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第13独立試験分隊  作者: キノ
プロローグ
2/4

始まりの日Ⅱ

・・・さい


誰の声だろう。


・・・ください


「起きてください!」


意識が戻った僕は、重い瞼を上げると目の前には、声の主と思われる中学生くらいの少女が居た。


「良かった!生きてた!生きてる人が居た!」


そう言って僕の手を引き起き上がらせてくれた。


続けて彼女は、だいじょうぶですか?と聞いてきた。その質問に答えようと体に異常がないかを確かめると全く痛くないのだ。爆風で2メートルほど転がっているはずなのに体に異常はない。理由はともかく異常がなかったため大丈夫だと彼女の質問に返答した。


周りを見渡すと町が瓦礫まみれでところどころ血痕のようなものが付着している。


混乱した。気を失っていた間に何があったのだろう。現状何が起きたか聞けそうなのは目の前の少女だけだ。いきなりそんなこと聞いてもいいのかという陰キャ的考えを振り払い尋ねることにした。


「ごめん、いきなりで申し訳ないんだけど何が起きたの?」


その問いに対して彼女は答え始めた。


「襲われたんです」


「襲われた?何に?」


一瞬言いよどんでから彼女は答えた。


「DAHRにです」


「爆発の後に空が歪んで、その歪みからDAHRが現れました」


「それで、隠れて生きてる人を探したんですけど、見つけた人みんな死んじゃってて生きてる人は、今のところお兄さんだけでした」


唖然とした。DAHR?空に歪み?そんな非現実的なことが、とも考えたがこの状況自体非現実的だ。DAHR、真面目に聞いていなかった歴史の授業で聞いたことがあるような。今になって授業を真面目に聞いておくべきだったと今更ながら後悔した。


そんな思考を巡らせているとこの世のものとは思えない唸り声が聞こえた。瞬間僕は頭でなく感覚で理解した。本当に化け物がいる。


「詳しいことは後で、こんな開けた場所にいると見つかってしまいます。行きましょう」


そう言って彼女は走り出した。まだ混乱が収まっていない僕は取りあえず彼女についていくことにした。


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「今日、久しぶりに帰宅許可を取りウッキウキで寮から実家に帰ってきたらこんなことになってるなんてね。ヤバイわ!」


と、ちょっとちょけてみたものの内心焦っている。まさかDAHRの侵攻が200年ぶりに、しかも私の故郷だなんて母さんは?父さんは?真希は?生きているのだろうか?


「心配だけど、今は事態の収束を目標にしなきゃ。」


そう、やみくもに探し回るよりもこの状況を何とかした方がみんなの生存率も高いだろう。私が今できることは・・・・・


-----------------------------------------------------------------------------------


「お皿取ってくれる―?」


「はーい!」


「お!できたか」

今日は、久しぶりにお姉ちゃんが帰ってくる日だ。お祝いの豪華な料理をお母さんが作ってくれていた。お母さんのお皿を取ってくれとの頼みにお父さんとお皿をテーブルに運ぼうとした時だった。


爆発が起きた。家が軋み。爆音が鳴り響くいた。そのあとのことはよく覚えていない。逃げて、地域の避難所に着いたら空に歪みが出て。出てきたDAHRお母さんとお父さんが殺された。両親は、私を必死で逃がしてくれた。そのまま隠れて生きてる人を探しました。


「そんな感じです」


と話を彼女が話を区切った。


僕たちは、たまたま原形をとどめていた家に入り詳しい話を彼女から聞いていた。沈黙が重くのしかかる。聞いただけの僕でさえ心が苦しくなる。辛さを感じさせないように言ったのは彼女なりの気遣いだったのだろう。


「私の名前は、温海真希よろしくおねがいします」


「あ、神宮信二です。よろしく」


いきなりすぎてあっけにとられた。

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