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4.魔導書2

本日二度目の投稿です。

 

 セシリアは結婚して子供が生まれてからは、さすがに生家とはいえ、こっちには来なくなったのよね。でも、ギルバートからあれこれ聞いていたわ。だから、フェアクロフ公爵家が子供を預かる時期を見計らって、セシリアを呼び出してもらったのよ。


 ほら、ギルバートってシスコンじゃない? というか、こじらせすぎちゃっているじゃない? だからね、どんなことでも、セシリアに会える機会は逃さないのよ。いつもならあれこれ詮索してくるってのに、いそいそと連絡を取ってくれたわ。チョロイわね。


 セシリアはアタシに久々に会えて喜んだわ。もちろん、アタシも嬉しいわよ!

 だからさ、ちょっとばかり、女子トークをやったのよ。

 そうしたらさ、セシリアったらアタシを見ながら「まあ!」と言ったきり、真っ赤になっちゃったのよね。いやあね、もう子供までいるってのにさあ。


 問題はシスコン君よ。

 セシリアの後ろから腕を伸ばしてアタシに触れたの。

『ジェイラスはベッドではねっとりしていそうよね!』

 っていうアタシの発言を読んだってわけ。発言っても、アタシ、本だからね。文字が綴られては消えていくんだけど。


 そしたらさあ、アイツったら、あろうことかそのページをつまんで持ち上げやがったのよ!

『イタタタタ! イタいわよ! ちょっと、ギルバート! ちぎれる、やぶれちゃうわ!』


 とまあ、そんなカンジで三人で仲良しこよししていたのよ。

 掴みって大事だものね。

 前置きが長い? いいじゃない、導入部分は大事よ。


 ギルバートには乙女ゲーム云々は言っていないの。だってさ、頭が良いやつほど、あるがままを理解しないと思うのよね。たぶん、自分の中に持つ法則にあてはめちゃう。だから、その昔、原子アトム論は発展しなかったのよ。天才の理論と対立しちゃったのよね。


 曲解されて妙ちくりんな結論を出されるよりは「予言できる」とした方が良いわ。さらに言えば、「未来は不確定要素だ」って言っちゃえば良いの。だからこそ、当事者たちの行動でいかようにも変容できる。だって、そうじゃなきゃ、頑張ろうって気にならないじゃない? やっても結末はいっしょなんだったら、やる気は起きないわよ。


 でね、そろそろかな、って時分に「お告げ」をしたのよ。公爵家はひとりの男の子を預かるだろうって。その後に起こる悲劇もね。

「姉上がその遠縁の子を虐待するとでも?」

『しないってわかっているわよ。でもね、どんなふうになるか分からないじゃない』

 公爵夫人はともかく、その娘の資質が問題なのよね。でもって、ギルバートはそんな姪を溺愛しているからめったなことは言えないわ。


「リディアが引き取った少年を、そんな、」

 夫であるジェイラスの溺愛ぶりを見ているから、セシリアとしても心配なのよね。アタシが遠回しに『このままじゃ、ワガママ令嬢になるわよ!』って言ったしさ。あらやだ、直球だった!

 ほら、セシリアも変わり者令嬢だったじゃない? 自分の影響じゃないかって、母親として気を揉んでいるのよね。

 心配そうなセシリアに、ギルバートは魔導書を貸し出すことを提案したのよ。


 え、あら、魔導書ってアタシのことじゃない!

 ちょっとちょっとぉ、勝手にコトを進めないでよ。


 でもさ、ギルバートはオネエサマとその娘ちゃんの一大事だからって短期貸し出しをセシリアにプッシュしたわ。

「幸い、現当主はほぼ魔導書を手に取ることはありません」

 セシリアが次期当主も魔導書と対話すべきだって言ってくれたのよね。だから、アタシはおじいちゃんばかりじゃなくて、若いピチピチした後継者と触れる機会を持てるようになったってわけ。


 まあね、次期当主はギルバートだから、触れるどころか、紙の端を摘んで持ち上げられる始末よ。やんのか?! コラ!


 もうね、こちとら、本だから、分が悪いどころじゃないわよ。対抗するためにはそりゃあ、ヤツの弱みをつきまくりよ!

 もちろん、セシリアね。セシリアとアタシは固い友情で結ばれているからね! なんかあったらすーぐチクっちゃうわよ。フフン。

 それが効くのかって? もちろんよ。


 だって、ギルバートったら超絶イケメンなアラサーになっても、中身は昔のまんま、オネエサマ第一主義なんだもの。だからまだ結婚していないのよ。セシリアに苦言を呈されたらしょぼくれるわよ。フフフン。


 いや、なんかね、ギルバートは髪と目が柔らかそうな色味で、すらっとしているからかさ、穏やかそうに見えるらしいのよね。中身は真っ黒。腹黒よ。漆黒よ。いたいけな古書を粗末に扱うんだから、紛うことなしよ。


 まあ、そんなわけで、アタシはフェアクロフ公爵家にやってくることになったの。

 セシリアともまたコミュニケーション取れるしね。

 初めてカーライル侯爵家から出られるのね。ちょっとわくわくするわ。


 あと、これはセシリアには言っていないのだけれど、周辺諸国が不穏な動きをし出すのよね。そのことをギルバートに伝えたら、「そちらは把握しています。わたしが対処しますので、ご心配なく」ですって。

 すでに知っていたの? すごい! 頼れるわね! さすがは、辣腕次期宰相! 任せたわ!


 さあ、こっちはセシリアたちの子供世代の幕開けよ。張り切って行きましょう!






今回は虐待による復讐の回避ね。

うんうん、じゃあ、ヒロインちゃんの攻略対象者へのアプローチの阻止とかは考えずに済むわね!

早い段階で溺愛に持ち込むわよ!

サクサク行きましょう!

ブクマや☆☆☆☆☆で応援してちょうだいね。



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