8、転生2日目-3
全員集まったので、果物を出して朝食にする。
食料はクレイの亜空間で取れた果物しかないので、今日の朝食も、もちろん果物のみだった。
果物をパクパクと食べながら昨日も思ったのだが、今日も思う……この身体めちゃめちゃ燃費が悪いかもしない……かなり凄い量をペロリと食べれるのだ。日本にいたら大食いの大会に出ても余裕で優勝出来そうな程だ。
他のみんなはそんなことは無いのか、食べ物を節約しているのか……1食分程しか食べていなさそうだ。ジオやサンちゃんでも2食分もないくらいの量しか食べていない……
私だけおかしいの?……でも、食べても食べてもなかなかお腹いっぱいにならないし……と、お腹を撫でるがペッタンコだ。一体どこに消えているのか?
まぁ食べるの好きだしまぁいいか!と、リオは考えるのを止めたようだ。
果物をお腹いっぱい食べ、食休みをしながらみんなで今日の予定を話し合う。
昨日言っていたように4人は魔物を狩りに、リオは魔術の練習をすることになり、お腹が少し落ち着くと、裏庭で数回それぞれの武器を振り、数度武器を合わせて模擬戦をしてみる。
その後、昨日の復習に魔術を撃ち、出発して行った。
武器の素振りと模擬戦には参加させてもらったが、この身体凄すぎる!
まず目がとても良い。動体視力なのか、空間認識力なのか相手の動き、武器の動き、距離感、スピード、相手がどのように動こうとしているのか等が良く見え、視界も広い。そのおかげか、ゼンに貰った知識と動きのすり合わせがとてもスムーズに出来た。ゲームのようにサポート機能は無いのでアバターを動かすのとはまた違うが、高性能な身体のおかげで接近戦も少し練習すれば上手くできるようになりそうだった。
他の人や魔物の強さがどれくらいなのかは分からないので要練習だなと思いつつ、みんなが出発した後は接近戦の練習は一旦置いて、魔術の練習を始める。
朝、クレイに手伝ってもらって練習した魔力操作の復習から始めた。
身体の中の魔力を感じ、身体の中を動かすように……お腹から胸に右手、右足、左足、左手、頭、それからまた胸からお腹に戻りを繰り返す。朝、果物を収穫しながらしようとした時とは違い、集中している為とてもスムーズだ。
他のことをしながらは、やっぱりハードルが高かったかぁ……と苦笑いしつつ、動きが滑らかになるまで続けた。
体感で60分程。
ふぅーーー、と大きく息を吐き、少し休憩する。
……今何時だろ?
この世界って時計あるのかな?
ゼンの記憶だと、街の中では鐘が数時間おきに鳴らされるみたいだ。ということは、鐘を鳴らす人は時計を持っているということかな?
後でゼンに聞いてみるか……と、考えつつ身体を伸ばしていると後ろから声がかかる。
「リオ」
「わぁ!クレイ、果物沢山ありがとう」
振り向くと背負籠いっぱいの果物を持ったクレイが立っていた。
「ゼンがとても大きなカゴを作ってくれました」
「ほんとだ、これならいっぱい入れれるね」
「はい!」
「クレイの分もマジックリングがあったら良かったのにね……」
まさかゼンも人型の従魔が生まれるとは思っても見なかったようで、マジックリングはゼンの分以外は5個しかなかった。
マジックリングはゼンがまだ人だった時、一緒に魔術の研究に明け暮れていた仲間5人と共に作り上げた物だそうで、仲間の人数分しか作れない程の貴重な素材をふんだんに使っているため6個作るのが限界だったそう。
ゼン以外の仲間はリッチや死霊にもならず寿命で息を引き取ったそうで、それからは、1人でさらなる研究に明け暮れ、ホムンクルスをマジックリングの数だけ作ったのだそう。仲間とホムンクルスの構想から構成、術式の組み込み方などは研究していたが、ゼンの仲間が生きている間には完成には至らなかった。ゼンも完成させたのはリッチになってからなのだそう。
