初デート④
「どうぞ…」
ほのちゃんは自宅の鍵を開け、僕を招き入れてくれた。
普通のマンションの一室だ。
部屋は何だか良い香りがする。
女性の部屋は初めて…というわけではないが、かなり久しぶりだ。
ワンルームの中は綺麗に整頓されている。
ギターとアンプがあったり、CDが置いてあったりと、ほのちゃんの部屋という感じだ。
「おじゃまします…」
僕は道中で買ったお酒の缶をテーブルの上に置いた。
「そこらへん…お好きなところに…座ってください…」
「あ…ありがとう…」
何だか変に緊張する。
本来のデートプランだと、今頃ちょっとお洒落な居酒屋で飲んでいる予定だった。
それが、ほのちゃんに半ば強引に連れて来られてしまった。
ほのちゃんは荷物をクローゼットの近くに置くと、僕の隣に座った。近い…
「…乾杯しましょう…」
「そ…そうだね…!」
それから僕たちはお酒を見ながら、少し話をした。
バンドの話や、大学時代の話など…色々だ。
気づくと、僕達は大学時代のライブ映像を観ていた。
そこには若い僕達が映っていた。
「今見るとへたくそだね…!」
僕はそういうと、ほのちゃんと笑いあった。
すると、ほのちゃんは突然つぶやいた。
「たぶんこの頃から好きでした…」
「…ん?」
「…このあいだ…先輩に告白したとき…大学時代は先輩に恋愛感情を抱いていたか分かっていなかったって…言いましたよね?」
「…うん」
「今思うと…あの時から…好きだったんだったと思います…ただ…先輩としての憧れと混ざっちゃって…自分でも気づいていなかっただけ…だと…」
「…そっか…」
「だから…私…今まで…男の人とお付き合いしたこと…ないんですよ…?」
初耳だ。
「…そ…そうなんだ…?」
ほのちゃんはぐっと顔を近づけてきた。
「キスだって…したことないんですよ…?」
「ん…そ、そっか…」
「先輩…責任…取ってくれます…?」
責任。取ります。




