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パーティを追放された俺、なぜか女だけの最強ハーレムパーティを作っていた  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


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第25話 城下の石畳で朝の足音をそろえる

第25話 城下の石畳で朝の足音をそろえる

朝の王城は静かで、噴水の水音が広場の端でやさしく回っていた。

空の色は淡く、風は弱い。

眠気が少し残っていても歩ける朝だ。

俺は数珠の留め具に指を当てて、ひと呼吸。

急がない。

落とさない。


「ユウマ」家令が角から現れた。

薄い地図はいつものように腕に抱えられていて、息は乱れていない。

「城下の石畳で、朝のうちだけ足が引っかかる場所があるとの報告。

祭りの片付けで砂が溝に残ったのかもしれません。

市場が動き出す前に整えていただけると助かります」

「足音の仕事か」とケイルが肩の杖を上げ、珍しくうれしそうな顔をした。

「撃たないで支える。

俺の得意分野だな」

セリアは視線だけで空を測り、「石の目に砂が座ると、拍が乱れる。

強く払えば怒る。

場所を思い出させれば十分」と短く言う。

リリィは剣の柄から手を離し、「入口で並びを見る。

狭い角はぶつかる」と淡々と続けた。

マリアは蜂蜜色の細いリボンを結び直して、「歌は薄くね。

朝は静かな方が好き」と笑う。


城門を出ると、通りの空気は軽く、屋台の骨組みがまだ半分眠っている。

問題の場所は、市場へ入る手前の広場だった。

石畳の目に細かい砂が残っていて、踏まれるたびに足が微妙に滑る。

荷車の男が眉を寄せていた。

「ここだけ変だ。

急ぐと引っかかる」

「待って」とリリィが短く手を上げ、流れを一度止める。

止め方は短いほど嫌われない。

セリアは石の目をじっと見つめ、「砂を払わない。

目を起こす」と低く言った。

ケイルは杖を肩に乗せたまま、足場の影を体で覚えるように立つ。

「押さないで受ける」

俺はしゃがまない。

触らない。

呼吸の場所を薄く置くイメージだけ。

石の目が自分の目だと気づけば、砂は勝手に席を譲る。

マリアは声を出そうとして、寸前で止める。

「今は声がない方がいい?」

「ない方がいい」と俺。

彼女は頷いて、笑顔だけを置いた。


荷車の男が一歩踏み出す。

滑らない。

次の人は、歩幅を変えずに進む。

強く踏まないのに、早い。

広場の空気が軽くなる。

「助かった」と男が肩を落として笑う。

朝の場面は、短い礼ほど長く残る。


家令が通りの角で手を振った。

「支援魔法使い殿。

王から短い言葉を置く前に、もうひとつ。

城外の水車小屋で朝の羽根が少し重い。

水量は足りているのに回りが鈍い。

粉挽きが遅れると、パン屋に影響が出ます」

「水車の羽根は怒らせると折れる」とセリア。

リリィは「入口で並び」、ケイルは「俺は見る。

押さない」、マリアは「歌は薄く」。

俺は頷いた。

歩こう。


水車小屋は川沿いの緩い坂の下にある。

湿った木の匂い、石の冷たさ、羽根の軸から伝わるわずかな震え。

羽根は回っているが、拍が合っていない。

「今朝は重い」と粉挽きの老人が言った。

「水は悪くない。

軸の機嫌が悪いのかもしれん」

ケイルが羽根から一歩だけ距離を開けて目を細める。

「触るな。

今は触ったら怒る。

流れの筋を思い出させる方が早い」

セリアは水の流れを目で追い、「半歩左へ。

羽根の端が水を受けすぎている」と静かに指示。

老人が板で流れを少しだけずらす。

リリィは入口で待つ合図を挟み、マリアは短い声を置く。

俺は羽根の周りの空気に薄い目印のイメージを置いた。

押さない。

引かない。

座り方だけ変える。

比喩は一つで足りる。

羽根の拍が川の音と同じ速さになった。


「軽い」と老人が息を吐く。

「同じ水なのに」

ケイルは肩の力を抜いて、「俺、撃ってない。

よし」。

セリアは「拍、合った」と淡々と結び、リリィは「並び、保てる」。

マリアは笑って、羽根に向かって小さく「おはよう」と言った。

羽根は返事をしないが、いい顔をしている。


小屋を出ると、通りの角に黒い影が立っていた。

距離は近くない。

動かない。

祠、土手、橋、門、そして水車。

同じように立つ。

ただ、今朝はわずかに肩の線が近い。

二歩分くらい。

リリィが低く言う。

「近づいてきた。

並びの外にいるなら、通り過ぎる」

セリアは目だけで角に印を置く。

「触らないで落ちる。

今は近づかない」

ケイルは杖の角度を変えず、「俺は撃たない」。

マリアは影へ声を置かない。

俺は視線を短く通り過ぎて、歩いた。


王城へ戻る途中、パン屋の前で家令が待っていた。

「支援魔法使い殿。

王が小広間で短い話を。

石畳、水車、朝の並び。

『布は怒らない。

針は刺すな。

数字はあとからついてくる』」

「行こう」と俺。

マリアは声を温め、セリアは歩幅を整える。

リリィは短く頷き、ケイルは杖を肩から下ろさない。


