表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なおこちゃんの手紙【モキュメンタリー】  作者: 武州青嵐(さくら青嵐)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/53

22話 学校心理士石島のカウンセリング記録(◎◎小学校1年生 三沢真花 14/1/2025)

おはようございます。武州青嵐(さくら青嵐)です。

ちょっと更新速度や日程が不規則になるかも、です……。

いまのところ、ストックがある分までは走り続けます。

あら、こんにちは。

うん? いいよ、お約束なくってもこのお部屋は入っていいよ。今日はね、お昼からしかお客さんは来ないから。


大休みの時間を使ってきてくれたんだね、ありがとう。

私になにかお話したいこと、ある? そう。


じゃあ座って。

お名前は? みさわまなかさんね。


忘れないように、ここにあなたのお名前を書いてもいい? あと、メモもしたいんだけど。

……ありがとう。じゃあ、書くね。


何年生? 1年生。2組ね。はい。

私はいしじまと言います。


私とお話しする時間は45分間あるの。いまからだったら授業にかかっちゃうから、担任の先生に連絡をしておこうか? あ、ダメなのね。うん、大丈夫。座って。いいよ。休み時間が過ぎちゃっても、私と一緒に教室に行けば大丈夫。先生にも「真花さんとおしゃべりしてて時間を忘れちゃって」って言うから。そしたら平気だよ? クラスに入れるよ?


だからね、落ち着いて。

……そうか。真花さんは先生にここに来たことを知られたくないんだね。


どうして? 

ああ、そう。お母さんが言ったんだね。「学校の先生や友達にも誰にも言っちゃいけない」って。


大丈夫だよ。

私も坂巻さんもね、守秘義務っていうのがあるの。


真花さんと私はいま、お約束をしました。

難しく言うと、契約、ね? だから、真花さんが「言ってほしくない」「知られたくない」ってお話は誰にもしません。安心した?


だけどね、約束を破らなくちゃいけないときもあるの。

それは、真花さんの命が危ないときとか、真花さんの身体が危ないとき。


そんなときは、私も坂巻さんも警察にお話をしないといけないの。


それはわかってくれる? うん、そっか。

じゃあ、先生と契約だ。

真花さんは、この話を先生とお友達に知られたくない。そして、真花さんのお母さんには、真花さんがここに来たことを知られたくないんだね。


わかった。

じゃあ、お話をしてくれるかな?


……そう、お姉ちゃんのお話なんだね。何年生? 3年生。お名前教えてくれる? よしかさんね。


……そうなんだ。夜にずっと話声が聞こえて来たら眠れないよね。わかるわかる。

……あ、そうか。携帯! ……真花さんはお姉ちゃんだけ携帯を買ってもらったって思ったんだね。それで夜更かしをしている、って。


……うん、別に私は真花さんのしたことを悪いって怒るつもりはないよ。気になったんだね。それでゴミ箱を……。


え……?

『なおこちゃんの手紙』?


ごめん、真花さん。それ、どんな漢字を書くのかな。なおこってどんな字?

ひらがな? そう。手紙だけ漢字なのね。


それを見つけた。うん、それで?


……そうだよね。私でもそう思うかも。お姉ちゃん、誰かから嫌がらせを受けていじめられているんじゃないかって。それでお母さんに相談して、お手紙を渡したんだね?


……いいよ。涙出ちゃうよね。待って、ティッシュが……。はい、どうぞ。ゴミ箱はここに置いておくね。

いいよ。ゆっくりでいいよ。お茶飲む? ここに冷蔵庫あるんだよ。お茶を入れるね。


(泣きじゃくる真花に紙コップにいれたお茶を渡す。しばらく、沈黙)


……そう。そのあと、事件のことを知ったんだね。

いま、学校の先生が「手紙をもらったひとは先生に言ってください」ってずっと言ってるもんね。それで怖くなっちゃった?


……ん? その手紙にそんなことが書いてあるの?

10日以内に誰かに手紙を出さないといけないのね? 5人に?


真花さんがその手紙を見たのはいつ? わからない? そっかそっか。大丈夫大丈夫。

怖くないよ。


……え? その手紙を出した? そうなの。誰に出したか、聞いてもいいかな?


いせりょうこ。


……お母さんのお友達。……ホラーの専門家? 

小説家じゃなく? ああ、そう。ホラーの専門家ね。

で、しばっち……さんの友達でもあるのね。そのしばっちさんって人はお母さんの友達? そうなんだね。鶴川中学校で吹奏楽部のボランティアしてるんだ。


なるほど……。


……そっか。真花さんはそのいせりょうこさんにお手紙を書いてしまったことも苦しいんだね。そうだよね。真花さんはそれでよかったかもしれないけど、今度はいせりょうこさんがしんどいかもしれないもんね。


いいよ、いいよ。泣いたらいいよ。

そうか。真花さんはそのしんどい気持ちを誰にも言えなくってしんどかったんだね。


そうだよね。だって、先生にもお友達にも言ったらだめなんだもんね。

よく来てくれたね。私、うれしいよ。そんなときに、真花さんが私を選んでくれたこと、本当によかったって思うよ。


あ、ティッシュはここに捨てていいよ。お茶もどうぞ。

……すっきりした? そうか。そうだよ。誰かにお話をしたら心が軽くなるんだよ。

だからいつでもここにきていいよ。


もう戻る?

うーん、もうちょっとゆっくりしてから教室に行ってもいいんだよ? このまま保健室に行ってもいいし。


そう。保健室で休んでもいいよ。

じゃあ、このあと一緒に保健室に行こうか。


でも、その前に。

えへへへ。私、ここにチョコを隠してるんだー。坂巻さんには内緒だけど。


真花さん、今日はたくさん話してくれたから、チョコ、一個あげる。……うん、いいよ。私も食べちゃおう。真花さんも食べちゃえ。


おいしい? よかったー。

またいつでもお話に来てね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