110.【ヤジ(Heckler】
分かり易いなあ。野党はヤジを跳ばし、与党反対派は「熟睡」だ。
もし、新宗理が、ヤジ跳ばしている野党の面々のような短気なら、また、居眠りしている前宗理のような人なら、堪らず「黙れ」と言うだろう。
まあ、国会義なんて、どこも似た様なものだ。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『歪の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・国会義堂。
議会の最中だった。
俺は、すぐに周りからは見えないように姿を消した。小さな「結界」だ。
ここでも、乱世を強いてきた宗理に変わって、新宗理就任か。
「所信表明演説」というヤツか。
なかなか、しっかりした演説だった。
分かり易いなあ。野党はヤジを跳ばし、与党反対派は「熟睡」だ。
もし、新宗理が、ヤジ跳ばしている野党の面々のような短気なら、また、居眠りしている前宗理のような人なら、堪らず「黙れ」と言うだろう。
まあ、国会義なんて、どこも似た様なものだ。
ん?ヤジを跳ばしていた議員の一人が、お茶を持って新宗理に向かった。
俺は、新宗理の一歩手前で、そいつの足を滑らせた。
すぐに職員が取り押さえ、タオルを持って来て・・・新宗理は、自分のハンカチを職員に渡した。
俺はすかさず拍手をした。何度か場所を移動し、拍手をした。
いつの間にか「スタンディングオベーション」になっていた。
記者会見で、堂々と新宗理は発言した。
「ヤジは慣れております。あの方は、怪我は無かったようです。きっと、しゃべり疲れて喉が乾いただろうと気を遣って下さったのだろうと思います。」
会見場の隅で見ていた俺に声をかける者がいた。
女性記者かと思った女は囁いた。
「今夜、付き合えよ、ダーリン。」
「相変わらず、積極的なアプローチだな。」
「お茶を議員が運んだ時のSPを見たか?」
「ああ。3人の内2人が不審な動きを見せた。残りの1人がまともなSPとも限らないが、今控えているSPの中に、その2人はいないな。」
「敵は。もうあまり絡め手を使わなくなった。他の次元で失敗しているからな。暗殺を。」
会見後、公邸に向かう宗理のクルマの後を、俺達のクルマも追った。
高速に入ると・・・入らない。
クルマは、一路、隣の県に向かった。
クルマを降りた男達の一人が、俺達に向かって機関銃を撃った。
だが、一足早く、俺達は奴らのクルマに跳んで、再び、宗理公邸に跳んだ。
宗理公邸。
「次元管理局?聞いたことないわ。」
宗理は、俺達の話に驚いた。
「どの次元でも同じようなことが起きていた。前の国トップが行った無茶苦茶な政治を立て直す新宗理を守りに奔走、している、ということかね。」
一緒に話を聞いていた副総理は言った。
「新宗理は、女性とは限りません。男性の場合もありました。我々の使命は、何者かが仕組んだ『歪み』『ゆがみ』を矯正することです。例えば、宗理が演説でおっっしゃったように、移民を「無制限」に行えば、外国で移民政策失敗した国と同じ・・・いや、それ以上に危険な世界が生まれます。前宗理他は、その何者かの傀儡です。」
「傀儡で悪かったな。操り人形でもいいんだが。」
そう言って、誘拐しようとしていたSP二人が現れた。
俺と止揚は、手を握った。
そして、奴らを弾き跳ばした。
彼らは、お互いを拳銃で撃った。
「副宗理。後はお任せします。彼らは拳銃の手入れを怠って、暴発してしまった、ようです。警備を呼んで下さい。」
俺達は、跳んだ。
止揚はラブホテルを予約していたらしい。
「五十嵐。たまには女房孝行しろ。」
「はい、奥さん。」
翌朝。目覚めたら、止揚はいなかった。
「子供の名前、考えておけ。」
置き手紙を見て、しばし呆然としたが、どうやら、また跳ぶ時間が来たようだ。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
しかし、正室と3人の側室か。俺って、そんなに持てるキャラだっけ?
さ。跳ぶぞ。
―完―
ん?ヤジを跳ばしていた議員の一人が、お茶を持って新宗理に向かった。
俺は、新宗理の一歩手前で、そいつの足を滑らせた。
すぐに職員が取り押さえ、タオルを持って来て・・・新宗理は、自分のハンカチを職員に渡した。
俺はすかさず拍手をした。何度か場所を移動し、拍手をした。
いつの間にか「スタンディングオベーション」になっていた。




