30.【極楽浄土(Buddhist paradise)】
相手はショベルカーで、墓石を次々と掘り崩して行く。
「ここは、日本の、日本人の墓地だよ!」
ショベルカーが鳴り止んだ。
正午。昼休みか。
「あんたの墓も『殺された』の?」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『真の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、ある墓地。
お婆さんが、墓参りの途中、何かを叫んでいる。
ショベルカーで、墓石を次々と掘り崩して行く。
「ここは、日本の、日本人の墓地だよ!」
ショベルカーが鳴り止んだ。
正午。昼休みか。
「あんたの墓も『殺された』の?」
「いや・・・。」
南極ぼけの話をしたら、簡単に信じてくれたので、俺は墓参りを手伝い、一緒にお参りをした。
お婆さんは、ミニバイクに跨がり、後ろに乗れ、と言う。
「ノーヘルでもいいのかな?」
次元によって、法律は違うものだ。
「運転は自信あるよ。」と言って、お婆さんは俺にヘルメットを渡した。
お婆さんは、手ぬぐいを3つ被っていた。成程。サイズ調整をしていたのか。
「南極のお仕事、ご苦労様でした。今日は、連れ合いの月命日でね。あの『大型スコップ』は、墓の新しい地主の機械だ。中々国に地主が売ったのさ。」
この次元での墓の所有権はどうなっているか分からないが、元々の次元では、切り取った面積分、先祖の墓として買うが、家系が途絶えると、地主に所有権が戻る。
詰まり、お参りする子孫が居る限り、その家系の家族親族の物で自己管理する。
あの異様な光景は、地主が強制退去させ、替わりに中々国の墓が出来ると言う。
この次元の隣国が、俺の元々の次元・・・どこだっけ?まあ、いいや。それに似ているなら、中々国の習慣も土葬だ。いや、火葬もあるのかな?
どちらにしても、追い出して居座るのは、国単位だけではないらしい。
「お墓の管轄のお役所は?」
「国土保有省。行っても無駄だよ。もう国が滅びようとしているんだから。」
やはり。、次元が違っても似たことが多い。
お茶の礼を言い、俺は、国土保有省に向かった。
国土保有省。国保大臣室。
「お墓のことですが・・・。」「何、陳情?手続きちゃんとした?書類は?」
「あ。コレです。判子願います。」
そう言って、俺は国保大臣の判子と拇印を書類に押した。
書類には、こう書いてあった。
『国家総合大臣の命令により、国民の先祖代々の墓を中々国に安価で売り、追い出したことは、民族を無視した暴挙であり、引責辞任をし、国家総合大臣ともども命をもって償います。』
夕方。墓に行くと、ショベルカーは引き揚げて行った。
お婆さん、大したこと出来なくてゴメンよ。取り敢えず、2人だけ、お先に冥土に行って貰った。
ご先祖は大切にしなくちゃな。
さ、次は、どの次元かな?
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
今回は、人間だけど。
―完―
「お墓のことですが・・・。」「何、陳情?手続きちゃんとした?書類は?」
「あ。コレです。判子願います。」
そう言って、俺は国保大臣の判子と拇印を書類に押した。
書類には、こう書いてあった。




