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パーティを追放された俺、なぜか女だけの最強ハーレムパーティを作っていた  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


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第29話 門灯の夜に交点を守る

第29話 門灯の夜に交点を守る

夜の名残が薄く残る朝、王城の石はしっとりしていて、噴水の水音が広場の端で静かに回っていた。

風は弱く、空の色は淡い。

歩くだけなら眠気は邪魔をしない。

俺は数珠の留め具に指を当てて、ひと呼吸。

急がない。

落とさない。


「ユウマ」家令が角から現れた。

薄い地図はいつものように腕に抱えられていて、息は乱れていない。

「城門の交点で、夜明け前に拍が一度だけ止まったとの報告。

影は門の外、近い。

王が朝のうちに見回りを、と」

「見に行こう」俺が頷くより早く、リリィが剣の柄から手を離した。

「入口の並び、私が見る」

セリアは視線だけで空を測り、小さく言う。

「交点の空気に癖。

強く動かせば怒る。

半歩ずらせば十分」

マリアは蜂蜜色の細いリボンを結び直し、笑って息を整える。

「歌は薄くね」

ケイルは肩の杖を上げた。

「俺は押さないで受ける。

門前なら、それが一番効く」

城門前は早い時間なのに人の声が少し重なっていた。

申請の列、荷車の列、交代の列。

交点だけ、足が一瞬止まる。

「待って」リリィが短く手を上げる。

止め方は短いほど嫌われない。

セリアは石目を目で示し、「半歩右、半歩前」。

ケイルは肩で荷の重さを少しだけ受け、「押さない」。

俺は交点の空気に薄い目印のイメージを置く。

押さない。

引かない。

座る場所を穏やかに変える。

マリアは声を出さない。

ただ立って、呼吸を揃える。


拍は止まらない。

荷車は遅くない。

隊長が胸を少し緩め、「助かった」と短く言う。

案内役も素直に頷いた。

朝の城門は、それだけで落ち着く。


視線が刺さる。

門の外、石畳の端に黒い影。

祠、土手、橋、水車、市場、城壁、そして城門。

ずっと立っていた影が、今は四歩分の距離にいる。

動かない。

近い。

ケイルが杖の角度を変えないまま、ほんの少しだけ目を強くした。

「目の前で刺さらない限り、俺は撃たない」

「並びの外にいるなら、通り過ぎる」リリィが俺の袖を軽く引く。

セリアは目だけで角に印を置いた。

「触らないで落ちる。

近づかない」。

マリアは声を置かない。

俺は視線を短く通り過ぎ、仕事へ戻る。


家令が門の影で手を振る。

「支援魔法使い殿。

王が小広間で短い言葉を。

交点、列の幅、影。

『布は怒らない。

針は刺すな。

数字はあとからついてくる』」

小広間は薄い光で満ち、床の影がきれいに並んでいた。

王は窓際で目を細め、静かに言葉を置いた。

「門の交点は、短い合図で十分だ。

止めるな。

合わせよ。

影は外にいるなら、近づかせるな。

布は怒らない。

針は刺すな。

数字は、あとからついてくる」

ケイルが小さく笑った。

「ついてくる」

リリィは真面目に頷く。

セリアは「理にかなってる」と淡々と結び、マリアは「門の歌、好き」と素直に言った。

王は薄く目を細めた。

「それでいい」

話が座る前、侍女が戸口で手を重ねる。

「支援魔法使い殿。

城下の通りで、祭りの片付けの荷が午前に集中します。

角の通路が詰まるとの報告。

短く見ていただけると助かります」

「行こう」リリィが先に歩く。

セリアは「半歩ずつ」。

マリアは「声は薄く」。

ケイルは「押さないで受ける」。

俺は数珠の留め具に指を当て、ひと呼吸。


通りの角で箱が重なり、人がぶつかりかけた。

「痛っ」短い声。

リリィがすぐ間に入り、「待って」を挟む。

セリアが目で示す。

「半歩左」。

ケイルは肩で荷の重さをほんの少しだけ受け、「押さない」。

俺は通路の空気に薄い目印のイメージ。

動きは止まらない。

止まらないのに、乱れない。

男が照れくさく笑う。

「助かった」

仕事を終えて外へ出ると、通りの向こうで影が立っていた。

距離は四歩分のまま。

動かない。

家令が薄い地図を抱え直し、落ち着いた声で告げる。

「支援魔法使い殿。

昼、王城の工房で色見本の棚の並び。

目が疲れるとの報告です」

「色は奥へ」俺が言うと、セリアは「並び」。

リリィは「入口」。

マリアは「声は要らないかも」。

ケイルは「見る」。

工房長は帽子を押さえ、「色は良い。

場が怒るだけだ」と笑う。

強い色を少し奥へずらすと、工房の空気は軽くなった。

工房長が鼻を鳴らす。

「助かった」

昼、台所で料理長が鍋の湯気を見ていた。

「今日は軽く。

門の話に合う味で」

「スープ」マリアは即答。

セリアは「塩、少し」。

リリィは「並んでやる」。

ケイルは「火、弱め」。

俺は匂いを手前へ寄せる。

器の湯気は短い。

王が手にして頷く。

「良い」

午後、城門へ戻る前に、見物路の角を一度だけ歩いた。

風は弱いのに、人の足が集中すると拍が乱れやすい。

「待って」リリィが短く合図。

セリアが印を置くように視線を流す。

「半歩」。

ケイルは体を半歩ずらす。

「押さない」。

俺は角の空気に薄い目印のイメージ。

足は揃う。

兵が「助かった」と笑った。


城門に着くと、空は薄い灰に傾いていた。

