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いざなぎ高校園芸部番外編  作者: 桂虫夜穴


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1 けつのけ姫対桃尻姫

「けつのけ姫」と言う言葉だけ今思いついています。

「もののけ姫」との関係性とか全くわかっていません。

タイトル自体があまりにもバカバカしいので、はちゃめちゃな話には、なるのかなぁと、想像はしています。


「ナクサ!おい!「けつのけ姫」って

知ってるか?」


 ヨッシーのいきなりおバカ発言が冒頭から炸裂だが…

 今日は日曜日だ。しかし、部長から緊急呼び出しがあり、登校と相成った。そもそも、園芸部は他の活躍している部とは一線を画す弱小部なのだ。大した大会に出た事もなく、日曜日に登校し部活をする事などは、まれな事なのだ。

 

「だるいな〜。何の用事だ。

聞いても部長のヤツ…

「ヒ.ミ.ツ…後からのお楽しみですよ。」

なんて、ぬかしやがって…」


「ああ、なんか、もったいぶってたな。」


などと、言いながら、またまた、部室で不毛トークが始まろうとしていた。

 短亀ちゃんとチョン君はすっかりイチャイチャ度がまし、二人切りでチョメチョメトークをヒソヒソとしている。


「何だ!ヨッシー!唐突だな!

ジブリのアレのパクリか?」


「いや…。パクリとは、ちょっと違うな!

アニメ関連じゃないからな!

ネットで話題になってるらしいんだよ。」


「ネットって、テレビは?」


「それがテレビはスルーしてるらしいんだ。」


「何だ!やばいヤツか?

今やテレビはSNSに、おんぶに抱っこだろ。

それがスルーするっちゃあ。アレだろ。エロか⁉︎」


「ナクサ!早いな。正ぇ解!」


「正解って、ケツだろ!そっち系しか、ないだろ。」


「まぁな。でもなぁ。

多分、アンタが思ってるエロとは

ちょっと違うと思うんだよ。」


「何だよ。エロに、そんな違いがあるんかよ?」


「違いって言うか。

元々そんな意図も無く

自然に生まれたモノらしいんだ。」


「何か遠回しだな。ヨッシー!

とっとと確信に迫れよ!」


「ああ、引っ張る程のネタでも無いしな。

それがな…面白食い物ネタなんだ。」


「それがバズったのか?」


ヨッシーはスマホの画面を開いた。


「ああ、これだ!」


「どれどれ…んー………

ゲッ⁉︎これは、まずいだろ!ヤバ過ぎる!

これは、短命だな。」


七草がまくし立てた。


「ああ、削除必至だな。」


しかし、ヨッシーは意外と冷静だ。


「しかし、名前のままだな。

ただ、「姫」ってなんだ。

そこだけ取って付けたみたいだな。」


七草の疑問にヨッシーが真剣な面持ちになった。


「そこが、肝なんだよ。

結構、「姫」って付いた植物が、あるらしいんだ。

花が小さかったり可憐な可愛い感じだと

「姫」ってつけるらしいんだ。」


七草も真剣な面持ちになった。

「けつのけ姫」と言う

あまりにバカげたワードから始まったこの話題に

二人の少女がマジで熱弁を繰り広げていた。


「…って、ことは、その花の実って事か?

しかし、これは、小っちゃくも無いし

可憐とは、程遠いぞ!」


「そうだな。これ持ってるオジサンと比べたら…

これ…実物大だもんな。」


「これ、でも、ズバリ!桃だよな。」


「まぁ、桃だな。それこそ桃尻だな。」


「桃ケツだな。しかしデカいな。

ヨッシー。アンタのケツくらいありそうだな。」


七草がニヤニヤしだした。

そろそろ会話の脱線が始まりそうだ。


「いや、もっとだよ。

私のコケティシュなヒップとは大違いだろ。」


「何だ!転けてティッシュがケツに挟まったのか?」


「どんな確率で、そんな器用な事が出来るんだぁ⁉︎」


「君なら出来る‼︎」


「出来るか!…うんなもん!

それより、問題はこの毛見たいなヤツだよ。

これが全てをぶち壊している。」


「そうか。私は、面白くしてると思うけどな。」


「アンタの心根に引っかかったって訳か!

私にはエロの権化にしか見えんがね。」


七草の瞳が輝きだした。


「オモシロの権化だろよ。だからバズったんだろ。

アンタのエロ嫌いは

拒否反応を起こしたかもしれんが…

見ろよ!このオジサンのドヤ顔。

正にドーヤ!すげえだろ!って顔してる。

この人が作ったのかね?」


「…らしいな。品種改良を重ねた結果らしいぞ。」


「エロじじいだな!」


七草が、いきなり言い放った。


「何だ急に!そんな言い方。

このおじさん、頑張ったんだぞ。

可哀想じゃないか!

苦労して品種改良して、ここまで育てたのに…」


ヨッシーは、なぜか、おじさんをかばった。


「ヨッシー!そこは認めてるのか?

いや、だから、ここが、到達点なんだろ。

ずっと、ここを目指してきたんだろ。

その達成感が、この顔なんだろ。

よく見ろよ。いやらしい顔、しとるぜ!」


七草は畳み掛けようとしたが

ヨッシーは食い下がった。


「それはアンタの個人的見解だろ。」


しかし、七草は、なおも譲らなかった。


「この表情は自慢顔だろ。自慢してるだけだろ!

