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パーティを追放された俺、なぜか女だけの最強ハーレムパーティを作っていた  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


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第22話 城下の夜明け前に灯りを分ける

第22話 城下の夜明け前に灯りを分ける

夜の底から朝が顔を出す少し前、王城の石は冷たく落ち着いていて、噴水の水音だけが小さく回っていた。

空は濃い青のまま薄くなりかけていて、風は匂いを運ばない。

これから目覚める街の気配がまだ遠い。

俺は数珠の留め具に指を軽く当て、胸の奥で息をひとつ整えた。

急がない。

落とさない。


「ユウマ」扉の影から家令が現れた。

手に巻いた薄い地図は折り目だらけなのに、角が立っていない。

「城下の灯台の小屋から、灯りが不安定という報告。

夜明け前の道標の火が揺らぎすぎると、市場へ入る荷に乱れが出ます」

「灯台の火か」ケイルが肩に杖を乗せたまま欠伸を飲み込み、少しだけ真面目な顔になる。

「火、弱めて見守る。

撃たないで済むならそれがいい」

セリアは窓際で薄い空を一度だけ見上げ、「夜明け前の風は層が少ない。

灯りの揺れは人の気持ちに直結する。

整える価値はある」と短く言った。

リリィは剣の柄から手を離し、「私が入口の並びを見る」と淡々と続ける。

マリアは寝癖を片手で抑え、「歌うと優しくなるよ」と笑って、もう片方の手で蜂蜜色の短いリボンを結び直した。


城門を出る頃には空が少しだけ薄くなり、街路の石はまだ夜の匂いを持っていた。

灯台は城下の端、川へ続く坂の上にある。

古い木の梯子、石の土台、金具の錆。

灯りの小屋に入ると、灯台守の老人が火の前で腕を組んでいた。

目が眠っていない。

眠っていないのに、少しだけ心配しているのがわかる。


「呼んで悪かったな」と老人は言った。

「火は消えない。

でも弱すぎる時間がある。

風のせいか、油のせいか、俺の手のせいか。

朝の荷が道を迷うのは嫌だ」

「手のせいにしないでいい」と俺は笑った。

「灯りは機嫌次第だ。

機嫌を整えるのは一緒にやればいい」

マリアが火の前で声を整える。

「小さく歌うね」

「短く」と俺。

彼女は頷いて、本当に短い歌を置いた。

声は揺れを少しだけ拾って、火の外側へそっと戻す。

セリアは油壺の位置と芯の高さを目で測り、「芯、半歩下げる」と静かに指示。

ケイルは杖を肩に乗せたまま、火に近づきすぎない距離で目を落とす。

「今は触らない。

触ると怒るときがある」

リリィは入口で並びを整えた。

灯台の小屋は狭い。

人が集まると、すぐにぶつかる。

彼女は手を上げて「待つ」の合図を短く挟み、老人の動きを邪魔しないように立ち位置を少しずつずらす。

俺は火の前に手を伸ばさない。

伸ばさずに呼吸だけを深くした。

匂いの重さが少しだけ落ち着き、油の甘さが手前にきて、芯の息が長くなる。

比喩は一つで足りる。

小さな灯の舟が揺れながらも沈まない。


「楽になった」と老人が肩を下ろす。

「火が離れない。

目と同じ高さに戻ってきた」

ケイルが息を吐く。

「俺、今のところ撃ってない。

撃たないで済むならそのままでいける」

セリアは火の色を一度だけ確認して「良い」と短く言い、リリィは入口に目を戻して「並び、保てる」と淡々と結んだ。

マリアは灯台の窓から外を一瞥し、朝の気配を探すみたいに目を細める。

「歌、もう一回だけ?」

「一回だけ」と俺。

彼女は声をほんの少し重ねて、それで終わりにした。


灯台を出ると、川べりへ向かう荷が動き始めていた。

坂の途中で荷車の前に犬が座り込んで、道が細くなっていた。

飼い主が焦る。

「おい、こっちだ」。

焦って引っ張ると、犬の足が滑りそうになる。


「待って」とリリィが一歩で間に入る。

