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第六話 メール

「どうしたの? 愛華」


 お母さんが来てくれた。だが、この気持ちの訳をお母さんには説明ができない。


 どうしたらいいのだろう。どうすれば私にできることを見つけられるのだろう。


「ゆっくりでいいから話してみて?」


 そんな優しい顔で言われても……どうしようもないのだ、私は。おそらくあんな夢を見たのは私だけだ。私だけが知っているのだ。この件の真実を。たぶん私が今ここで真実を言ったとしてもお母さんは信じてくれないだろう。それくらいセンシティブな話なのだ。


 お母さんが真剣な目でこちらを見ている。だが、どうもできない。ただ、気まずいだけだ。


「私は……」


 考えた結果、真実を伝えることに決めた。とはいえ、半分程度なのだが。


「夢を見たの。地獄に落ちる夢を。それが……今の昨今の連続虐殺事件のことと関連してると思ったの。たぶん言っても笑われるだけだと思うけど、悪魔が私に対してメッセージを残してるんだと思ったの。なんかこう、このことを詮索したら殺すみたいなことをぴわれてるのかと思って、それが怖くて。ただでさえ、この事件の被害にあわないか心配だったのに、また心配事が起きて、しかもそれが夢の話で、もうどうしたらいいの皮kらなくて…………」


 その後は言葉が出てこなかった。そんな私をお母さんは何も言わずにただ、なでてくれていた。ああ、本当お母さんは優しいな。そう本当に思った。


「お母さん、大好き!」


 そんなお母さんを力いっぱい抱きしめた。本当に抱きしめた。何も言わずになでてくれるお母さん。幸せだ。



「それで怖い夢を見たからってことでいいのよね」

「……うん」


 実際は自分の無力感にうなだれていたということだけど、それは別にいいか。お母さんが優しいから、今はこれでいい。



「ねえ、お母さん」

「何?」

「大好きだよ」

「もう、さっきからそればっかり。私も大好きだからね」


 そう言いながらご飯を二人で食べた。大好きなお母さんと食べれて幸せだ。


「あ!!」

「どうしたの? 愛華」

「返事返してない……」

「メールとかの?」

「うん。友達の。あの倒れる寸前に送ったメールなの。でも、その後ああなったから」

「そう、じゃあご飯終わってからだね」

「うん!」


 そして、ご飯を食べ終わった後、すぐにメールの返事を送る。いや、その前に確認すらしてないから確認が先なんだけど……


「そう。確かにそうだよねあの状況だと」と由美が、

「そしたらこの学校の中に犯人がいるかもしれないわね」と、彩香が送っていた。


 そして、三時間後に、亜美が「愛華返事してよ!」と来てた。もう、一〇時間返事をしていなかった。これは悪いことをしたなあと思って、すぐに返事を書こうと思った。だが、それだけじゃない。あの悪魔の夢のことも話したい。そう思った私はすぐにメールを送った。


 それはこういう内容だ。「実はそれだけじゃなくて、あの後すぐに倒れて、夢の中で地獄の苦しみを味わったの。体感時間で一時間以上経ってるのに、五分しかたっていなかった。だから、もう本当に悪魔のせい説が濃厚だと思うの」と言った内容だ。


 彼女たちならすぐに信じてくれるであろう。だが、私がミーハーたちみたいになった感じは嫌だなあ。私は本気で考えているのに。


 そして、すぐに返事が返ってきた。それは肯定の者だった。由美からは「面白そうそれ」と返ってきて、亜美からは「その線で進めていこう」などと返ってきた。これで賛同者が増えたと思い、少しうれしくなった。

 そしてそれから土日を挟んだ。どの間も三人の被害者が出て予断を許さない状況だ。

 土日の間には二人には会わなかった。何しろ、会っても大した情報は集められないし、それよりも土曜日にまた倒れて一六時間睡眠したことも関係している。

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