フェス前④
僕は気づくといつも以上に酔っぱらっていた。
姉は鬱陶しいし、あっちゃんと菜奈さんは面白がってるしで、疲れていたのかもしれない。
ほのちゃんが僕の様子にいち早く気づき、声をかけてくれた。
「先輩…大丈夫ですか?」
「ん…ああ…!ちょっと飲みすぎちゃったかも…ちょっと外の空気を吸って来ようかな…」
店の外に喫煙所があるタイプの居酒屋なので、たしかそこに椅子があったと記憶している。
「私も…ついていきます…心配なので…」
僕は一瞬断ろうと思ったが、好意を素直に受け取ることにした。
「うん…ありがとう…」
僕が席を立とうとすると姉が言った。
「やっぱり本当に付き合ってるんだね…」
「しつこい!」
姉はまた嘘泣きをした。
本当に困った人だ。
外に出ると僕はタバコに火を付けた。
椅子がちょうど二つ、横並びにあったので、僕とほのちゃんで座った。
「先輩…大丈夫ですか?」
「うん…大丈夫…!ちょっとバカ姉貴のせいで疲れてたみたい…」
「そ…そうですか…」
「ほのちゃん…ごめんね?姉貴、鬱陶しいでしょ?」
「い、いえ!素敵なお姉さんで…!先輩のお姉さんだなって感じです…!」
「そ、そっか」
僕は苦笑した。
姉弟感あるかな?
自分では分からない。
しばらくの沈黙の後、僕はほのちゃんに言った。
それはここ最近、ずっと言わなきゃと思いつつも、自分の中で反芻していた内容だった。
「今度さ、ちゃんとデートしようか?」
ほのちゃんは目を見開いてこっちをみた。
そしてゆっくりと頷き、言った。
「…はい…!」
ほのちゃんの笑顔は、相変わらず可愛かった。
席に戻ったらあっちゃんがからかってきたから、しっぺをお見舞いした。
姉は無視した。