自己顕示欲の塊だ!」」


「そんくらい、いいじゃん。

折角、頑張ったんだから。

出来たモノ自体はイヤらしくて看過出来んけど。

ここまで頑張った苦労とかは、認めてあげたいよ。」


ヨッシーも、おじさんを庇う事をやめなかった。

すっかりおじさんに感情移入して、しまっていた。


「ヨッシーィ…だからな

これが、突然変異か何かで一発で出来たヤツなら

「ハハハッ、オジサン。面白いね。」

で終わる話だけど。

ひたすら、これを目指してきたんだろ。

この形や大きさになるまで

この方向性の実を何世代も掛け合わせて来たんだろ。

…殆ど変態だ!」


七草は納得しないヨッシーに焦れて、少し感情的になったが、ヨッシーも引かなかった。


「いや、変態は、ないだろ。それは言い過ぎだ!」


「じゃあ、イイ意味で、変態だ。」


「何も、変わっとりゃあせんよ!」


「だって、ケツに似てるヤツを

畑を回りなから探し回ってるんだろ。

ニヤニヤしながら。」


「だ、か、ら、それは、ナクサ!アンタの想像だろ。

やってる時は真剣顔かも知れんだろ。」


「その方が、怖えーよ!

むしろニヤニヤしててくれた方がしっくりくるよ。

「オッチャン!ホンマにスケベやなぁ。ハハハ」で

済むやろ。

それを真剣な顔してやられたら…

ウーッ、寒ぶっ!」


七草は腕組みをして、本当に寒そうな素ぶりをした。


「まあ、まあ、そうかも知れんけど。

でも本当に大変は大変やったと思うぜ。

見ろよこれ!

元々は、これだったらしいからな。」


また、ヨッシーがスマホを開き、七草に見せた。


「何だ。普通に桃じゃん。

名前は、まんま、「桃姫」か…

これならわかるよ。可愛いし…

可憐な感じも合わせ持ってる。

姫中の姫!

姫史上最高の姫じゃないか!

私みたいだ。」


七草はスマホを手に満面の笑みで、そう言った。


「そこで、ぶっこむかね。

アンタの厚かましさを…

自己申告も大概にしときなよ!」


「ええじゃろ。ええじゃろ。そらくらい!」


「そこは、それこそ看過できんよ!」


「そこを何とか、お願げーしますだ。お代官様!」


「もーいいから、そのくだりは…」


「そだな。キヒヒッ!」


「気持ち悪りぃ笑い方すんなって!ハハハッ!」


箸休めが終わり、七草がまた、本題に戻った。


「わかったよ!

…で、ここからジワジワ品種改良して行く訳だな。

しかし、どの地点でデカケツ改に

舵を切ったんだろね?

ハナからそれを目指したんかねぇ。

急に想像してしまったのかねぇ。

「これ、実寸大の桃尻にしたら面白くね!」

…みたいな。

でも、この時点じゃ、桃尻姫だったはずだよ。

ネーミングは…」


「そうだな。何故、「桃尻姫」から

「けつのけ姫」に変わってしまったかだな。

問題は…」


ヨッシーの疑問に七草が即決回答した。


「問題も何もないだろ。

ケツの割れ目から毛みたいなのが出てるからだろ!」


「そだな!はははっ!」


ヨッシーが顔をクシャクシャにして、笑った。

これには、即納得したようだ。


「ところで何なんだこの毛は?」


今度は七草の疑問に

ヨッシーがスマホをググって答えた。


「厳密には毛じゃ無いだろうけど…

えーと、なんだ。

ああ…フサらしいぞ。

ホラッ、みかんとか苺とか

枝と、繋がってるところだよ。」


七草は驚いたし、すぐには納得できなかった。


「本当か?オジサンが

何か、突っ込んだんじゃないのか?」


「そんな訳ねーだろ!

わざわざ気持ち悪くせんでもいいだろ。

この立派な桃尻のフォルムだけで充分素晴らしいのに敢えてこれが付いてるのは

オジサンにとっては、これがキモなんだろ

一番大事なんだろ。これが付いて完結なんだろ。」


「そうだな。

キモイのが肝で桃ケツで完結したんだな。」


「ウマイッ!」


「うまいじゃねーよ!」


「いや、美味いのかね。これ?

こんなにデカいと大味っていうか。

甘さとか、どうなんかね。水っぽかったりして…」


ヨッシーの疑問は尽きなかった。


「そうとは限らんだろ。

スイカだってあんなに美味いんだぞ。

去年の、あの七海んちの果樹園の極上スイカ。

最高だったじゃん!」


二人は、あの夏のスイカの事を思い出して

瞳が潤んだ。


「あれは、また、別格だけどな。

でも、だとすると水々しくて甘い〜〜いヤツも

夢じゃないな。食ってみてーな。」


その願望には現実問題が重くのし掛かった。

ヨッシーの気が少し沈んだ。


「そだな!でも、これ絶対高いぞ!