小広間は薄い光で満ちていて、床の影がきれいに並んでいた。

王は窓際で目を細め、短い言葉を置く。

「石の目は朝に眠る。

眠る前に起こせ。

起こすなら、弱く。

水車の羽根は拍に従う。

拍を合わせよ。

布は怒らない。

針は刺すな。

数字は、あとからついてくる」

ケイルが小さく笑う。

「ついてくる」

リリィは真面目に頷く。

セリアは「理にかなってる」とあっさり結び、マリアは「水の歌、好き」と素直に言った。

王は薄く目を細め、「それでいい」。


話が座る前、侍女が戸口で手を重ねる。

「支援魔法使い殿。

城下の巡回路で、朝だけ風が角を作る場所があると報告。

兵の足が乱れて交代が遅れることがあるそうです」

「風の角は触ると刺さる」とセリア。

リリィは「並び、私が」、ケイルは「見る」、マリアは「歌は薄く」。

俺は頷き、歩く。


巡回路は城壁の内側をぐるりと回る。

角に差しかかるたびに風が強くなるわけではない。

ある場所だけ、足音が不揃いになる。

見張り台の兵が汗を拭い、困った顔をしていた。

「ここだけ足が重い。

走ると引っかかる」

「待って」とリリィが短く手を上げる。

セリアは壁の目を見て、「半歩下げる」と視線で示す。

ケイルは肩で風を受けるみたいに立って、「押さない」。

マリアは声を置かず、俺は角の空気に薄い目印のイメージを置く。

押さない。

引かない。

座る場所だけ変える。

兵が一歩、そしてもう一歩。

足が揃った。

「助かった」と彼は真面目な顔のまま笑う。


巡回路を離れると、王城の工房へ呼ばれた。

新しい布見本の色が強すぎて、目が疲れると報告があった。

工房長は帽子を押さえ、真面目な目で笑う。

「色は良い。

場が怒るだけだ」

「怒らない方へ動かす」と俺。

セリアは棚の並びを目で整え、リリィは入口の合図を握る。

マリアは薄い声を一回だけ置き、ケイルは肩で空気を受ける。

俺は匂いの層を手前へ寄せ、強い色は少し奥へ。

工房長が鼻を鳴らす。

「軽い」

工房を出ると、通りの角にまた影がいた。

距離は近づいたまま。

二歩分。

動かない。

家令が薄い地図を抱え直して、「支援魔法使い殿。

午後、城外の古い石段で、昼から夕方にかけて人が転びやすいと報告。

祭りの荷を戻す人出が増えます」

「石段の仕事、やろう」と俺。

セリアは「目を起こす」、リリィは「並び」、マリアは「声は薄く」、ケイルは「押さない」。

石段は街の端の丘に続いていた。

段の角に砂がかすかに残り、踏み方次第で滑る。

俺は足元に薄い目印を置くイメージだけ。

セリアが「半歩」を視線で示し、リリィが待つ合図を挟む。

マリアは声を置かず、ケイルは肩で受ける。

転ばない。

荷の男が「あぶね」と笑う。

「助かった」

丘を降りる途中、小さな祠の前で子供がかくれんぼをしていた。

隙間に入っている子の肩が強くなり、出られなくなる前に、リリィが短く手を伸ばす。

力を使わないやり方で肩を少しずらす。

子供は笑って出る。

「ありがと」

王城へ戻る道、パン屋の前で足が止まった。

焼きたての香り。

表面の塩は薄く、甘さは奥に座る。

マリアが無条件で笑う。

「幸せ」。

セリアは二つ目を手にして、「休息、完了」。

リリィは「二つまで」と線を引き、ケイルは「俺は三つ」と言ってすぐ二つに変える。

家令は「数字はあとから」と照れくさく笑って、一つにした。


ベンチに座る時間は短くても、十分だ。

比喩はひとつで足りる。

夕方の光が紙の端みたいに薄く折れて、街の影がやさしく伸びる。

俺は数珠の留め具に指を当てて、ひと呼吸。

目を閉じると、さっきの影の肩の線が思い浮かぶ。

近い。

二歩分。

近いのに、何もしない。


「ユウマ」リリィが袖を軽く引いた。

「影、明日も近づく?」

「分からない」と俺。

「近づいてくるなら、並んで止める」

リリィは短く頷く。

セリアは目を閉じて拍を数えるように息を整え、「拍は一定」と言った。

マリアは小さく笑って「歌、薄く」と呟く。

ケイルは杖を肩に乗せたまま、「俺は撃たない」ともう一度だけ言う。

家令は黙って頷いて、それだけで十分だった。


夜の前、王が広場で短い言葉を置いた。

人は多くない。

風は弱い。

王は舞台の端に立ち、静かに言う。

「石の目は朝に眠る。

眠る前に起こせ。

水の拍は足に合う。

合わないなら、合わせよ。

布は怒らない。

針は刺すな。

数字は、あとからついてくる」

誰も騒がない。

誰も怒鳴らない。

短い言葉は広場の真ん中に座って、場の角が自然に取れた。

マリアが肩で笑い、セリアは「理にかなってる」と結ぶ。

リリィは短く頷き、ケイルは「ついてくる」と小さく復唱した。

家令は何も言わず頷き、地図の端を指で撫でた。


王城へ戻る途中、黒い影が城門の外の道の端に立っていた。

二歩分の距離。

動かない。

俺は視線を短く通り過ぎ、歩いた。

落とさない。

急がない。

静かに整える。

それでいい。

明日の足音も、ちゃんとそろう。


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