37話 11月15日 三沢邸 23:45
「ねえ、話を聞いてほしいんだけど」
「なに? あ、これ真花のプログラム? へえ、今度は*△ホールでするのか。席、決まってるのか? それとも早い者順?」
「席は石川さんが取ってくれるって」
「じゃあ、なんかお礼しないとなぁ」
「うん、それは考えてる。あの……それでね」
「ん?」
「佳花のことなんだけど」
「佳花。うん? あ、学校? なんか佳花の学年、新聞報道にもなったらしいな。パートの人が教えてくれて、ネットで検索した」
「そのことなんだけど」
「そのこと?」
「なんだかあの子、様子がおかしくて……」
「神経質だからな。学校の雰囲気に影響されているんじゃないか? しばらく休ませるとか。そういうのをしてみたら? スクールカウンセラーに予約をいれるとか」
「……そうね」
「そうじゃない、感じ?」
「その。真花も言ってるんだけど」
「真花?」
「お姉ちゃんがひとりで部屋でぶつぶつ話をしている、って」
「………」
「私も聞き耳をたててみたことがあるの。確かにひとりでずっとなにか喋っていて……」
「なにか、ってなにを。歌とかじゃないのか?」
「ううん。誰かと話をしているみたいなの」
「話? ああ、じゃあ電話じゃないのか?」
「電話って、どうやって。あの子たちにスマホなんて持たせてないわよ」
「家電の子機とか」
「違う」
「……本が好きな子だから、朗読とか?」
「……違う。本当に会話しているの」
「どんな?」
「真花のことは好き、とか。お父さんは帰りが遅いんだ、とか。勉強は得意だから教えてあげられる、とか」
「そこだけ聞いたら……電話としか」
「でも電話じゃないの」
「……」
「ねえ、あなたが佳花にちょっと聞いてみてくれない?」
「俺が? ……真花ならともかく佳花は……。君の方が心を開くんじゃないかな」
「そうやって、やりたくないことは全部私に任せて……」
「いや、そうじゃないけど……。うー……ん。じゃあ、今週の日曜日にでも話しかけてみるよ」
「……お願い」




