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35.【邪魔者(Disturber)】

看護師の、心の声が唱和している。「低血圧で倒れる筈がない体格で、全党会議の最中に倒れたのは、見え見えの『猿芝居』。甲良が入れ知恵つけたんだわ。」



 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ここは、『輸の国』。

 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。


 俺には聞こえる。殺してくれ、と。

 どこの次元でも聞こえている。


 跳んで来たのは、病院の外来受付だった。

 また、病院か。でも、前の次元で運び込んだ病院より数倍大きい。

 俺は、入院受付に回り、事務員の心を読んだ。

 西病棟三階か。ここの、『輸の国』のトップは、三輪という層理大臣らしい。


 エレバーターを上がると、看護師達が慌ただしく病室に食事を運んで行く。

 病室の場所は確かめるまでも無かった。他の次元に習うなら、『内弁慶の外地蔵』的振る舞いをしている筈だ。案の定、怒鳴り声が聞こえた。


 看護師の、心の声が唱和している。「低血圧で倒れる筈がない体格で、全党会議の最中に倒れたのは、見え見えの『猿芝居』。甲良が入れ知恵つけたんだわ。」


 一際大きな心の声は、若き看護師長だった。

「特別食は時間がかかるので、少しお待ちください。」

「お腹すいたあ。死んじゃうぅ!!」


 まるで子供だ。

 看護師長と看護師が部屋から下がると、俺に気づいた。

「あ。甲良の櫻井ですが、タイミング悪かったかな。食事の時間ですよね。」

「ええ。残念ながら。30分後に食膳を下げに・・・あ、食事が終わりになりますから、そちらのソファーで待機されたらどうでしょうか?」

「恐縮です。路が混んでたもんですから。じゃ、お言葉に甘えて・・・。」

 俺は、スタッフステーションの向こう側の待合コーナーに行った。

 TVも新聞もある。看護師長は、去って行った。


 新聞で、この国の情勢を確認した。

 どうやら、やはり似た様なことが起こっているらしい。

 与党の代表でもある層理大臣は、代表の座を降りることで暴挙・暴走を止められるのだが、性善説なのか、誰かが更迭、詰まり、解雇を言い渡すという手順は決まっていない。

 全党会議で『代表選挙』を早める『道議』が出されるや否や、持病もないのに倒れて見せた。そして、『先の戦争責任は、国家国民全体の問題であり、隣国鱗の国に国政を譲ることで謝罪する』、という、あり得ない考えを『敗戦の記念日』式典で世界に発信する予定であることは、既にリークされていた。そして、『代表選挙』の候補者の命が危ないのでは、という噂もあった。


 瞬く内に30分が過ぎ、食膳を下げに行くワゴンに光るモノを見た俺は、その光るモノを消した。

 他の看護師と共に、食膳を下げに行った看護師長は、俺を呼びに来た。

 俺は、そっと呟いた。「あんたが手を出すことはない、いずれ天罰が下る。ナイフは元の場所に戻したよ、蔵前悦子さん。」


 俺は、エレベーターを降りた。蔵前看護師長は、十字を切り、両手を合せ、俺に頭を下げた。


 マスコミらしき人々が、エレベーターに向かうのを見て、「食事時間が延びているらしいよ。まだ入れないんじゃないかな。待機して損した。」と彼らに言った。


 夕方。TVのニュースで、層理大臣が『急性腹膜炎』で無くなった、と報じられた。


 家電量販店の大型テレビで、ソレを確認した俺は、エレベーターに乗った。


 これで、『代表選挙』も楽になるだろう。消される心配もない。消されるのは1人でいい。


 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。今回は、「人間」だった生き物だったが。


 さて、次は、どんな世界かな?


 ―完―



一際大きな心の声は、若き看護師長だった。

「特別食は時間がかかるので、少しお待ちください。」

「お腹すいたあ。死んじゃうぅ!!」


まるで子供だ。


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