私ら庶民には手が届かんよ。」


七草も一気に意気消沈して、しまった。


「パーティ用とか贈答品だろうな。

一般じゃ流通しとらんだろうし…

見たことねーよ。こんなの…」


「そらそうだろな。

このオジサンしかまだ作ってないんだから…

数が、まず少ないだろうからな。

注文販売かネット販売ってとこだろうな。」

あーあ、高嶺の桃尻姫か!」


ヨッシーのしみじみした言葉に七草がツッコンだ。


「イヤッ!高値のケツ毛姫だ。」


「けつのけ姫だろ。!

けつの毛とケツ毛じゃ響きの違いだけで

キモさが変わるもんだな。」


「そんなん、どっちでもえーわ!

あーあ、喰いてーなぁ。そうだ!

七海んちの果樹園で作らせるんだよ!

そうすりゃ、食べ放題だ!」


再び七草の瞳が煌めきを取り戻したが

ヨッシーツッコミが即反応した。


「そんなの、いつになるか、わからんだろ!

簡単にできる訳じゃ無し…

苗でも、分けてもらわん限りは夢のまた夢だよ。

それに出来たらとしても最高責任者はおじさんだ。

七海じゃない。食い放題はないぞ!」


「まあ、一個くらいは恵んでくれるだろ。」


「出来てからの話だ!」


「そら、そうだ!」


不毛会話は終了した。





" ガラッ!"


突然、鉄製扉が開いた。

部長の冬本千晴と副部長の夏樹七海だ。


「こんにちは!皆さん、お揃いですね。」


「ああ、ところで今日は、なんの集合だ。

このクソ暑いときに…


七草が椅子に、ふんぞり返って不満顔で言った。」


「ああ、これだ!」


 七海が抱えていた大風呂敷に包まれたモノを差し出した後、テーブルの中心に置いた。ズッシリとした感触が見てるだけでわかった。

 一同の視線が、そこに集中した。みんな、顔色が変わった。絵も知れぬ期待感に包まれたのだ。


「七草。不満なら帰ってもいいぞ!」


七海の発言に七草は気持ち悪いくらい下手に出た。


「何をおっしゃいます。七海様!

帰る訳ないでしょ。何なら泊まりますよ。」


七草のあまりの豹変ぶりに、七海は苦笑いで応えた。


「そこまで、せんでえーわ!

急に態度変えやがって!」


「いやいや、その大風呂敷の中身…

あれだろ。なあ…

あれだろ!去年、ご馳走様になった。

超高級スイカだろ!」


七草はテーブルにひれ伏し

大風呂敷を直近で下から眺めた。


「俺は、ご馳走してないぞ!

あれはオマエの母上様がウチから買って

ご馳走してくれたんだったろう。」


「そうだった。

でも、制作総指揮を担っているのは

夏樹果樹園だろ?」


「大袈裟な言い方、せんでいいよ!」


「いいや!アレは、それ程の逸材だよ。

神より、おぼし召し果物界一の史上最高品種だ!

人類が携わった唯一、自然界に対等出来る銘品だ。」


七草は立ち上がり、両手を広げ熱弁した。


「ハハハッ!散々、褒めて貰った後で

申し訳無いけどな。これはアレじゃないよ!」


七海の言葉に七草の顔色が、また変わった。


「なーーにぃ!何でそれを早く言わん!

褒めて損した!」


七草はプチキレしてドカッと椅子に座り込んだ。


「ゲンキンな奴だな!

オマエが機関銃トークで話し掛けるからだろ。」


「じゃあアレか、かぼちゃか?」


七草は懲りずに質問したが、七海は呆れ顔だ。


「かぼちゃ持って来てどうするんだよ!」


「ハロウィン用に

今から準備しとくとかじゃないのか?

種出しとか乾燥させたりとか

結構、下準備が、いるんじゃなかったっけ。

違うのか?」


七草と、同じくヨッシーも疑問顔だ。


「その大きさでスイカでも無く。

カボチャでも無いって、他に何かあるか?」


「そうだな。想像できんだろうよ。

百聞は一見にしかずってヤツだな。」


…そう言いながら、七海が大風呂敷の結び目に手を掛けた。


「そんなに珍しいヤツなのか⁉︎」


七草が、大風呂敷を凝視しながらゴクリと固唾を飲み込んだ。ヨッシーも緊張しながら言った。


「だからこうして

風呂敷をほどかずに焦らしていた訳だ。」


「まーな。それ程のモノだぞ!これは!」


七海の自慢口調の後に七草が叫んだ。


「ちょっ、ちょっと待て!ヨッシー!」


七草とヨッシーは顔を見合わせた。


「いやいや…ナクサ!

