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バンド内恋愛はダメだと一般的に言われていますが  作者: ねくら
第1章

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結成②

スタジオ当日の朝、僕は一昨日と全く同じ体勢でノートとにらめっこをしていた。


歌詞は、一応出来た。

ほのちゃんの録音を聴きながら、とりあえず言葉を当てはめてみた。


出来栄えがどうなのかは…正直分からない。


ほのちゃんから歌詞を託されて以降、ずっと歌詞のことだけを考えていた僕は、自分の書いた歌詞に対してゲシュタルト崩壊を起こしていた。


まあ、とにかく出来た。

ノートに書き殴った歌詞をスマホで文字起こしし、ほのちゃんへと送った。


寝よう。


仕事を辞めてから怠惰な生活を送っていた僕の昼夜はすっかり逆転していた。

スタジオまでの数時間、仮眠をとることにした。



「はっ!」


アラームも鳴っていないのに目が覚めた。

まさか…


…社会人を丸4年やり抜いた僕を舐めないでほしい。

家を出るべき30分前には目が覚めた。


僕はネット通販で頼んでおいたドラムスティックをバッグに入れ、スタジオへと向かった。


道中、ほのちゃんとの個人チャットを何度も確認した。

既読はついているが、歌詞の感想が返ってこない。

ダメだったのだろうか…


そう思いつつ、ほのちゃんの録音を聴きながら、電車に揺られていた。


スタジオに着いた。

どうやら僕が一番乗りらしい。


受付をするにもまだ早いから、待合スペースで時間を潰すことにした。


待合スペースにはテーブルが3つあり、それぞれ4人掛けだった。

そのうち1つは埋まっており、金髪セミロングの女性が座っていた。

上下セットアップで赤色の半そで、半ズボンを着ており、ギターケースを隣に置いている。


随分と派手な人だな…


そう思いながら彼女と一番遠い席に座ろうとすると、


「あ!ビジン!久しぶり!なんでそっち座っちゃうの!?こっちおいでよ!」


びっくりした。

ビジンとは僕の大学時代のあだ名だ。

由来はシンプルで八方美人の「ビジン」だ。

それを知っているということは…


「…あっちゃん?」


「うん!そうだよ!久しぶり!」


『アオイ』はサークルの同期のあっちゃんだった。


「アオイってあっちゃんか!」


僕は思わず口にした。


「あー!ひどい!忘れてたのー!?」


相変わらず明るい。


あっちゃんのことは忘れてない。

ただ、本名がアオイだということを忘れていたのだ。


「忘れてないよ!ごめんごめん。チャットのアイコンじゃ確証がなくて!ほらキャラクターのやつ」


上手く言い訳が出来た…だろうか。

とにかく、僕はあっちゃんと同じテーブルへと移動した。


「いやー、あっちゃん久しぶりだね。2年前の同期会以来かな?」


「そうだね!ビジンはどう?元気だった?仕事はどう?」


「あ、いや…」


「?」


「実は仕事辞めちゃってさ…」


「え!あの真面目くんが思い切ったね!」


そう言うと彼女はカラカラと笑った。


気まずい話題なのに、雰囲気が悪くならない。

これも彼女の太陽の様な笑顔の力だろうか。


「だからこのバンドが始まるってことね」


後ろから声がした。

振り向くと、そこには菜奈さんが立っていた。


菜奈さんは大学時代と変わらず、クールビューティだ。

黒髪ロングに黒っぽいデニム、グレーのタンクトップをカッコよく着こなしている。


「お、お久しぶりです!」


僕は気づくと立ち上がっていた。


「ビジン、久しぶり。仕事やめたって本当?」


「はい…そうなんです」


「そっか…大変だったね。でも、何でこのバンドが始まるのか、分かった気がする」



まあ、僕が仕事を辞めたから、ほのちゃんが僕を誘いやすくなって…ということだろう。

なんでそんなことを菜奈さんは意味深っぽく言うのだろうと思っていると、


「受付しました…すぐそこの部屋です。」


ほのちゃんが菜奈さんの後ろから顔を出しながら、言った。

声は小さい。


いよいよ、このバンド初のスタジオ練習だ。


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