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9、転生2日目-4

「ふぅー、ちょっと疲れてきたぁ。」

身体(からだ)はかなり丈夫なようでなんともないが、精神(せいしん)疲労(ひろう)してくるようだ。

ライトの魔術を完璧(かんぺき)にマスターするために何度も練習していたのだが、発動時間(はつどうじかん)が1秒にも満たない速度で発動できるようになったので少し休憩をすることにした。

クレイを見ると、闇属性魔術(やみぞくせいまじゅつ)の練習をしている。

「あれ?さっきと違う??」


見ると、さっきまで黒いモヤモヤしたものを広範囲(こうはんい)に出していたのに、今度は黒い球体(きゅうたい)を飛ばしていた。


「はい!闇魔術のレベルが上がり、レベル2で使えるシャドーボールが使えるようになりました。」

と、とても嬉しそうにそう答えてくれた。


闇魔術はレベル1では[スモーク]という、黒い煙のような物を出す魔術だけしか使えないが、レベル2になると[スモーク]の他に[シャドーボール]という(やみ)(きり)球状(きゅうじょう)にして飛ばす魔術も使えるようになる。

レベルが上がると術が進化するのではなく、以前使えるようになった魔術はそのままに、新しく使える術が増えるようだ。

最初に使える物の次はレベル2、その次はレベル5、その次からはレベルが5上がる(ごと)に使える魔術が増えていく。高いレベルで新しく使えるようになる魔術の方が術が強力なようだ。



「え!すごいすごいー!闇属性のレベル上がったんだー!!おめでとうー!」


「あ、ありがとうございます。」


顔をほんのり赤く染め、嬉しそうにしている。


「私も早くレベル上がって欲しいな…」


「一緒に練習を始めたのですから、もうそろそろでは?」


「ほんと?!レベル上がったかどうかってどうやって分かるの??」


世界(せかい)福音(ふくおん)が教えてくれますよ。頭の中にベルが鳴ったような音がします。」


「…頭の中に…?」


さすが異世界…地球と違うことが多々あるなと思いながら練習を再開する。


「ライト……ライト……ライト───────────」


カラァーン カラァーン カラァーン


「おぉ!!…これが鐘の音…?」


「リオ!光属性のレベルが上がったのですか?」


「カラーンって音が3回したけど、これで上がったのかな??」


「はい!おめでとうございます!」


「へへ、ありがとう」


クレイは自分のレベルが上がった時より嬉しそうな顔で喜んでくれた。


「次は光属性のレベル2で覚えられる[ライトボール]の練習をするのですか?」


「うん!やるぞー!!」


「リオ、ライトボールは大きさは小さいですが、かなりスピードが出るので、ライトを失敗した時のようなミスをすると危険です。くれぐれも、くれぐれも、魔力の込めすぎには注意してください。」


「か、顔近いよ。」


「それは問題ではありません。ちゃんと気をつけるのですよ!分かりましたか?」


「はい…」


クレイのドアップでの迫力(はくりょく)若干気圧(じゃっかんけお)されつつ、体を押して離し練習を始める。

かなり心配されているようだ…


ゼンから譲り受けた記憶から、ライトボールの知識を引っ張り出し、魔力の込める量を確認する。

ふむふむ、ライトより気持ち多いかなってくらいかな?

集中して魔力を練り手のひらに集中させる。

ビー(だま)(くらい)の大きさの光の玉が浮かび上がってきた。

ライト(ほど)(ひか)ってないし小さいな、と思いながら見ているとだんだん温かく、熱くなってきた。

ロウソクに手をかざしたくらいの熱さを感じていると、魔力を込め終わる。

「ライトボール」


シュンッ と、すごいスピードで前に飛び出したその玉は、数秒後には10メートルほど離れた、魔術を試し打ちする用の人形(にんぎょう)にぶつかり()ぜた。


「おー!飛んだー」


「すごい威力(いりょく)ですね…人形が少し()げていますよ」


「どぉかな?ちゃんとできてそう?」


「大丈夫だと思います」


「やった!」


「私も負けてられませんね」


今度は失敗なく上手くできたよう。

今の感覚を忘れないうちに、と、どんどんライトボールを撃つ。

(じゅう)みたいにもっと早くならないかな?とイメージしつつ練習を重ねる。

ドンドンドンドンと打ちまくり、数時間後(すうじかんご)



バキッ ガシャーン


カラァーン カラァーン カラァーン


「あ…」


「え…」


魔術を打ち込んでいた人形が(こわ)れると同時、光属性のレベルアップ音も響く。


「…人形壊しちゃった…ゼンに謝んないと…」


「………」


呟き、家に入る前にクレイの方を見ると、目を見開いたまま固まっていた。

大丈夫かと声をかけると、ハッとした顔をして、何をしたのか聞きかれる。

ライトボールぶつけてただけだよ?ダメージの蓄積(ちくせき)じゃないかな?と返事を返しゼンの元へ歩いていく。

ゼンの部屋に着き部屋をノックする。


コンコン


カチャッ


「どうかしたのかの?」


「あ、ゼン、あの…ごめんなさい。外の人形壊してしまって…」


「…? 外の人形とはなんの事じゃ?」


「え?あの、魔法の試し打ちの的にしてる人形だよ」


「!?……なんと、アレが壊れたと?!それは(まこと)かの?」


「え?う、うん。ごめんなさい。」


「まさかあれが壊れるとは…あの人形は魔法の試し打ちの的にしてるだけあり、物理耐性(ぶつりたいせい)魔法防御(まほうぼうぎょ)をかけてあるんじゃが…なんの魔法で壊したんじゃ?」


「えっと、ライトボールの練習をしてたの…」


初級魔術(しょきゅうまじゅつ)で…?リオは魔術の1発1発に込める魔力が多いのかの?イヤ、でも、一度確認したしのぉ…?ライトよりは魔力を多くしたのかの?」


「うん、ライトよりは少しだけ多くしたよ。」


「ほぅほぅ、ちょっと見せてくれんかの?」


「うん。」


ゼンは興味深げに裏庭に向かう。

リオもゼンの後を追いかけ裏庭に着くとクレイはさっきまでより気合を入れてシャドーボールを打ち込んでいた。


「クレイも気合いが入っておるの。」


「はい!リオには負けていられませんから!」


ゼンはまず、壊れた人形の方に向かい、壊れ具合を確認する。

人形は1発で壊れたのではないことを証明するようにビー玉大の穴が無数に空いていた。下から1mほどは棒で、その上に1mほどの(まと)になる人形が置いてあるのだが命中しているのは真ん中ばかりではなく上から下まであちこち穴だらけだった。


「ふむ…なんともまぁ凄まじいの…どれほど撃ち込んだのじゃ?」

呆れたように言われ


「えー…っと…あ!レベルが2から3に上がった時に壊れたの。」


と、返すと黙り込んでしまった。


骸骨だからどのような表情をしているのか分からず、何も言ってくれないから様子を見ながら、何か言ってくれるのを待ってみる。

数分後。


「ふむ…ではこの的は新しく作り直しておくから、違う的で練習をしておいてくれるかの」


「はーい。ゼンありがとう」


何を考えていたのかは不明だが、まぁいいかと練習を再開するのだった。

ゼン:ふむ…ふむ…ふむ…リオの壊した的じゃが、物理防御も魔法防御もかかったままじゃのぉ…

初級魔術でコレを穴だらけにするなど…リオの魔術はどうなっておるのか……

なんとも興味深いのぉ……








ここまで読んでいただきありがとうございます。


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