それは、いくら何でもありえんだろうよ。」


ヨッシーは激しく手の平を振って、否定の仕草をした。


「なんだ!心当たりがあるのか?」


七海の言葉に七草が応えた。


「いやいや、あるっちゃあるけどなぁ…

ヨッシーィ!」


七草はヨッシーに目配せしたが、ヨッシーは相変わらず、手の平を振っている。


「ああ、そうだ。ナイナイ!それは、無い!」


「オマエら、何、おじ気付いてんだ。開くぞ!」


七海が風呂敷の結び目に手をつけた時だ。


「ちょっ、ちょっと待ったぁ!」


七草が叫び声をあげた。


「なっ、何だよ。びっくりしたぁ。」


七海は本当にビックリしたようだ。


「悪りぃ!ちょっと心の準備が…」


と言った直後だった。


「あっ!短亀ちゃん!」


フワ〜〜〜ッ!深紫色の大風呂敷の角がゆっくりと四方に広がった。


短亀ちゃんが風呂敷の結びを解いたのだ。

当の本人は澄まし顔で微笑んでいる。


素晴らしいものが姿を表した。

それは高級風呂敷の上に鎮座している。


「わーーっ!」


みんな感嘆の声を上げた。


巨大なお尻…いや桃尻が圧倒的な存在感で

その自らの尊厳を主張している。


みんな自然に手を合わせた。

感動屋の部長は、もうその瞳に涙を浮かべていた。

彼女は独特な感性を持ち合わせた稀有な人なのだ。


「ヤベーよ!七海!何だって

こんなモンスターをアンタが持ってきてんだよ!」


ヨッシーも七草も興奮していた。


「そうだよ!これは、神が御造りあそばした…

それに匹敵する程のモノだぞ!」


「だから、オマエら、大袈裟だって

これは、ここにこうして実在する

人が作りしものだ。

いや、こっちまで変な言い方になっただろ!

作ったものだ。」


「…って、事は買ってきたんじゃないのか?

まさか、七海、オマエが作ったのか?

育てたのか?育成したのか?」


「同じ様な事、繰り返してるぞ!

それと、俺が作る訳ないだろ!

親父だよ。ウチのオヤジが作ったんだ。」


「なーーーーーにーーーぃーー⁉︎⁉︎⁉︎」


「もう、いいか?少し、落ち着け。

一体どうしたんだ?」


「ハァ、ハァ、ハァ。何をおっしゃる。

神なる創造主のご子息様!」


「七草!気持ち悪りぃって、持ち上げ過ぎだろ。

後が怖えーよ。それに神とは無関係だから。

普通に桃だ。」


「これが、普通なもんか!

それは誰の目にも明らかだ。」


「そうですわね。これは、やはり特別ですわ。」


部長にとっては別の意味で特別な様だ。


「これを七海のオヤジさんが、作ったのか?

じゃあ、ネットに上がってるのは……

ヨッシー画像だせ!」


「ホラ!」


「どれどれ………あっーー!

そう言えばオヤジさんだ!

一回くらいしか、会った事なかったもんな。

それにしても、アンタら、やらかしてくれたね!

…で、今、彼は、どこのムショに服役してんだい?」


「何、訳のわからん事をいってんだ!

何も不正な事はやってないぞ!」


七海は突然の言いがかりに動揺していた。


「えっ!大丈夫なのか?このエロ画像!」


「何だ?見せてみ…えっ⁉︎

何だこれ!こんなのが出回ってるのか?

ヨッシー削除要請してくれ!今だ。今すぐだ!」


七海は予期せぬ事に驚いた。


「ああ、今したよ。次期削除になるだろ。」


「何だ。夏樹果樹園が発信元じゃ無いのか?」


七草の言葉に七海が答えた。


「ああ、誰か第三者の仕業だな。

果樹園のお客さんもいたし、誰か特定は出来んな。

ただ、ウチとしてはまだ

市販出来る段階まで行ってないからな。

まあ、市販は期待せん方が、いいけどな。」


「何でだよ。こんな凄いもの。

売り出したら大儲けだろ!」


七草の打算発言に七海が苦笑いで答えた。


「それが、そうもいかんのだ。

採算が合わないんだよ。」


「どう言う事?」


みんなポカーンと、していた。


「この桃は、一本の木に

一個しか実をつけられんのだ。

元々、実が少なく付く様に品種改良してあるんだが

そこから更に間引きをして

一番良いものを残して育て上げるんだ。

最後は…

栄養をこの一つに集中させて完成させるんだ。」


「おっ、おい!そんな貴重なモノ。

いかんだろ!私達ごときが頂いたら…」


ヨッシーの心配性を七草が諭した。


「ヨッシー!どんだけ自分を卑下しとるんだ。

ほっといたら腐っていくんだぞ。

朽ち果てていくんだ。

ここは、ありがたく頂くとしよう!」


「心配するな。これは、間引きした方のヤツだ。

オヤジが、「いつもお世話になってるから」ってさ。みんなにご馳走してやっててくれって

持たせてくれたんだよ。」


七海が満面の笑みで言った。


「オヤジさん!相変わらず太っ腹!」


ヨッシーが感心した。七草も同感だ。


「そうだよ!感謝しかねーよ!

それにしても、間引きでこれか!美し過ぎる。

これも売ればいいじゃないか!」


「俺もそう思うがな。

オヤジが、それは決めた事だからな。

それが、こだわりなんだ。

オンリー1 を育てたかったんだと…

その年に立った一つだけ、

最高の桃に「桃太郎姫」と言う名を授ける。

それは、もう儀式みたいなものだ。」


七海の語りにみんな感動していたが

七草には疑問が浮かんだ。


「ちょっと待て!

名前は「けつのけ姫」じゃなかったか?」


「何だ、そのヘンテコな名前は?

そんなのつける訳ねーだろ。」


七海の発言に七草が

スマホの画像を彼の顔の前にかざした。


「だって、ホラ見ろよ。

これ!スクショだけど。」


「ああ、これか!