飼い主の手が止まる。

セリアが地面の目を見て「半歩左」と短く示す。

ケイルは肩で荷車の重さを少しだけ受け、マリアは犬の頭に手を乗せて優しく声をかける。

「朝はゆっくりね」俺は飼い主の足の位置に薄い目印のイメージを置いた。

押さず、持ち上げず、場所を思い出させる。

犬は立ち上がって道の端へ移り、荷車は進んだ。

飼い主が照れたように笑う。

「助かった」

「今日は朝の火が安定してるから、道も迷わない」と老人が灯台の戸口から見送るように言った。

家令が坂の上に立っていた。

薄い地図を抱え、いつもの落ち着いた声。

「王から伝言。

『灯りは道の言葉だ。

短く整えよ』。

それから、次。

城下の井戸で水の味が少し変だと報告。

匂いではなく、舌の上の重さ。

朝の人出が増える前に、見てほしい」

「井戸の味か」とケイル。

「火の仕事の次は水。

俺の出番、少ないかもな」

セリアは足元の土を一度だけ手で触り、「昨夜の雨の薄い流れが地下へ降りた。

井戸の石の間の空気が変わった可能性がある」と短くまとめた。

マリアは「水、歌えるかな」と真剣な顔になる。

リリィは「並び、私が」と当たり前のように言う。

俺は頷いた。

歩こう。


井戸は市場の端にあり、人が集まる時間より少し早い。

桶のふちには朝の手が並び、笑い声はまだ少ない。

井戸番の女が眉を寄せていた。

「変な味じゃないの。

でも、軽くない。

舌が重い。

朝はもっと軽い方が助かる」

「分かる」と俺は言う。

井戸の石の冷たさに手は触れない。

触らずに呼吸だけ。

匂いは薄い。

味の重さが舌の奥に座り、喉へ行く前に足止めしている。

そこを少しだけ動かす。

押さない。

引かない。

バケツの水を一杯だけ汲み、舌に乗せる。

重さは消えない。

でも、座り方が変わる。


「歌、いる?」マリアが覗き込む。


「薄く」と俺。

セリアは井戸の石の隙間に目を置き、「ここ」と短く合図を出した。

リリィは列の先に手を上げて「待つ」を一度だけ挟む。

ケイルは井戸の脇で肩を落とし、「俺、見てる」と冗談のない声で言った。


水の味が変わる。

井戸番の女が驚いて目を丸くし、それから笑う。

「軽い。

朝に合う」

「よかった」とマリア。

セリアは「石の間、起きた」と静かに結んだ。

リリィは「並び、崩れない」と短く確認し、ケイルは肩の力を抜いた。

「撃たないで朝が進む。

いい日だな」

家令が市場の角で手を振った。

「支援魔法使い殿。

劇場の稽古が昼前にある。

布の端で指を切った者がいて、団長が手伝いを求めています。

行けますか」

「行ける」と俺。

マリアは「布、歌う」と嬉しそうに息を吸い、セリアは「足元の間隔を整える」と淡々と繰り返す。

リリィは「並ぶ」と手を握り、ケイルは「見る」と短い。


劇場の舞台は組み立て途中で、板の上に布がいくつも置かれていた。

端が立って、指先を引っかく。

舞手たちは真面目で、焦っている。

「痛い」と声が言う。

俺は袖から出て、布の前に立つ。


「端は拍に合わせて置く」と俺は短く説明した。

「息を吸う、吐く、置く。

置いて待つ。

持ち上げない。

手の力を抜く」

マリアが声を乗せる。

セリアは間隔に印を置く。

リリィは舞台前の人の並びに目を置いて、子供を端から離す。

ケイルは風を読み、舞台の端を半歩だけずらす。

団長の目が柔らかくなる。

「痛みが消えた」と舞手が言う。

団長は頭を下げ、「ありがとう」

外へ出ると、空は昼の色になっていた。

屋台の甘い匂いが弱い風に乗って流れてくる。

マリアがすぐに踵を返し、「休息!」と笑う。

セリアは「二つまで」と淡々と言い、リリィは「一つずつ」と配る。

ケイルは「俺は三つ」と言いかけ、目線だけで二つに変える。

家令は「数字はあとから」と笑って、一つにした。


ベンチに座る時間は短くても、十分だ。

甘さは強くない。

砂糖の粒が舌でほどける感覚だけが残る。

比喩はここでひとつ。

