ある怨念の話
掲載日:2026/08/23
ある将軍が戦で殺された。
栄華を極めた将であった故か、人々は祟りを恐れて首塚を作った。
しかし、恐ろしきことに数えきれないほどの病魔や災厄が国を襲ったのだ。
それも数百年に渡り――。
人間など100年も生きぬもの。
それなのに人々は何かが起こる度に祟りを鎮めようと必死に霊へ捧げものをした。
し続けた。
それも数百年に渡り――。
現代まで。
*
さて。
ここはとある土地の土地神様の棲み処。
数十年ぶりに目覚めた土地神様は今回もまた捧げものがあることに満足げに笑う。
「時々疫病を流行らすだけでこれなのだから、本当にありがたい」
誰にも聞こえぬはずの声を独り言ち、今日もまた捧げものを喰らう。
土地神様は何故、ここ数百年から自分へ捧げものが納められるになったのか知りもしない。
まして、世界に影響を与える術も持たない人間の骸と疫病の流行が偶然に一致したことなんて。
「人に世界をどうこうできるはずもなし。お前たちはこうして神を畏れていれば良い」
誰にも届かぬ独り言は今日も誰にも響くことなく消えうせるばかり。




