作詞⑥
『無難』の完成を祝う、打ち上げが開催された。
とはいっても、前回と同様、スタジオ練習後の飲み会だ。
乾杯の後、スタジオでは特に言及されなかった、作詞に関する評価や、各パートについての意見交換が行われた。
細かな変化は加えられるかもしれないが、やはり『無難』は概ね完成ということになった。
続いて、ほのちゃんから新しい曲が数曲出来上がっているので、また後日共有する旨、作詞は引き続き僕に任せたい旨が伝えられた。
僕は快諾した。
そして、話題は前回の飲み会の話になった。
「それにしても、前回は大変だったね。あっちゃんあの後、大丈夫だった?ビジンに何か変なことされなかった?」
菜奈さんが僕をからかう様にチラチラと見ながら言った。
「大丈夫でしたよ!朝までな~んにもなかったです!」
あっちゃんはカラカラと笑いながら答えた。
「朝まで??」
菜奈さんとほのちゃんの顔が曇った。
まずい。
何か変な誤解をされているのではないか。
「はい!朝まで一緒にベッドで寝ることになっちゃったんですけど、な~んにもなかったです!」
「一緒にベッドで??」
菜奈さんとほのちゃんが一斉に僕の方を睨みつける。
ここはいつもの様にどもってはいけない。
僕は本能でそう察知すると、ハッキリと答えた。
「何もなかったです…!」
朝まで一緒にベッドで寝た。
事実は否定できなかった。
「…」
菜奈さんとほのちゃんが同時に何かを呟いたが、よく聞こえなかった。
「2人ともどうしちゃったんですか?」
あっちゃんは本当に僕と同い年かと疑いたくなるくらい察しが悪い。
心なしか菜奈さんとほのちゃんのお酒のペースが速かった様に感じた。
その日は朝までカラオケコースだった。