「亜空間もありますし、特段大きなものでなければ大丈夫だと思います。それに、リオの傍から離れるつもりもありませんので」
「そぉだよね?一緒にいたら私が収納してたらいいもんね?」
「はい!では、早速ですが、こちらを収納して頂いても?」
「うん、了解だよ!」
「まだ中にもあるのでそれも良いですか?」
「はーい」
亜空間内に入ると、果樹の下に背負籠が大量に並べられており、中には果物が山になるほど積まれていた。
「……え、コレ全部1人でとったの?」
「はい!頑張りました!」
と、眩しいほどの笑顔で笑う。
う、いい笑顔……
「ありがとう」
お礼を言いながら頭を撫でると嬉しそうに目を細めていた。
ぶどうを数個つまみ食いし、今度は魔術の練習をするために外へ出る。
「なんの属性から練習しようかな……?」
「私が闇属性、風属性、土属性は適性があるので、攻撃のレパートリーを増やすためにも闇属性、風属性、土属性以外からはいかがでしょう?」
「そぉだね!今日で全部扱えるかわかんないし、そうしよう。んー、回復魔法は早めに覚えたいんだよね……てなると、光属性と水属性の複合魔法みたいだから、光属性から練習しようかな!」
光属性の最初に覚えられる魔術はライト。
目を閉じ魔力を手に集めるように動かしながらイメージする。
光……光……
「ライト」
ピカーーーーーーーーー
「わー!!」
「っ……」
電球をイメージしたはずの光は、閃光弾のように眩い光を放つ。
眩しくて目が開けらんない……
目を閉じ、さらに手で目を押え、光が収まるのを待つ。
待つこと数十秒ほどで、少し光が収束し、目もかろうじて開けられるくらいになった頃、ゼンがバタバタと家の中から飛び出してきた。
「何事じゃ?!」
「……はぁ……。びっくりしたぁ……」
「ん……。少し収まって来ましたね……」
「何をしておったんじゃ??」
きっと骸骨でなければめいっぱい眉間にシワを寄せているであろう驚きが隠せない声が響く。
「ライトの魔術の練習しようとしたの。あんなに光るなんて知らなかったから……」
「……ら、ライトの魔術はあんなに光らんぞ?」
「「え?」」
「「…………」」
3人で顔を見合わせる。
……ライトってちゃんと唱えたよね??
何がダメだったんだろ……おかしいなぁ……?とc首をひねり考えていると、ゼンが質問してきた。
「魔術の発動時、なんと唱えたのじゃ?」
「ライト……」
「……クレイも見ておったのかの?」
「はい……見ていました」
「なんと唱えたかも聞いておったのかの?」
「はい……ライト……と……」
「「…………」」
「何故かのぉ?……考えられる原因としては、あとは……魔力を込めすぎたか、発動イメージがおかしかったか……どんなイメージをしたんじゃ?」
「え、普通に電球をイメージしたんだけど……」
「「電球?」」
「ん?電球だよ、……電球……知らない?」
この世界には電化製品は無いようで、2人も電球を知らなかった。
コクコク頷く2人をみて、呆然とする。
電球をイメージするのがダメならどうすればと、悩んでいると、ゼンが見本を見せてくれた。
魔力の込め具合も確認してもらうと、魔力の込める量も多すぎたようだ。
鑑定が使えれば魔力を数値で見れるから、込めた魔力量が適正かがすぐ分かるんじゃがのぉ。と笑いながら言っていた。
鑑定……使えるようになりたいな……
他の魔術も込める魔力は今の感覚をしっかり覚えておくようにと言い、ゼンは家の中に戻って行った。
ゼン:リオの今日のライトには驚かされたのぉ……いきなり窓の外がすごい光を放つもんじゃから何事かと思ったのぉ……
リオには最初に会った時から驚かされてばかりじゃ…
しかし、他の4人はあんな事にはならなんだが何故リオだけあんなことになったんじゃろうか…?
不思議じゃのぉ……
ここまで読んで下さりありがとうございます。