夕暮れの前。

列は長い。

交点は乱れやすい。

「待って」リリィの合図。

セリアの「半歩右、半歩前」。

ケイルは肩で重さを受ける。

「押さない」。

マリアは声を置かず、呼吸だけ軽く揃える。

俺は交点の空気に薄い目印。

拍が合った。


影が横へ一歩。

四歩分の距離のまま、真横だけ。

旗の紐が細く鳴る。

兵が握りしめる前に、セリアが低く言う。

「握るな。

結び目、半歩右」。

ケイルが肩で重さを受ける。

「押さない」。

マリアは短い声を一度だけ置く。

紐は巻かれない。

旗は怒らない。

影は止まる。

近い。

動かない。


「家令」門の石に手を添えたまま、彼は静かに告げた。

「今夜、王が門の灯りを整える。

交点の見回りも一度増やす。

支援魔法使い殿、夕暮れから夜にかけて、門灯の前にいていただけますか」

「いるよ」俺が答えると、ケイルが肩の杖を軽く叩いた。

「俺もいる。

撃たないで守る」

リリィは頷いた。

「並ぶ」

セリアは「拍は一定」と短く結ぶ。

マリアは息を整え、「声、薄く」。

家令は「助かる」と言って頭を下げた。


夕暮れ。

灯台の火は弱くないのに、ときどき揺れが長い。

灯台守の老人が火の前で腕を組んでいた。

「消えない。

でも、弱い時間がある。

人の足が迷うのは嫌だ」

「強くすると怒る」ケイルが肩で火の影を受けるように立った。

「触らない。

熱の道を思い出させる」

セリアは油壺の位置と芯の高さを目で測り、「半歩下げる」と静かに指示。

老人が頷く。

リリィは入口で「待って」を挟み、マリアは短い声を一度だけ置く。

俺は火の前で呼吸だけ。

熱と匂いの座り方を少しだけずらす。

灯りは揺れを短くし、長く続いた。

比喩は一つで足りる。

弱い波を静かに沈める。


門の外で、乾いたものが軽く弾ける音がした。

石の目を指で叩いたような、短い音。

影は横へ一歩。

距離は同じ。

交点の拍が一瞬だけ浮く。

「待って」リリィの声。

セリアが「半歩右」。

ケイルが肩で紐の重さを受ける。

「押さない」。

マリアは声を置かない。

俺は交点の空気に薄い目印。

拍は沈む。

乱れない。


家令が門の石に手を添え、低く告げる。

「支援魔法使い殿。

今夜、交点で“思い出す合図”を増やします。

影は外。

近い。

人を乱させない」

「わかった」俺は数珠の留め具を撫でて、ひと呼吸。

ケイルは肩で火を見る。

「弱く、長く。

今夜は撃たない」

リリィは人の流れに目を置いた。

「待って」を挟む場所を決める。

セリアは結び目の位置をもう一度だけ視線で確認し、「半歩右」。

マリアは声を置かず、灯りの前で呼吸を軽く揃えた。


夜が始まった。

市場の音が遠くなり、門の外は静かだ。

交代の兵が走らない。

走らないのに、早い。

灯りは弱くない。

薄い波は静かに沈む。

影は横へ一歩。

距離は同じ。

四歩分。

動かない。

見張り台の旗は怒らない。

紐は巻かれない。


「ユウマ」リリィが袖を軽く引いた。

声は低い。

「影、近いままで止まる。

今は外にいる。

止めない?」

「止めない」俺は首を振る。

「近づいてこないなら、仕事だけやる。

近づいたら、並んで止める」

セリアが目を閉じ、拍を数えるように息を整えた。

「拍は一定。

交点は落ち着く」

ケイルは肩の力を抜いた。

「俺は撃たない。

守る」

マリアは灯りの前で小さく笑って、「声は薄く」と呟いた。

家令は何も言わず、門の石を指で撫でて頷いた。


夜の半ば、乾いた音がもう一度だけ走った。

影は横へ一歩。

距離は同じ。

旗が鳴らない。

交点が浮かない。

「待って」リリィ。

セリアの「半歩右」。

ケイルの肩。

「押さない」。

俺の目印。

マリアの呼吸。

道の上にあるもの全部が少しずつ正しい場所へ戻っていく。


灯台守の老人が火の前で腕を下ろした。

「安定した。

朝までいける」

家令が薄い地図の端を指で押さえ、短く言う。

「王に伝える。

今夜は守れた。

影は外。

近いまま。

明日の朝、門前で短い言葉を置く」

台所に寄る必要はなくなったが、パン屋の前で足が止まった。

焼きたての香り。

表面の塩は薄く、甘さは奥に座る。

マリアが無条件で笑う。

「幸せ」セリアは二つ目を手にして、「休息、完了」。

リリィは「二つまで」と線を引き、ケイルは「俺は三つ」と言ってすぐ二つに変える。

家令は「数字はあとから」と笑って、一つで満足した。


ベンチに座る。

夜の光は弱いのに、目に優しい。

比喩は一つで足りる。

暗い布の上に、小さな灯だけが滲む。

俺は数珠の留め具に指を当て、ひと呼吸。


「ユウマ」リリィが袖を軽く引いた。

「明日、近づいたら?」

「並んで止める」俺は短く答える。

「急がない。

落とさない」

リリィは頷いた。

セリアは目を閉じ、「拍は一定」。

マリアは笑って小さく息を整え、「声は薄く」。

ケイルは杖を肩に乗せたまま、「俺は撃たない」。

家令は黙って頷いた。

それだけで十分だ。


王城の鐘がひとつ鳴る。

時間の知らせ。

俺は目を閉じ、明日もこのままと心で決める。

交点を守る。

灯りを弱く、長く。

並んで止める準備はできている。

影は外。

近い。

動かない。

明日は、同じように始めて、同じように終わらせる。

落とさない。

それでいい。


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