午後の空気は薄い布みたいに広がって、足が軽くなる。


王城へ戻る途中、城下の角で黒い布の人影を見た。

近づかない。

立ち続けるだけ。

祠の前で、土手で、橋で、そして市場の端。

距離は変わらない。

視線だけを置く。

リリィが小さく言う。

「気にしない。

近づいてこなければ、並びの外」

セリアが目だけで角に印を置く。

「角は触らないで落ちる」

ケイルは杖の角度を変えず、「俺は撃たない」ともう一度だけ言う。

俺は目で影を通り過ぎる。

歩く。

落とさない。


城の中庭に着くと、料理長が台所から顔を出した。

「昼は軽めで。

王が、小広間で短い話を置く前に、匂いを乱したくない」

「わかった」と俺。

マリアは「スープ!」と弾み、セリアは「塩、少し」と指先で空をなぞる。

リリィは「並んでやる」と当たり前のように言い、ケイルは「火、弱め」と肩を回す。

俺は匂いを手前へ寄せる。

油は薄く、塩の輪郭は下へ。

乱れない。

料理長が鼻を鳴らす。

「いい匂いだ」

食堂で小さな器を手にした王が、静かに頷いた。

「短い話の前に、短い匂い。

良い」

小広間では窓から昼の風が入って、床の影が薄い線を作っていた。

王は窓際に立ち、短く言葉を置く。

「灯りは道の言葉だ。

井戸は朝の舌だ。

どちらも、短く整えよ。

布は怒らない。

針は刺すな。

数字は、あとからついてくる」

ケイルが「ついてくる」と小さく笑い、リリィは真面目に頷いた。

セリアは「理にかなってる」とあっさり結び、マリアは「灯りの歌、好き」と素直に言う。

王は薄く目を細めた。

「それでいい」

話が座ると、侍女が戸口で手を重ねる。

「支援魔法使い殿。

城外の倉庫で、夕方に紙の並びが一時的に崩れるとの報告。

祭りの記録の束が急に増えます。

人の出入りも多くなるので、入口の並びと棚の呼吸を見ていただけると助かります」

「行こう」と俺。

セリアは「重い言葉は下へ」と短く言い、リリィは「待つ合図」を握る。

マリアは「歌、薄く」、ケイルは「押さないで受ける」。

倉庫の入口は狭く、棚の間は広いのに視線が合わない。

紙束の背が揃っていない。

俺は隙間に薄い目印のイメージを置く。

重い束は下へ、軽い束は上へ。

人の足の順番は入口で整える。

リリィは手を上げて短く「待って」を挟み、セリアは棚の間隔に「半歩」を置く。

マリアは声を、ケイルは肩の角度を。

倉庫番の男が息を吐いた。

「歩きやすい」

夜が近づく。

城の灯りが弱くなる前に、中庭のパン屋へ寄る。

焼きたての匂いは変わらない。

表面の塩が薄く、甘さが奥に落ち着く。

マリアが「幸せ」と噛み、セリアは二つ目に手を伸ばし、リリィは「二つまで」と線を引く。

ケイルは「俺は三つ」と言ってすぐ二つに変え、家令は「数字はあとから」と笑いながら一つで満足した。


ベンチに座ると、空は柔らかい色に変わっていた。

風が軽く通る。

小さな一日が重ならずに並んでいる気がする。

比喩はひとつでいい。

街が薄い紙の束みたいに穏やかにめくれる。

俺は数珠の留め具に指を当て、胸の奥で呼吸をひとつ置いた。


「ユウマ」リリィが袖を軽く引く。

「今日の影、明日も来る?」

「来るかもしれないし、来ないかもしれない」と俺は答えた。

「でも、近づいてこなければ、気にしない。

近づいてきたら、並んで止める」

リリィは短く頷く。

「約束」

セリアは目を閉じて拍を数えるように息を整え、「拍は一定」と言った。

マリアは肩で笑い、「歌、薄くね」と呟く。

ケイルは杖を肩から降ろさない。

「俺は撃たない。

守る」

家令は何も言わず、薄い地図の端を指で撫でてから頷いた。

それだけで十分だ。

王城の鐘がひとつ鳴る。

新しい依頼の合図じゃない。

時間の知らせ。

俺は立ち上がる前に短く目を閉じ、明日も急がないと心で決める。

落とさない。

静かに整える。

それでいい。


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