配信したヤツが

サムネイルに勝手に書き込んだんだろ!

あの界隈は全く、無法地帯だな。

デッカイ桃と言えば、桃太郎だろ。

桃から生まれた。桃太郎だよ。

姫は桃姫から残したんだ。

桃姫を品種改良して成った桃だからな。

それで桃太郎姫だ。」


「クーッ!最高だな。崇高な話だ。

けつのけ姫じゃ、こうはいかんかったな。」


七草が歓喜した。


「しかし、その「けつのけ姫」っての大丈夫かな?

ウチがジブリに訴えられんかな。」


七海の心配にヨッシーが答えた。


「それは、大丈夫そうだな。

あちらさんは、沈黙を守っとるよ。

訴えは、元より何のコメントもしとらんよ。

何か動いて反応すればネット民の思う壺だ。

更にある事ない事を書き込まれかねん。

鎮静化を待つ魂胆だ。」


「確かにそれが得策だ。

ウチは見つけたら

こまめに削除要請するだけだ。」


「そだな!」


「ところで、この画像みたいな。

毛ェモドキはどうした?大切なアクセントだろ!」


「ああ、これな。収穫したばかりの画像だな。

枝から切って、すぐだから

まだフサが残ってるんだ。」


「それでオヤジさん。ドヤ顔してるのか?」


七草の問いに七海が答えた。


「ドヤ顔って、言うなよ!

なんか感じ悪りぃだろ!

これは満足顔だ。

丹念に育てた事に対して

ちゃんと成果を出してくれた。

その喜びの笑顔だ。」


「青果の成果ですね!ウフフッ!」


七海の横で、慎ましやかにしていた部長が

危ういダジャレをいった。


「部長!それ、ホワイトボードに

書き比べせんとわからんぞ!」


「そっ、そうでしたわね。じゃあ…」


立ち上がりホワイトボードを出そうとした部長を

七草が制した。


「部長!もーいいから…

七海!…で、そのフサはどうしたんだ?」


「ええー。七草…そこ、こだわるのか?

直ぐに切って捨てたんじゃなかったかな…

そんなに気にしてなかったよ。


「何ーーーっ!そんな大事なモノを捨てるなどとは

不届千万!手打ちに致す!」


七草は七海に詰め寄った。


「何んかよくわからんが

今度また、できた時は残しておくよ。

七草!オマエに渡せばいいんだな!」


「本当か!七海、ありがとう!

嬉しくてたまらんよ!感謝。感謝!」


七草は満面の笑みで

手を合わせ七海に感謝の意を表したが、

コロコロ変わる七草の態度に一同唖然となった。


「部長の事ばかり言えんな!

ナクサ!アンタも、そーとう変な感性しとるよ。」


「そうかぁ。あんな素晴らしいモノ

他にないと思うがなぁ。」


「私も同感です。」


「部長ぉ⁉︎ やっぱりか!

アンタらの感性とやらは、やっぱ!別格だ!」


「やぁ!ありがとう!」

「ありがとうございます!」


「二人ともっ!褒めとらんワッ!」


「へへへっ。ところで、七海。

何で、あのフサ、あんなに長いんだ?」


七草がニヤニヤ顔で質問した。


「ああ、あれは自重で

ああやって伸びていくんだよ。

そもそも、あの重さを一本の枝で支えても

ちぎれてしまうんだ。

それが不思議なんだよ。

建設現場のクレーンとかあるだろ。

あのワイヤーって長くて細い針金の集合体なんだ。

ロープもそうだけど繊維質に編み込んでいくと

同じ太さの一本物より格段に強度が増すんだ。」


「七海!長げーよ!

アンタのウンチク自慢は、いいから!」


「ああ、だから、この桃は

太めの枝を一本じゃ無くて

細い枝を何十本も生やし絡める事で

フサと枝の強度を高めてるんだ。

もちろん枝を低くしてなるべく

万が一の落下などの衝撃をやわらげる様な工夫は

してるけどな。」


「すげぇーな!自然の力って!」


「ああ、ウチも品種改良を託したけど、

この桃達自体も

生き残る為に必死だって事だろうな。

しかし、何で、あんなものを

大切なモノだなんて思ってるんだ。

ただのフサだろ。

それにフサの付いた桃なんて

店頭で見た事ないだろ。

それ自体が不自然だし

それにアクセントってなんだ。

七草、オマエは、これが気に入ってるのか?」


「私にとっちゃ、この毛があって完結だ。

完全なケツなんだ。」


「また、ややこしい言い方が始まった!

どうでもいいけど

ケツとか尻から外れてくれんか!

これは桃だ。ケツじゃ無い!」


「そうか?部長。ちょっとこっち来て!」


「何ですの。また変な事やらせないで下さいよ。」


「ここ、ここ、桃の横に並んで!はい!ここっ!」


「何ですの?

私のおしりと桃さんを比べるつもりですの?

モーッ!だから変な事しないでくださっ!

きゃあ!何をなさりますの!」


七草が部長のスカートを思い切りまくり上げた。

部長の純白のショーツに包まれた。

プリッとした形のイイヒップが一瞬、あらわになった。


「七草さん!何と言う事を!

