあ~」


 その夜。何かの悲鳴が森から聞こえたとか聞こえなかったとか。






「おお、起きてたか」


 朝、おれが帰ってくると神様達は起きていた。頭を押さえて。


「う~う~」


 諏訪子がなんか唸っているが、きにしない。それと対称的に、癒衣は勝ち誇った顔をしている。


「癒衣……。あんた仮にも私らの巫女なんだから、もうちょっと自重してくれないかい?」


 神奈子が苦しそうにいっている。

 はてさて自重とな。

 心のなかでクエスチョンマークを浮かべていると、癒衣がこちらにきずいたようで、「おはようございます」挨拶してきた。おれはもちろんそれを返す。


「なんだ。これは癒衣が作り上げたのか」

「そおだよ~。あんたがすぐにぶっ倒れたから癒衣の標的が私らにむいてね~。あと蒼さあ、酒弱すぎ」


 そればっかりはしょうがない。しかし、これでも前よりはほんのちょっと強くなっているんだ。

 さて、この惨状は癒衣という豪酒が作り上げたらしい。

 流石にもう酒樽は片付いでいるようだ。匂いがまだ残っているが。

 しかし、おれを例外にしても、神に勝つ酒飲みってどーよ。もしかして砕鬼といい勝負できんじゃね?…………なわけねーか。まず度数が違うね。鬼の酒は本当に飲めるもんじゃあない。喉が焼ける。いやまじで。


「弱いと言われてもそればっかりはね」

「いまどき酒飲めないやつは生きてけないよ」

「そうか?」


 酒は飲まなくても生きていけると思うんだが。


「そうです、蒼さん。酒は素晴らしいものです。さあ、蒼さんも御一緒に…………」

「いや、勘弁してください」


 とゆーかまだ飲むか。


「おまえらどうすんの」


 おれは畳の上に伸びている二人を呆れた表情で見ながら言う。


「う~ん……。無理」


 何が?

 といいたいが、まあ、要約すると動けないと言いたいんだろう。

 ふむ…………。


「そうだな。暇だし癒衣の手伝いでもしよう」

「そうですか。ならお願いします」


 では早速こっちへ……。

 といわれ、おれはホイホイついていっちまった…………。あんなことになるなんてこのときのおれには知るよしもなかった。


「さあ、これを着てください」


 ついた部屋で渡されたのは巫女服。

 どこにでもあるような巫女服。

 でも待ってほしい。

 おれの身長100ちょっとだぞ?

 お か し く ね ?

 なんでおれにあうサイズの巫女服があるんだ?

 き、着たくない。

 おれの前世の魂が、精神が叫んでいる。なにかに負けると。


「いやいや。べつに着替える必要なくない?」


 おれは癒衣の説得を試みるが……、無情にも癒衣は、そのいつものニコニコ顔で


「 着 て く だ さ い 」


と、押し付けられた。

 確かに今着てる和服ぽいなんかよくわからん服は女性用なのかも知れないが、これはこの世界に生を受けてから着ているだけあって別にどうとも思わないわけで。だからといっていま手に持っている巫女服を着たいとも思わないわけで。なので、


「悪いけどやっぱり今回の話はなかった

「キ テ ク ダ サ イ」

「………はい」


 おれは……無力だ。

 だが、忘れてはいけない。おれには『見る程度の能力』がそなわっている!これを使いなにか打開策を……!!

………………。

………………。

………………。

 能力が……匙をなげた!?


「ああ、着方がわからないんですか。なら着させてあげます」


 このときおれは、少し前のことを思い出していた。

 何故匂いが残っていたか。

 こいつ……酔ってやがるなっっっっ!!

 こいつ起きたあとも飲んでやがる!!おれはその光景を今“見た”ぞ!

 そして…………。

 抵抗するも虚しく…………。


 着せられた。


 まあ、いいけど………。

 いろいろと吹っ切れたから。はは。


「それでは掃除をお願いします」


 この姿を奴等に見せることなく境内に出たあと、癒衣が箒を持ってきて渡された。

 というか酔ったままできるのか?

 とりあえずおれはいわれたとおりに境内をせっせと掃除(落ち葉が凄かった。おそらく、もうすぐ冬になるのだろう)しているときに、参拝客がきたりしたが、見つからないようにした。こんな幼女が仕事してたらおかしいよな。

 何時間たったか太陽が上にきたぐらいに癒衣がおれを呼びに来た。昼だそうだ。

 おれは食事の必要がないが、せっかく作ってくれたので、食べることにする。

 そして襖を開けると……。


「巫女服似合ってるよ~蒼」


 馬鹿にしたようにこんなことを言われた。


「ありがと」


 別にだからといってつっかかるつもりはない。

 どうやら幾分マシになったようで、少なくとも頭痛いではないようだ。

 そして食べるわけだが、おれは少食だ。

 前世のときは男でもあったのでそれなりに食べられたわけだが、この体になってからは女の体のせいか、前世ほど食えず、それに加え食事の必要がない体なので、食事じたいが稀で、余計に胃が小さくなっているようだ。

 それでも頑張って食うが。

 一応いっておくが、空腹感はないが満腹感はある。


「神奈子とかさ、いつもなにやってんの?」


 おれは元々ここに来た目的を果たすことにした。


「さあ?特にすることなんてないねぇ」


 ニートめ。


 おまえがいうなぁぁぁぁ…………。(どこからともなく聞こえてきた)


「蒼さんありがとうございました」

「うんにゃ。礼を言われるほどのことはしてない」


 先程の手伝いのことだろう。

 それを思い出して、おれは早急に着替えたくなった。

 そこを“見て”取りに行く。

 と、席をたったところで、諏訪子が質問をしてきた。


「蒼がさ、腰にかけてるあの刃物はなに?(つるぎ)じゃなさそうだし」

「あれは刀だ」


 銘は言わなくていいか。


「刀?聞いたことないね」

「そうだろうな。今の時代には作れない代物だ」

「じゃなんだい。おまえさんは未来から来たとでも言うのかい」

「間違ってはない」


 あの都市はおれが前に生きていた時代よりも未来だった。

 三人とも真面目に受け取っていないようだ。まあ、証明するきはない。刀は見せることはないだろう。砕けてるし。

 おれは今度こそ服を取りに行った。

 ………うん?“刃物”?

 こいつ勝手に見たな。まあ、いいか。

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