114.【印象操作(impression manipulation)】
「理由を聞こうか。」と、見た目が若い局次長は言った。
「見た目は若い?失礼な。まだ53歳だ。」「え?」
「理由は?」と、今度は力石が尋ねた。
「先周りして、俺を待っていたんです。」俺は事情をかいつまんで話した。
「どこ行っても、万華鏡って呼ぶし。敵もチームですよね。」
「上に報告しておく。力石、後を頼む。」そう言って、局次長は消えた。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『印の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・会議室?
「加賀見・・・いや、五十嵐。前の次元ではどうだった?」
「局次長。どこかの次元の影響、ではなく、悪意を持って、片っ端から歴史を改ざんしているんじゃないでしょうか?我々と追いかけっこしている気がしてきました。」
おれの意見にナオが、「鈍感な五十嵐でもそう思うのか。」と言った。
鈍感?ショッキングな言い方だな。
「理由を聞こうか。」と、見た目が若い局次長は言った。
「見た目は若い?失礼な。まだ53歳だ。」「え?」
「理由は?」と、今度は力石が尋ねた。
「先周りして、俺を待っていたんです。」俺は事情をかいつまんで話した。
「どこ行っても、万華鏡って呼ぶし。敵もチームですよね。」
「上に報告しておく。力石、後を頼む。」そう言って、局次長は消えた。
「この次元での、『暗躍者』は、実はマスコミの中にいる。」力石も消えた。
ナオがいきなり、キスしてきた。
面食らっていると、「平和になったら、アンタの子供を産ませてくれ。ガンバっ!!」と言って、両手の拳を握って、力を入れた。
ナオも消えた。
俺は、力石の言葉を信じていない訳でもないが、この国の『カネ』の集まる所に跳んだ。
看板には、『国民財産管理省』と書いてある。
ここが、所謂「年貢治め機関」か。
そして、その部署に跳んだ。
先周りはされていないだろうな、と思いつつ、事務員達の頭の中を覗いた。
どいつもこいつも上司に隠れて、新宗理の悪口をSNSに投稿している。
送信ボタンを押す直前、内容を無関係なものに上書きした。
1時間もすると、マスコミ各社から問い合わせが来た。
俺は、そのURLから、『ヘイト依頼先』を3件見付けた。
新聞社Aに跳んだ。
大きな声は目立つ。
掃除夫の格好をした俺は、そいつの後ろに立って、PCの中身を読んだ。
「ふうん。」
そいつが振り向いた時、俺はいなかった。そのタイミングで、ヤツの原稿は、ある場所に共有された。
テレビBに跳んだ。
やはり、大きな声で電話しているヤツが目立つ。
ここには、『お掃除ロボット』がある。隣国製品のようだ。
俺は、ロボットの機能を停止させた。
メンテ会社の社員っぽい格好に着替えた俺は、そのロボットを取り上げ、「どうも回路の不具合があるようです。無償で取り替えますので、連絡先を教えて頂けますか?」と言った。
ヤツは、「無償」に敏感に反応し、「課長代理の椎橋です。代替品を持って来られる前に連絡を下さい。」と、名刺をくれた。
「承知しました。迅速に対応します。ところで、課長代理さん、そのPCのOS、サポt-ト終るって知ってます?今月末に。至急バージョンアップするか、PC替えた方がいいですよ。」と言って、俺は偽の名刺を渡しながら、ある場所に共有させた。
雑誌社Cに跳んだ。
スクープで有名な会社だ。
デスクの所に行き、偽の書留郵便を渡した。
受付で渋られたが、「書留で、親展って書いてあるでしょ?」と強引に進んだ。
書留を渡す際、散乱しているFAXの中に、デスクのURLを見付け、記憶した。
ネットカフェに跳んだ。
お札は使える。
まず、俺は雑誌社Cにハッキングして、情報収集して、ある場所に共有させた。
新宗理の官邸に跳んだ。
新宗理である、高知稲子は驚いていたが、俺が事情を打ち明けてみると、すんなり受け入れた。
「アナログ人間じゃない宗理なら、分かって頂けると思いました。無駄な殺生はしたくはありません。」
そこに現れた敵が銃を撃つ前に、俺は「彼方」に跳ばした。
「これから益々、『下げ』の攻撃をしてくるでしょう。ホワイトハッカー集団がある、と記者会見で言ってみて下さい。ヘイトのネタ元は、ここにあります。」
俺は、再びネットカフェに跳んだ。
1時間後。緊急記者会見で、新宗理は、俺が言ったことを実行してくれた。これで思う存分、政策を押し進めてくれるだろう。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
ささ、次の世界だ。
―完―
「この次元での、『暗躍者』は、実はマスコミの中にいる。」力石も消えた。
ナオがいきなり、キスしてきた。
面食らっていると、「平和になったら、アンタの子供を産ませてくれ。ガンバっ!!」と言って、両手の拳を握って、力を入れた。
ナオも消えた。
俺は、力石の言葉を信じていない訳でもないが、この国の『カネ』の集まる所に跳んだ。