また、コケシ回しを

お見舞いして差し上げましょうか⁉︎」


「ワーッ!ヨッシー助けて!」


七草はヨッシーの後ろにかくれた。


「七草‼︎ 何のつもりだっ⁉︎ 」


七海も憤慨して、七草を問い詰めたが

七草も必死で訴えた。


「なっ、七海!どうだった?

これでも、桃尻じゃないってのか!」


すると、七海はちょっと照れながら答えた。


「そっ、それは!まぁ、…桃尻…だった。」


「どっちが、だっ⁉︎ 」


「どっ、どっちも…」


「…だな!」


「もーっ!七海君まで!」


部長は真っ赤な顔をして七海に膨れっ面をしながらパンチを浴びせた。


「部長!神懸り的な程の素晴らしいお尻って事だぞ」


ヨッシーがフォローした。


「まあ、それは言い過ぎですわ。

でも、まあ、よろしい!許して差し上げます。」


本音は部長も、まんざらじゃなさそうだ。


「私も謝るよ。部長、申し訳ない。」


七草が素直に部長に頭を下げた。


「意外とあっさり許してくれて良かったな。

やっぱり褒められて悪い気はせんよな。」


ヨッシーが七草に耳打ちした。


「まあ、これで仲直りだ。

ここらで頂くとしようぜ!」


七海の言葉に七草が叫んだ。


「ちょっと待ったぁ!

切る前に写真くらい撮らせろ!

ホラッ!みんな桃尻の後ろに集合!」


「何だ!記念撮影か…まあ、そうだな。集まろ。」


ゾロゾロと、みんな大桃の後ろに集まった。


「ヨッシー!そこにスマホ置いて

タイマー取りしようぜ!


ヨッシーがスケッチブック重ねて

スマホを立てかけた。


「OK!!! 5 4 3 2 イチ…ワッ!

七草!何やってんだっ!うわぁ!」

 

 "カシャ"


「ええっ!」


 シャッターが、反応する直前に果汁が辺りに飛び散った。写真には異様な光景が、写っていた。

桃尻のフサのあった部分から毛の様なモノが突き出ている。それは肛門から毛が生えている様に見えた。

 七草が部室の角の部長の机から取り出した習字の筆を深々と突きさしたのだった。


「ナクサ‼︎てめぇ‼︎

桃尻さまになんて事しやがるんだ!」


ヨッシーが鬼の形相で七草に詰め寄った。


「これで、桃ケツ姫も完結だ!」


「けつのけ姫だったろ、名前、変わったとるし!」


「まあまあ、テーブルが、お汁だらけですわ。

短亀ちゃん!テッシュで拭いて頂けるかしら…」


部長が困り顔で短亀ちゃんにお願いした。


「はい!喜んで!」


「私は桃太郎姫さまを頂く準備をしますから

包丁とまな板と…

あっ、ヨッシーさん、お皿を人数分

用意して頂けるかしら。

それと、七草さんの分はいりませんから

はぶいて下さって結構です。」


部長は無表情でそう言った。


「部長〜。それは、無いよぉ。殺生なぁ。」


七草は情けない今にも泣きそうな顔で訴えた。


「お仕置きです。

しでかした事の大きさを認識して下さい!」


「わかりました。申し訳ありませんでした。」


七草は指先が床に着くまで深々と頭を下げた。


「はい!良く出来ました。では、席に着いて下さい」


「えっ⁉︎ もう許すのか?」


ヨッシーが「甘やかすなよ!」言う顔をした。


「だって、みんな揃って食べないと

美味しくないでしょ!」


「そうだな!部長の言う通りだ。」

 

それにはヨッシーも納得した。

 部長が白くて綺麗な手を巨大な桃の上に乗せ、包丁を割れ目の天辺に添えた。

 みんな、その様子を固唾を飲んで凝視している。


「チョン君そっち抑えようか、俺は、こっちだ。」


 七海が気を効かせた。切れた途端、重みで下に敷いた皿から転がり落ちそうな気がしたのだ。

 部長も真剣な瞳をしている。命を頂くのだ。この神懸った果実に刃を入れるのだ。もしかしたら、祟られるかも知れない。そんな有り得ない妄想が、この大桃の前では真実の様に思われた。

 シーンと、鎮まりかえった。空気の中で


  "サクッ"


と言う音が、みんなの鼓膜を揺さぶった。その振動は直接、横隔膜に…。心臓に。瞬時に伝達された。


「きゃ〜〜〜ぁ‼︎ 」


「わわっ!何だ⁉︎

ナクサ、女みたいな叫び声上げて!」


「私は、女だ!正真正銘の女だ!

…みたいとはなんだ!」


「そんな事はどうでもいい!

この緊張感の中で刃物を使ってるんだぞ。

七草!オマエも真剣になれ!」


「悪かった。つい…

肛門が何だかムズムズしてきたんだよ。

それで、包丁が皮一枚入った

あの瞬間の"サクッ" って、音で「痛っ!」って

無意識に反応してしまったんだよ。

本当は痛くも痒くもなかったんだけどな。」


「ああ、私も何だか、穴回りがムズムズしてたよ。」


「ヨッシーまで何だぁ?とにかく、冷静になれ!

