レコーディング②
僕らは本当によく飲み会をする。
今日のレコーディング後も例外ではない。
いつもと違うのは、ゲストのマキちゃんがいることだ。
「「「「「かんぱーい!」」」」」
「いやーすみません、お邪魔しちゃって!」
マキちゃんは謙虚だ。
むしろ本日の主役?なのに。
「今日は手伝ってくれて本当にありがとう…ここは私たちがご馳走するから…」
ほのちゃんに続いて、僕らも次々と感謝の意を述べた。
「そんな…本当に大したことしてないですよ。私も楽しかったですし!でも、お言葉に甘えて、ご馳走になっちゃいます!」
そこからしばらくは、レコーディングや曲の話が続いた。
しかし、どんどんと話は脱線していき、マキちゃんがとある質問を僕にしてきた。
「ビジンさんは彼女いないんですか?」
一瞬、ほんの一瞬だが、場の空気が凍った。
僕はそれを察知して、いち早く答えた。
「いや、いない!いないよ!」
「え~そうなんですね!いそうなのに~」
「いや~この歳で定職についてないとなかなかね…」
「でも周りもバンドに理解ある人多そうじゃないですか?例えばほら、メンバーの皆さんとか!」
マキちゃんは冗談のつもりで言っているんだろう。
おそらく、メンバーのツッコミ待ちだ。
誰も何も言わない。
「え…あれ?なんかマズイこと言っちゃいました…?」
マキちゃんが空気を察した。
これは…どう誤魔化せば…
「今ね、私達、ビジンからのアプローチ待ちなの」
既に出来上がっている菜奈さんがブッコんだ。
「え…!なんですかそれ!聞かせて下さい!」
マキちゃん…面白がってるな…?
すると菜奈さんとあっちゃんがこれまでの経緯を語り始めた。
マキちゃんはとても真剣に聞いていた。
「え…待ってください!じゃあ…ほのも…ビジンさんのこと…?」
マキちゃんもちょっと酔っぱらっているのか、あろうことかほのちゃんにキラーパスを繰り出した。
ほのちゃんはしばらく固まってから、ゆっくりと話し始めた。
「えっと…私は…」
全員がほのちゃんを見る。
「先輩を…他の人に…取られるのは…嫌です…」
マキちゃんは驚きを隠せていない。
「そ、そっか…!ご、ごめん。あんまりこういう場で聞くべきじゃなかったね!」
再び、しばらくの沈黙が流れた。
飲み会は続く。




