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バンド内恋愛はダメだと一般的に言われていますが  作者: ねくら
第1章

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21/53

ライブ後①

初めてのライブが終わってから2週間、季節はすっかり秋だった。


今日はライブ後、初のスタジオ練習。


メンバーとはあの後、会っていない。

会っていないから今日会うのが少し気まずい。


なにせ、最後が誰も喋らずに帰路へ着いたあの日なのだから。


それにほのちゃんとは熱い電話を交わして以来だ。

何だか気恥ずかしい。


そんなことを考えていたら、予定より大分早くスタジオに着いてしまった。

いつもの待合スペースで時間を潰そうと、いつもの席へ向かうと、そこにはあっちゃんが居た。


「あれ!…早いね…!」


ん?


何だか、しおらしいな。

あっちゃんも気まずさとか感じるのだなと少し意外に思いながら、席に着く。


束の間の沈黙を破り、あっちゃんが話し出す。


「あのさ…!この間のライブなんだけどさ!私達、最高だったよね!!」


「…?」


「えっとー、だからさ!そんなに気にしなくていいっていうかー…そのー…あれ~おかしいな~言いたいこと考えてきたのに…」


うん?

まるで僕だけが落ち込んでいるみたいな言い草だ。


「励ますの下手過ぎない?」


後ろから菜奈さんが呆れた顔で現れた。


励ます?

みんな自分が落ち込んでるのは二の次に、僕を励まそうとしてくれているのか…!

なんて良い人たちなんだ、と感動をしていると、菜奈さんはスパッと言い放った。


「落ち込んでるの、ビジンだけだよ」


え?

僕は菜奈さんが何を言っているのか理解できない。


「その様子だと、やっぱりほのちゃん、電話で上手いこと伝えられなかったのね」


菜奈さんは優しく微笑むと全てを説明してくれた。


あの日、チェリーズのライブに衝撃を受けたのは4人とも同じだったらしい。

でも、それで「負けた」と感じたのは僕だけだったのだ。


もちろんみんな刺激は受けたようだったが、3人はジャンルの違い、活動歴によるファンの数、出順などを冷静に考慮していたみたいだ。


それらの要素を僕は一切考えず、尚且つ姉へのコンプレックスを拗らせ「負けた」と1人落ち込んでしまっていたのだ。


あの日、他の3人が落ち込んでいる様に見えたのは、僕の落ち込みっぷりを見て、気を遣ってくれていたらしい。


なんとも恥ずかしい話だ。


それで後々、ほのちゃんが3人を代表して僕に電話をしてくれたのだという。


口下手な彼女は重要な部分を伝えず、思いの丈をぶつけてしまったのだろう。


「そもそも音楽に勝ち負けなんてないのよ」


菜奈さんは僕に言い放った。

やはり菜奈さんはカッコいい人だ。


そうこうしていると、時間ギリギリにほのちゃんがやってきた。


「受付しました…いきましょう…」


ほのちゃんの顔は真っ赤だった。


僕も何だか照れる。


真相が何であれ、あの電話があったことは事実だ。


僕とほのちゃんの様子を見て、菜奈さんは言う。


「あなたたち…ほんとに電話で何話したの…?」


菜奈さんは僕の脇腹をつねり、スタジオへ向かった。


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