チョン君を見てみろ。

尻餅付いて動けくなってるじゃないか!」


「どうしたんだ!チョン君?」


「七草先輩が突然

女の子みたいな叫び声を上げるから

部長さんがビックリしてのけぞった時に

包丁の剣先が俺の顔を直撃しそうになったんですよ。

ギリよけましたけど

恐怖で腰が抜けてしまいましたよ。」


「いや、本当にギリだったな。

それにしてもマトリックスの

あの名場面を彷彿させたな!」


「ああ、イナバウワー…してたな。」


「何なんですか?どっちも、わかんないですよ!」


「しかし、よくあんなの出来たな。

部長か短亀ちゃんならやれるだろうけど…」


「だ、か、らぁ、短亀ですって

俺が自力で、あんな事

出来る訳ないじゃないですか!

真横には居ましたけど

その瞬間、俺の体を後ろから抱きしめて

弓なりになったんです。おかげで命拾いですよ。」


「さすが、短亀ちゃんの神技が、また出たな!」


「いえ!危険な目に遭っている人を助けるのは

人として当然の事です。大切な人なら、尚更です。 

それが、たとえ、七草先輩であってもです。」


「短亀ちゃん!なんかトゲがあるね?」


「だって!七草先輩があんなバカ声だすから

チョン君が、あんな危ない目にあったんですよ。

腰まで抜かしてしまって…」


「ちょっと、待ちな!短亀ちゃん。

アンタ勘違いしてるよ。

チョン君が腰を抜かしたのは

アンタの技のせいだろ!

きっかけは、私かもしれないけど…

直接手を下したのはアンタさ。

アンタみたいに武道の心得がある者ならイイけど。

普通に、なまくらな生活してるモンが、

アンナものに耐えられる訳ないだろ!

あそこまで仰け反って骨も筋も筋肉も、

さぞかし悲鳴を上げた事だろうよ。」


「ええ、そっ、そんな…私のせい…

私が、チョン君を下半身付随にしてしまったの…

チョンく〜ん!ごめんなさ〜い。許して〜〜っ!

…って、そんな訳ないでしょ!

もう、早く食べたいのに…ハウス、ハウス!

七草先輩は、切り終わるまで、

そこの角席に座っててください!」


「はーーい!」


 包丁が半分程入ったところで、しみ出た果汁が大皿から、溢れ出しそうになった。


「困ったなぁ。この大皿…

結構、深さあるんだけどな。

何か、大きめのスプーンとかなかったか?」


七海の問いに部長が答えた。


「いえ。コーヒー用のスプーンしかありませんわ!」


「この量だ。それじゃあ、ラチがあかんな。

…って、七草!何やってんだっ!」


 七草は紙箱ジュースに付いていたストローを咥えて大皿に溜まった濃厚な果汁を思いっ切り吸い込み飲みこんだ。


「うんめぇーっ!ネクターの百倍うめーぞ!」


七草が満面の笑みでそう言うと

ヨッシーの瞳もキラキラ輝いた。


「マジかっ!それは相当なもんだ。

アチラも半端なく美味いのに!」


「バカ!感心してる場合か!やめろ!やめろーー!

一人だけウマイい思いしてんじゃねーぞーっ!」


また、果汁を吸おうとした七草を七海が制した。

すると、七草が発言した。


「じゃあ、みんなで、すすろうぜ!

一滴も、こぼしちゃなんねーど!」


変な言い回しにヨッシーがツッコンだ。


「何だ?昔の百姓みたいだな。」


「少し、お行儀が、悪いですけど。

それが一番効率が良さそうですね。

二人づつ頂こうかしら。

ハイ!ストロー…ちゃんと有りますから。

後の人の事も考えて飲んで下さいね。

七草さんは、もうよろしいですね。

たっぷり頂いたようですので。」


「そんな〜部長〜。もう少しだけ〜お願いしますぅ」


七草は部長に、すがりついた。


「もう、すぐ切り終えますから少し我慢して下さい。折角の果実を食べる前に

お腹一杯になってしまいますよ。」


「そだな!わかった。」


しかし、あっさり納得した。




「じゃ、美味しい果汁頂きましたね。

それでは続き何ですけど

ここからは私だけでは力不足なので

七海くんお手伝いお願いできますか?

ここに手を添えて一緒にお願いします。」


「ああ、わかった。じゃあ、こっちは短亀ちゃん。

抑えてくれるかな。」


「チョン君と二人で支えるんですね。最高ですっ!」


「短亀ちゃんのゾッコン節だな。」


「ちょっと、待てよ!七海!部長!待ってろ。

用意するから。」


「何を?もう、切るだけだぞ!」


「いいからっ!  ヨッシー!動画撮れ!」


「あっ、ああ〜そうだな。残しとくか!」


「ヨシ!ミュージック!スタート!」


パパパパーン♪ パパパパーン♪ パパパパーン♪

パーンパアパ♪ パアパアパアパア♪

パァパアパーパーパーーン♪


七草のスマホから管楽器の音色が華々しく鳴った。

結婚行進曲だ。


「えっ⁉︎そんな、うそ!七草さん!これって!」


「七草!これは?」


「ケーキならぬ大桃入刀だ。

いつかは、その日が来るんだろ。

これは、予行練習だ。

思いっ切り行っちまえーっ!」


「七草さん!」


「七草‼︎ありがとう!」


そう言うながら二人は互いに手を取り桃太郎姫を真っ二つに切り分けた。

 果汁がまた大皿に溢れテーブルに流れた。

部長と七海の頬にも涙が、滝のように流れていた。

それを見ていたみんなも、もらい泣きした。

その後、みんな、笑い泣きになった。




「うっめーな!」


「最高ーだな!」


「そうですね!こんな大きな果実なのに

味は決して大味では無い。

むしろ繊細で、それでいて濃厚な甘さ。

果肉は歯応えがあり、そのくせ濃密でとろけるよう。

両極が混在し摩訶不思議な味わいのハーモニー。

そう、それは、正に、桃源郷に誘われる様な

味の玉手箱や〜」


「部長!アンタは彦摩呂かっ!

