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47.【混迷(confusion)】

「おにいさん、何をお探しかな?時計屋に来た客は大概時計を探している。メガネを売っている時計屋もいるが、ウチは時計だけだ。」

「どうも、記憶がおかしい。で、時計を見たら動いていない。」


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ここは、『水の国』。

 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。


 俺には聞こえる。殺してくれ、と。

 どこの次元でも聞こえている。


 跳んで来たのは、街の時計屋だった。

 俺は元々、時計は必要ではないが(跳べるのだから)、壊れた古い腕時計を身に着けていた。

「おにいさん、何をお探しかな?時計屋に来た客は大概時計を探している。メガネを売っている時計屋もいるが、ウチは時計だけだ。」

「どうも、記憶がおかしい。で、時計を見たら動いていない。」

「記憶の方は、3軒先に内科クリニックがあるから、そこに行って診て貰いなさい。お金は持ってる?」

 俺は、ポケットから金を出した。並行世界だからか、金はどこも通じる。ぱっと見が似ているだけだが。

「あるみたいですね。」

 主人は、俺の腕から腕時計を外して、調べだした。

「年代物だね。」そして、10分もしない内に、修理をした。

「代金はいいよ。いいモノ見せて貰ったし。」

「じゃ、クリニックに行って相談します。」

「うん。まともに話しているくらいだから、一時的なものだろう。どこかで強く頭を打ったんだろう。」

「ありがとうございました。」

 礼を言って、3軒隣のクリニックに行くと、生憎会場まで30分前だった。

 時計のお陰で正確な時間だ。

 掃除道具を出して、表を掃こうとした看護師が、中に入って、すぐ出てきた。

「こっちから入って。海野さんの紹介の人。」


「頭、痛くないの?」女医さんは優しく尋ねた。

「はい、今のところ。」「念の為、レントゲン、撮りましょう。」

 20分後。再び診察室に戻ったら、女医の越後ミチル先生は、「異常なし。紹介状書いてあげるから、病院行きなさい。MRIなら、何か分かるかも。息子は名医よ。」と言った。


 2キロほど離れた病院にタクシーで行くと、医師自らが案内したが、診察室ではなかった。

 ただの白い建物だった。

「待っていたわ、殺し屋さん。」

 医師が案内した先の建物は、『占い師の館』だった。

「海野さんも越後親子も、私の『予言』を信じる希有な存在なの。」

「あなたは、予知していたんですか?俺が来ることを。」

「そりゃそうよ。使われなくなった、古いお札を持った人物が来ることをね。」

 そうか。この次元では、普通の流通紙幣じゃないのか。じゃ、あのタクシーも・・。

 俺は、隠さずに話した。今までのことを。

里見亘さとみわたる。本名が分からないなら、この次元では、そういう名前にしよう。いつか、全部の次元が平和になった時、あるいは私の知恵を借りたい時は再会しよう。」

「でも、先生。自分で跳べないんですよ。」「もう跳べるよ。君、腕時計、ただ掃除したと思っている?」

「ええ?」

「その腕時計に念じれば、ここに戻れる可能性はある。タダの勘だが。」

「はあ。」「そこで、この次元での、君の使命だが、お調子者の三ツ矢佐布里そうり大臣を懲らしめることにある。彼は、キックバック欲しさに、悪魔にも魂を売った。隣国の悪魔じゃない。国際氏名手配の悪魔だ。隣国問題は、他の次元と同じだが、この悪魔は世界に『独自のビールス』をばら撒く用意をしている。手始めに『子供実験』だ。免疫力が未熟な子供にビールスを打つと、いや、違うか。存在しないビールスの枠朕を打つと、100%発症、世界中に花粉のように飛び散って、感染者が急増する。詰まり、この枠朕Aこそがビールスだ。その対応と称して枠朕Bを提供する。枠朕Bもビールスだ。枠朕Aで出来てきた免疫力のお陰で、症状は緩和する。結果、免疫力は低下する。オーエスで莫大な富を築いた金持ちは、今度はビールスで金儲けしようと考えた。隣国の伽羅国よりも狡猾だ。三ツ矢を政界から葬るのも大事だが、お人好し三ツ矢が提供する組織・建物は『秘密結社』『悪の巣窟』だ。里見の出番だ。ドラマならヒーローがやるべき仕事だが、人手がないから、殺し屋が請け負う。」

「先生の言うことの1つ1つがドラマじみてますけど・・・。分かりました。」


 30分後。自称占い師の教授の言う通り俺は動いた。


 ある山の中腹。BG枠朕センター。

 見学に訪れた三ツ矢は、建築現場が、タダの穴になっているのを見た。

「どこに消した?」「建築したって言ったじゃ無いか。」

 通訳を交えた『コント』は、国中に、世界に中継された。


 アナウンサーは、地質学者を連れて来て、『地盤沈下』だと発表した。

 大金持ちBGは、国に帰った。

 そして、自国メディアに「三ツ矢に担がれた。詐欺だ。」と訴訟準備に入ったことを報じた。

 一方、『水の国』メディアに突っ込まれた三ツ矢は辞意を表明。代表選挙に立候補しない、離党し、議員辞職すると発表した。


 三ツ矢の自宅。

「夕刊でーす。」

 夕刊が投げ込まれた。

 三ツ矢を捕縛していた、結束バンドが外れ、三ツ矢は夕刊を読んだ。

 そして、今度は天井を眺めて横たわった。


 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 いつか、再び、この地に来るのかな?半信半疑だが、次なる世界が俺を待っている。


 ―完―





女医の越後ミチル先生は、「異常なし。紹介状書いてあげるから、病院行きなさい。MRIなら、何か分かるかも。息子は名医よ。」と言った。

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