2.魔導書1
本日二度目の投稿です。
みんな、心の準備はよろしくて? さあ、始まるわよ!
ここのところずっと腹黒次期宰相と丁々発止のやりとりをしていて、紙面をすり減らす思いだったから、はりきっちゃうわ!
ギルバートはね、出会ったときに、「魔導書は代々当主のみが閲覧することを許されていました。つまり、爵位を継いでから魔導書と接触した。けれど、わたしは違う。長期間にわたって末永く、お付き合い願いますよ」そう言って微笑んだのよ。
くっ、腹黒め! だが、それがイイ!
じゃないのよ。ううん、神経を削られるわ。
まあね、アイツの気持ちも分かるっちゃあ分かるのよ。
重度のシスコンで元気になったかと思えばオネエサマには婚約者ができました。しかも格上の極上イケメン。そして仲睦まじい。
良いことね。でも、とっても寂しい。
そこへ新たな出会いが! もちろん、ステキなアタシよ!
つまり、アタシで気を紛らわせて憂さ晴らししようってハラなのよ。
イイ迷惑よね。なのにさ、あいつ、あなたも話し相手が必要でしょうって。足下見てんじゃないわよぉぉぉ!
当たっているけどさ!
つかアタシにモトとなる足なんかないけどさ!
なんでモノに転生すんのよぉぉぉぉ!
今回はね、乙女ゲームの続編よ。前作から十数年後のことよ。
続編も何度も周回してファンブックも公式ホームページも網羅したアタシに、死角はなくてよ!
続編のヒロインはエヴァレット公爵令嬢フェリシア。
前作の第二王子エドワードの娘よ。
彼はね、王弟になっているの。つまり、王太子が即位したのね。
エドワードは結婚して子供ができたときに王族籍を降りたの。それで、公爵家を賜ったのよ。それがエヴァレット家。
んでもって、ゲームでは前作のヒロイン、アンジェラ・エアハートと結婚してその娘がフェリシアって設定だったんだけれど、ほら、アタシとセシリアの活躍でいろいろあったじゃない?
覚えていない?
そんなアナタは「オネエな魔導書に導かれ、婚約者とヒロインの裏切り回避を目指していたら、氷の公爵子息に溺愛されました。」を読んでね。
え? 似たような題名だって? そうなのよ、これがまた、真ん中の部分を変えるだけでオッケーな内容なのよね。どんなものかってのは、先を読み進めてからのお楽しみよ!
今作のヒロイン、フェリシアは母アンジェラが創立したプレスコット学院に通うのを楽しみにしていたの。フェリシアはね、母親そっくりな可愛らしい顔立ちと、父親の色気を受け継いだ————ってどんなのよ! 盛りすぎよ!
そんな可愛らしい容姿とお色気でどんどんイケメンを攻略していっちゃうの。胸も大きいしね! 制服ってそういう体の線の違いが一目瞭然だものね。
ただ、それはゲームでの話よ。エドワードはアレクシア・フェアクロフ公爵令嬢と結婚したの。その娘がフェリシアってワケ。
我らがセシリアはジェイラスと結婚したわ。ふたりにも娘ちゃんが生まれてきたの。
フェアクロフ公爵となったジェイラスは愛する妻との間にできた娘リディアをそりゃあ溺愛しているらしいわ。
ちなみに、ゲームではフェアクロフ公爵夫人はセシリアではなくて、どこぞの王族よ。でも、リディアがパパから溺愛されるのは変わらないの。
でね、フェアクロフ公爵家の子供はリディアひとりなのよね。そうなると、当然後継者問題が持ち上がるの。親戚縁者から側室を持てって言われるってさあ、妻に原因があるって思っているってことよね。そりゃあ、愛妻家のジェイラスは怒るわよ。ゲームでも現実世界でもね。なんたって、娘を溺愛しちゃっているんだもの。あ、現実世界では妻も盲愛しているわよ。
ジェイラスは両親を一度に亡くした遠縁の子供をこれ幸いと引き取るの。もちろん、目的があるのよ。でもね、そんなパパの心、子知らずで、リディアは噂をうのみにして自分が追い出されるんだって恐怖から、義弟をいじめるのよね。
いじめダメ、ゼッタイ!
まあね、分かるわよ。まだ小さい子供が自分の居場所を守るために手段を選ばないってね。なんだか切ないわね。
リディアとその母親、つまり公爵夫人はね、突然連れてきた子供を、冷遇するの。妻だって面白くないわよね。しかも、ゆくゆくは養子となるんだもの。もちろん、ジェイラスはふたりにちゃんと説明するわ。でもね、余計なことを吹き込んでくる輩って、どこにでもいるのよね。面白ずくだったり、甘い汁を吸おうとしたりさ。揉め事を起こそうとするのよ。
それで、心に傷を抱えた攻略対象者の出来上がりってわけ。
舞台となる学院でヒロインに出会って心の傷を癒され、最後には義姉である公爵令嬢に復讐するって黄金パターンなんだけれどね。
そうはならないわ。なぜなら、このアタシがいるからよ!
もちろん、セシリアが連れて来られた子供をいじめるワケなんてないわ。でも、娘ちゃんはどうだかわからないのよ。ゲームでは、リディアは義弟ルートのライバル令嬢ね。甘やかされたワガママな令嬢って設定なのよ。
ちなみに、ゲームではプレスコット学院は前作のヒロイン、アンジェラが創立したんだけれど、現実では、なんとギルバートが手掛けたのよ。アタシの話を聞いて、面白いと思ったらしいわ。
アイツ、今は宰相補佐なんてやっているのよ。ゆくゆくは宰相と目されているっぽいわ。自分からはそんなこと言わないけれど、なんかそんなカンジよ。だってめっちゃ仕事しているし、アイツさ、ほら、身体が弱くてベッドから動けなかったじゃない? だから自分の代わりに動けるものを————ってこれは後でいいわ。
とにかく、本作は学園モノ。もちろん、入学するところからゲームスタートよ。でも、だからって、アタシたちがスタートを待つ必要もないじゃない?
なにごとも事前準備が大切なのよ。そんなワケで、リディアの義弟の復讐の回避を目指すわよ! なんてったって、セシリアの娘ですものね。アタシ、がんばっちゃうわ!
え、アタシが誰かって?
気が付けば、異世界にいました、で魔導書に転生していたの。
どうして転生した先が魔導書なのよォォォォ!(魂の叫び)
さあ、お待ちかね! 始まったわよ!
レッツ、オネエ!
あらやだ、みんなでオネエになってどうすんの、ってカンジよね。
ともあれ、ブクマや☆☆☆☆☆で応援してちょうだいね。