それに、何酔いしれてんだ。

食わんのなら私にくれ!」


「まあ、味わってますのよ。

七草さんのように

お菓子を頬張る様な食べ方は致しません!」


「フーッ!でも何か腹一杯になったな。」


「ナクサ!アンタ本当に胃が小っちゃいね。

私は丸ごともう一ついけるよ!」


「そりぁ、ヨッシー!アンタ逆に異常だよ!」


「しかし、美味かった!来年も頼むぞ!七海。

出来たらマスカットとスイカも一緒に!」


「アホかっ!それじゃあ

スペシャルコンボじゃねーか!

そんな贅沢させられるか!ちゃんと買え!」


「買えたら頼むか!」


「そだな!ハハハッ!」


「ははははっ!」


 


 食事後、片付けも終わり、そろそろ帰宅しようかと言う時だった。


「あのー!これ何ですけど…」


短亀ちゃんがスマホの画像を差し出した。


「何だ?また何か見つけたのか?」


「ええ!「けつのけ姫」で検索してみたのですけど…

そしたら、この画像が…」


真横に居たヨッシーが何気にその画像を覗いた。


「ゲッ!オエッ!」


ヨッシーは堪らず、えずいた。次は七草だ。


「これはダメだ!ヨッシーにはキツ過ぎる!

これならさっきの、けつのけ姫の方が

まだ、ましだ。」


「そうですの…まっ!これっ!

猥褻物陳列罪に相当する案件じゃございませんか?

相当ヤバいですよ!」


 

 その画像も巨大桃だ。

毛の様なフサは、まだ切られていない。しっかりとフサフサしている。

 これは果実が熟れ過ぎたモノのようだ。巨大な桃尻の割れ目の表皮が割れ、熟し切った濃い桃色の果肉が、こんもり盛り上がり押し出される様にはみ出ていた。

 それは果汁をダラダラと垂れ流し、テラテラと鈍い光沢を放っていた。

 更に、その回りには、枯れてモジャモジャになった茶色のフサ枝が垂れさがり、卑猥な様相を見せていた。女性群は何故か無意識に股間の辺りを手の平で抑えていた。


「これってアレだな。ボカシが入ってるな。」


七草の言葉にヨッシーも同調した。


「それが逆にイヤらしさを増してるんだよ。」


「ボカシを入れた果物なんて見た事無いぞ!」


「ボカシを入れるってコトは

後ろめたさを薄々感じてる訳だ。

それでもアップした神経がわからん!」


部長も、同調した。


「これはエロですよ!

って宣言してるようなものですわね。」


「誰なんだ!また悪さしやがって

こんなモンアップした奴は⁉︎

こっちは、エライ迷惑だ!」


七海は憤慨して訴えたが

七草がある事に気づいた。


「ちょっと待て!これ持ってるの…

顔にチョイ、ボカシが入ってるけどバレバレだ。

七海のオヤジさんじゃねーか!

何だ、この自慢顔は?

これ、もしかして自分でアップしてねーか⁉︎

「皆さん見て下さいオーラ」が出てるよ。」


ヨッシーもそれに同調した。


「そうだな。これは、確信犯だ!しかも、この顔。

ドヤ顔でニヤケてるからキモ過ぎるよ!」


七草が七海に問うた。


「七海!何か弁解する事あるか?」


七海は頭を掻きながら

バツが悪そうに作り笑いをした。


「ハハハッ!いや、まいったなぁ!

どうしょうもないな。

これオヤジのアカウントだし…

しかし、まぁこの件は内密に頼む!」


その言葉にエロ嫌いのヨッシーが

キレ気味で言い放った。


「バカタレッ!オヤジが自分でアップしといて

内密も何もねーだろっ!

見ろ!ピースでもしてやがる。

やっぱ!この大桃は 桃尻姫だ!

オヤジの低俗さからしたら、それで充分だ!」


「いや!ヨッシー!それを言うなら

「けつのけ姫」… だなっ!」


「そだな」



おわり         








「けつのけ姫」と言うバカ馬鹿し過ぎるワードだけ思いついて書き始めました。これで話が展開出来るのか?お試しで書き始めたのですけど、まさか桃太郎の話まで辿り着くとは思っていませんでした。初めは男性二人の会話から始めたつもりだったのですが、会話のバトルを読んでいる内にこれって、「居座凪高校園芸部シリーズ」の七草とヨッシーの会話じゃん!って、なって、話が一気に膨らんで、ラストまで行きました。自分でも楽しんで書いたお話しです。

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