合い言葉はギフト
「あの、これ、はい!」
勢いよく渡されたのは、赤い包みにはいったプレゼント。リボンの部分にギフトカードまでついている。
「バレンタインチョコ。その、いつもお世話になってるから」
ありがとう、と言うと顔を赤らめたワタナベさんが下を向く。どうするか迷っている手が前で組まれて動いている。
「その、ね、タカハシくんが、好き!…だと思って、ちょっと工夫したの、ギフトカード。合い言葉はギフト!結構頑張って作ったクイズ楽しみにしてて!」
緊張しているのか、一気に言葉が紡がれた。僕が言葉を解釈しきるよりも早く、ワタナベさんは笑顔を残して去っていった。
もう一度、貰ったプレゼントを見る。さっきワタナベさんが言っていたクイズ、という言葉が気になる。中高とクイズ研究会の僕に合わせてだろう。それに、手作りだと言っていた。文脈からして、これは中身のチョコレートが、ではなく、クイズが、ということだろう。
昔、僕にクイズの本をプレゼントしてくれた子が居た。嬉しかったけど、持っている本だったから、新しいクイズと出会えなくてちょっと残念だった。
今回は手作りだ。つまり、確実に出会ったことのないクイズと出会える。楽しみでしょうがない。
「あれ…?」
教室に自分の声が響く。ギフトカードを開けようとしけど、上手く開かなかったのだ。もう一度試すが開かない。
のりがはみ出してくっついている、とかそういう訳では無い。だってこのギフトカード、スマホ並みのサイズ感でスマホ並みに重いのだ。のりとかそういう話じゃない。この中のクイズが見たいのに。
……待てよ。これ自体がクイズなんじゃないか?ギフトカードを空けられたら勝ち、みたいな。さっき何て言ってたっけ。合い言葉はギフト、に隠されてるってことか。
隅々まで赤い袋を見回す。よく見ると小さなサンタクロースの柄が入っていた。明らかに季節じゃないから多分故意だ。ということはサンタクロースが鍵?それとも王道三択ロース?
とりあえずロースに決める。しかし、どうすればいいのかわからない。どこにも入力スペースが無いのだ。
「どうなってんだよ、このギフト」
決して悪意ではなく、喜びからそう呟いたとき、カチャッと音がしてギフトカードが弾けた。
驚いて一歩下がると、目の前に落ちてくる。本のように開いたギフトカードの中に文章があった。
「私、こういう電子工学が得意なんです。クイズは苦手だけど、あなたと付き合いたいです!」




